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食の安全科学の展開―食のリスク予測と制御に向けて―

  • The Development of Food Safety Science―Toward Risk Assessment and Control―
★ 『東京大学 食の安全研究センター』編集による書籍がついに登場!
★ 科学の力で食への信頼を再び!
★ 食の安全に関わる健康リスク因子,食の安全を保証するためのシステムを徹底解説!

商品コード: T0724

  • 監修: (編集)東京大学 食の安全研究センター
  • 発行日: 2010年3月
  • 価格(税込): 70,200 円
  • 体裁: B5判,287ページ
  • ISBNコード: 978-4-7813-0200-3

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  • 食の安全研究センター,リスク予測と制御,牛海綿状脳症発症牛,食品安全委員会,カビ毒・農薬汚染,偽装表示

刊行にあたって

 我が国で初めて牛海綿状脳症発症牛が確認されて以降,国民の食の安全に対する関心がかつてないほど高まった。この事件を契機に,2003年に食品安全基本法が制定され,同法に基づいて農水省と厚労省はリスク管理機関として位置づけられ,リスク管理と機能的に分離されたリスク評価を担う機関として食品安全委員会が設立されるなど,国際的に広く受け入れられているリスク分析の枠組みが我が国の食の安全行政にも取り入られるに至った。最近では,新たに設置された消費者庁が食の安全行政の一部を担うこととなり,食の安全確保に向けた体制がさらに整備された。
 しかしこの間,農薬に汚染された中国産加工食品による健康被害,カビ毒・農薬汚染米の食品への流用,食品の偽装表示など,食の安全を脅かす事件が相次いで発生し,また,病原微生物による食中毒の発生もいまだに減少してはいない。国外に目を転ずると,貧困な国々は依然として飲食を介するコレラ等感染症に加えて,カビ毒や農薬に汚染された穀物による健康危害に悩み,先進国においても飲食に伴う生活習慣病を抱え,時として食品の大量生産と広域流通に伴う大型食中毒に見舞われている。
 こうした背景の下,食の安全を支えるべき科学技術のニーズもますます高まり,食品とその原材料の生産,製造加工,流通における安全確保のための技術のみならず,食品安全に関わる情報や政策の科学,病原因子や生活習慣病に関する科学の発展に大きな期待がかけられている。この期待に応えるべく,このたび,食の安全に関わる健康リスク因子および食の安全を保証するためのシステムに関して,東京大学の異なる研究分野で行われている研究を編纂し,本書を刊行することとした。本書が,食の安全を支える科学技術の今後の発展に少しでも貢献できるとすれば,編者にとって望外の喜びである。
(「まえがき」より抜粋)

2010年3月  東京大学 食の安全研究センター

著者一覧

熊谷 進   東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授
小野寺節   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 教授
杉浦勝明   (独)農林水産消費安全技術センター 理事(東京大学 大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター 特任教授)
関崎 勉   東京大学 大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター 教授
児玉正昭   東京大学 大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター 特任教授
渡辺知保   東京大学 大学院医学系研究科 人類生態学 教授
吉村悦郎   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 教授
八村敏志   東京大学 大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター 准教授
筒井俊之   (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 疫学研究チーム 上席研究員(東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 特任准教授) 
局 博一   東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授
広沢髙森瑞子   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 特任助教
尾形聡子   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 
塩田邦郎   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 教授
中山裕之   東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授
千田和広   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 教授
加藤久典   東京大学 総括プロジェクト機構「食と生命」総括寄付講座 特任教授
九郎丸正道  東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授
テイ・タット・ウェイ  東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻(アブカム(株))
ビビン・ビンタン・アンドリアナ  東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻((独)理化学研究所)
眞鍋 昇   東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属牧場 教授
吉川泰弘   東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授
日下部守昭  東京大学 大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター 特任教授
尾崎 博   東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授
堀 正敏   東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 准教授
潮 秀樹   東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科 准教授
長阪玲子   群馬工業高等専門学校 物質工学科 助教
清水 誠   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 教授
薩 秀夫   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 助教
佐藤隆一郎  東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 教授
松本安喜   東京大学 大学院農学生命科学研究科 農学国際専攻 准教授
明石博臣   東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授
作田庄平   東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 准教授
大下誠一   東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物環境工学専攻 教授
渡部終五   東京大学 大学院農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 教授
小熊久美子  東京大学 大学院工学系研究科 都市工学専攻 講師
白樫 了   東京大学 生産技術研究所 准教授
生源寺眞一  東京大学 大学院農学生命科学研究科 農業・資源経済学専攻 教授
中嶋康博   東京大学 大学院農学生命科学研究科 農業・資源経済学専攻 准教授
岡田晃枝   東京大学 教養学部 附属教養教育開発機構
渡辺雄一郎  東京大学 大学院総合文化研究科 生命環境科学系 教授
矢坂雅充   東京大学 大学院経済学研究科 准教授

目次

はじめに―食の安全確保に向けた科学的対応の足跡―

【第I編 食のリスク因子の科学】
第1章 食品におけるプリオン汚染リスク
1. 食品のリスク評価 
2. 地理的BSEリスク(GBR)評価 
3. BSEリスク低減措置 
4. ヒトに対するリスク 
4.1 リスクとハザード(危害) 
4.2 BSEプリオンに対する暴露 
4.3 ヒトへの感染経路 
4.4 病原体の分布 
4.5 感染性除去方法 
4.6 食品汚染経路 
4.7 食肉の安全性 
5. 結論 

第2章 動物由来レンサ球菌の脅威
1. レンサ球菌によるヒトの病気 
2. 動物のレンサ球菌感染症 
3. 豚レンサ球菌の豚での感染症 
3.1 豚における感染と病態 
3.2 豚での世界の発生状況 
4. 豚レンサ球菌のヒトでの感染症 
4.1 病態と感染、世界での発生 
4.2 2005年中国での大発生 
4.3 2005年中国以後の世界の状況 
5. 新たな食の脅威の可能性 
6. 豚レンサ球菌の強毒株と弱毒株 
6.1 血清型と病原性の強弱の多様性 
6.2 ヒトに対する強毒株 
6.3 新たな病原性関連マーカー 
7. 生の豚肉に対する注意 

第3章 海洋生物毒の謎
1. 麻ひ性貝毒の原因生物と毒生産 
2. 有毒渦鞭毛藻の発生による二枚貝の毒化
3. A.tamarenseの細胞内細菌の毒生産 
4. PSPの毒成分 
5. 有毒生物におけるPSPとフグ毒テトロドトキシンの共存 

第4章 食品中の汚染金属とそのリスク
1. 環境汚染物質としての金属 
2. メチル水銀と魚 
2.1 環境中の水銀と水銀の利用 
2.2 魚の中のメチル水銀 
3. 飲料水と食品中のヒ素 
3.1 ヒ素による地下水の汚染 
3.2 地下水のヒ素と海産物のヒ素 
3.3 食品中のヒ素は考えなくて良いのか 
4. リスクとベネフィット 

第5章 食品と金属
1. はじめに 
2. 生物と金属 
3. 食品への金属の混入 
3.1 カドミウム 
3.2 水銀 
4. Cd、Hgの毒性と食糧の摂取基準 

第6章 食品とアレルギー
1. アレルギーの発症機序と食物アレルギー 
2. 特定原材料の表示義務と食物中のアレルゲンの検出 
3. 食品によるアレルギーの抑制 
4. おわりに

第7章 食の安全への動物疾病疫学の応用
1. はじめに
2. 動物疾病に対する疫学の手法
3. 動物疾病疫学の応用事例
3.1 鳥インフルエンザ
3.2 BSE
3.3 牛結核病
3.4 ブルセラ病
4. おわりに

第8章 全身健康影響指標を利用した安全性評価
1. 摂食量・飲水量・行動量・体重
2. 下痢・血便
3. 嘔吐
4. テレメトリー測定法による全身影響評価
5. 超音波画像診断

第9章 食の安全―エピゲノム評価に向かって―
1. はじめに 
2. エピジェネティクスとは 
3. 細胞の種類に特有のDNAメチル化プロフィール 
4. 次世代に継承されるエピジェネティクス 
5. エピジェネティクス系に影響を及ぼす因子 
6. ポストゲノム時代におけるエピジェネティクス研究の重要性 
7. おわりに 

第10章 実験病理学的手法の利用
1. 実験病理学とは
2. 病理観察の流れと方法
3. 病理学総論概説
3.1 萎縮、変性
3.2 壊死
3.3 増殖性変化
3.4 循環障害
3.5 炎症
3.6 腫瘍
3.7 先天異常
3.8 病理学総論と病理学各論
4. 食品の安全性検査における実験病理学的手法の利用

第11章 動物細胞を用いる化学物質の遺伝毒性検索
1. はじめに
2. 突然変異原性試験
3. 培養細胞を用いる変異原性試験
4. 薬剤耐性変異
4.1 ウアバイン耐性
4.2 プリンアナログ耐性
4.3 ピリミジンアナログ耐性
5. その他の遺伝毒性試験
6. 新しい試験法

第12章 網羅的遺伝子発現解析を利用した食品の安全性評価
1. ニュートリゲノミクス
2. トランスクリプトミクスの利用
3. 特定の食品を摂取した際の影響の解析 
4. 栄養とトランスクリプトミクス 
5. データベースの活用

第13章 In Vitro実験系を用いた精巣毒性作用物質MEHPの影響解析
1. In Vivo実験系におけるMEHPのマウス精巣に対する影響 
2. In VivoおよびIn Vitro実験系におけるMEHP曝露後のマウス精巣での食作用および細胞死シグナル 
3. MEHPのマウス・セルトリ細胞への影響 
4. ヤギ・セルトリ細胞初代培養系へのMEHP添加試験 

第14章 プリオン遺伝子ホモノックアウト牛の作出とその有用性
1. 孤発性・非定型ウシ海綿状脳症
2. プリオンノックアウト牛

第15章 がんと食品
1. はじめに
2. 我が国の死亡原因の比較
3. 悪性新生物による年齢別罹患率
4. 各種がんの病期と5年生存率の比較
5. 早期発見しても患者のQOLは低下する?
6. がん細胞の増殖・浸潤・転移における周囲微小環境の役割
7. 発がん過程と危害要因の相関
8. ファイトケミカルと抗がん作用
9. 体質変化(組織微小環境変化)と酸化ストレス
10. おわりに

【第II編 食のリスク制御の科学】
第1章 米糠に含まれる有用な生体機能物質の探索
1. 米糠とは
2. γ-オリザノールの単離・精製と化学構造
3. γ-オリザノールの新たな生理作用
3.1 抗炎症作用
3.2 NFκB抑制の分子メカニズム
3.3 脂質代謝系への作用
3.4 抗アレルギー作用
4. γ-オリザノールの水産養殖技術への応用
5. 医薬品リード化合物・機能性食品としての実用化への展望
6. おわりに

第2章 腸管の解毒機能と食の安全
1. はじめに
2. 腸管上皮の機能と3つのバリア
3. 腸管上皮における解毒・排出機能
4. 食品因子による腸管の解毒・排出機能制御
5. おわりに

第3章 生活習慣病予防に寄与する食品機能
1. はじめに
2. メタボリックシンドロームと核内受容体
3. 肝臓における脂質代謝調節
4. 生活習慣病と核内受容体リガンド
5. 核内受容体リガンド活性を有した食品成分探索とその利用

第4章 食べるワクチン・粘膜免疫の有用性
1. はじめに
2. 粘膜免疫法の有効性
3. 投与法としての粘膜免疫―非粘膜感染症への応用―
4. 粘膜免疫と寄生虫
5. 細胞性免疫依存性発症防御の誘導:リーシュマニア症発症防御
6. 食べるワクチンへの期待
7. “食べるワクチン”によるブタ回虫感染防御の試み 
8. “食べるワクチン”の展望 
9. おわりに:粘膜投与型ワクチンへの期待 

第5章 安全な家畜の生産を阻むウイルス性疾病
1. 口蹄疫の発生 
2. 高病原性鳥インフルエンザ 

第6章 アフラトキシンの毒性とその制御
1. はじめに
2. アフラトキシンの毒性と発がん性 
3. 動物生体内運命と代謝 
4. アフラトキシンによる健康被害や経済的損失の防止手段 
5. おわりに 

第7章 カビ毒産生の制御
1. アフラトキシンの生産と制御 
1.1 アフラトキシンについて 
1.2 アフラトキシンの生産機構 
1.3 アフラトキシンの生産制御 
2. デオキシニバレノールの生産と制御 
2.1 デオキシニバレノールについて 
2.2 デオキシニバレノールの生産機構 
2.3 デオキシニバレノールの生産制御 
3. おわりに 

第8章 BSE制御に向けた疫学の展開
1. 英国におけるBSEの出現と原因究明
2. BSEの疫学パラメータの推定
2.1 年齢別感受性
2.2 潜伏期間
3. 能動的サーベイランスの導入
4. BSEの感染ルート
4.1 経口感染
4.2 水平感染 
4.3 垂直感染(母子感染) 
5. BSEの防疫措置とその効果測定 
5.1 EUにおけるBSE防疫措置 
5.2 BSE防疫措置の効果 
5.3 BSEの有病率の変遷 
6. 非定型BSEの疫学的な意味 
7. 日本におけるBSEの疫学 
8. 結論 

第9章 光センシングによる食肉表面の清浄度モニタリング
1. はじめに
2. 光センシングの重要性 
3. 光センシングによるATP及び一般生菌数の推定 
3.1 ATPの吸収波長 
3.2 食肉表面の分光反射スペクトルとATP及び一般生菌数 
3.2.1 供試材料と保存条件 
3.2.2 分光反射スペクトル 
3.2.3 ふき取りとATP、一般生菌数の測定 
3.3 結果 
4. おわりに 

第10章 水産食品の安心・安全に関する研究
1. 魚介類の特徴
2. 水産食品の安心および安全
2.1 水産物の危害要因
2.2 化学物質および重金属
2.3 アレルギーおよび自然毒
3. 水産食品の原材料鑑別
3.1 フグ類
3.2 ウナギ類
3.3 サケ類
3.4 問題点 

第11章 水中微生物の消毒と膜除去技術
1. 塩素消毒 
2. 紫外線消毒 
3. 膜ろ過 
4. 今後の展望 

第12章 食品素材の高品位冷凍保存技術
1. はじめに 
2. 劣化現象と保存方法 
3. 凍結
3.1 氷晶の生成 
3.2 微脱水を伴う凍結 
3.3 糖類添加による細胞内凍結の抑制 
4. 貯蔵 
4.1 氷晶サイズの経時変化―再結晶― 
4.2 誘電測定による食品素材内の氷晶サイズのモニター 
5. 解凍 
6. おわりに 

第13章 現代の食とフードシステム論
1. はじめに 
2. フードシステムとは何か 
3. フードシステムと食の安全 
4. フードシステムの課題 
4.1 食をめぐる情報の重要性 
4.2 食をめぐる制度の国際調整 

第14章 フードシステムの展開と食品安全政策
1. 戦後の食品安全行政 
2. 食品関連産業の構造 
3. 食品安全行政の改革 
4. 食品回収の課題 
5. 食の信頼の回復への自主的取り組み 

第15章 食の安全から、安心な食へ―食コミュニケーション学の提案
1. 多岐にわたる食に関する問題提起
2. 食ゼミ、食を考えるワークショップのスタート 
3. 文系からの視点の提案 
4. 理系からの視点の提案 
4.1 専門用語はわからない、それは危険? 
4.2 研究者もリスク評価には別の感覚が必要・リスクコミュニケーションは重要 
4.3 リスク管理には理系をこえた感覚が必要 
4.4 市民のリスクコミュニケーションはいかなるものか 
4.5 リスクコミュニケーションをはかる前に冷静に考えておきたいこと 
5. 自然にコミュニケーションができる環境づくり 

第16章 食品の信頼性確保に向けて―社会インフラとしての食品トレーサビリティ
1. はじめに 
2. 日本の食品トレーサビリティ導入過程の特徴 
2.1 緊急的な制度導入 
2.2 生産履歴情報開示への偏重 
2.3 IT活用重視 
2.4 政策支援・補助 
2.5 縦割り行政の制約 
3. 米・米製品へのトレーサビリティの導入 
3.1 取引情報の記録・保管 
3.2 産地情報の伝達 
3.3 米・米製品トレーサビリティの基本的問題 
4. おわりに
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