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高分子の結晶化制御-研究開発の最前線とその応用-

  • Polymer Crystallization Control -R&D in the Forefront and their Applications-
★未解明な部分の多い高分子の「結晶化」について、最新情報を紹介!
★高次構造の解析、プロセス段階の計測、成形加工における結晶化制御技術を詳述!
★汎用プラスチック製品の可能性が込められた必読の書籍!

商品コード: T0855

  • 監修: 鞠谷雄士
  • 発行日: 2012年7月
  • 価格(税込): 75,600 円
  • 体裁: B5版、283ページ
  • ISBNコード: 978-4-7813-0575-2

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  • 結晶化/高次構造/分子配向/球晶構造/均一核形成/折り畳み結晶/流動結晶化/配向結晶化/共重合体/シシカバブ構造/複屈折/一軸延伸過程/二軸延伸過程/PTT/iPP/PLA/PETフィルム/PPシート・フィルム/ポリエチレン/マイクロ射出成形

刊行にあたって

 高分子材料には軽量・安価・高成形性などの利点があり、金属材料、セラミック材料とならぶ三大材料の一つに数えられている。高分子材料は、共有結合で連なる“ひも”状の分子鎖で構成されていることを特徴とする。その特性のある程度の部分が“ひも”の化学構造に由来することは当然であるが、それ以上に高分子材料の物性や機能性を決定する重要な因子として、分子鎖の空間的な配列状態がある。このような分子鎖の配列状態のことをまとめて高次構造と呼ぶ。例えば、ポリエチレンの射出成形品の強度は数十MPa程度であるのに対し、超高分子量ポリエチレンをゲル紡糸、超延伸した繊維の強度は3GPaを越え、両者の強度には50~100倍の相異がある。この相異の起源は高次構造の違いである。高分子材料の物性や機能性を極限まで高めるものづくり、あるいは材料の用途に応じた合理的な特性を発現させるためのものづくりを追究するには、高次構造に対する理解を深め、その制御方法を確立することが極めて重要である。
 高次構造形成の基本的な要素として『結晶化』と『分子配向』がある。結晶の定義は、3次元的な周期性を持った構造であり、高分子材料の場合は、原子の空間的な秩序構造が、その相互の動きを制約する「分子鎖」という環境の下で形成するところに大きな特徴がある。一方、分子配向により、高分子材料のもう一つの特徴である異方性が発現する。高分子結晶の中で分子鎖は一方向に配向しており、結晶そのものが著しい異方性を有している。さらに分子配向は結晶化を著しく加速させるなど、高次構造制御の観点から、結晶化と分子配向は極めて密接な関係にある。
 高分子材料の高次構造制御を通じた新たな機能性や物性の発現を求め、今日に到るまで高次構造の解析と制御に関する多くの研究が続けられてきた。高分子結晶については、その詳細な構造についても、またその形成機構についても未解明な部分が未だ多く残されている。しかしながら近年、材料設計技術、成形加工技術、プロセス計測技術。高次構造解析技術などが発達し、高分子結晶の分野で新たな知見が急速に蓄積されつつある。高次構造制御に新たな概念を持ち込むことによって、安価な汎用プラスチックから画期的な性能をもつ製品を合理的に成形する技術の開発についても、新たな可能性が見えてきている。
 こうした背景を踏まえ、高分子結晶の構造と結晶化挙動に関する基礎的な理解、結晶構造形成挙動のその場解析技術、新規ポリマーおよび汎用ポリマーの結晶化挙動に関わる新たな知見、高圧などの特殊条件下で起こる結晶化及び融解挙動、そして成形加工プロセス中の結晶化挙動とその制御について、近年得られている注目すべき新たな知見を体系的にまとめ、研究開発者の方々に高分子結晶研究の「最前線」を知って頂くことを目的として、本書をまとめた。

2012年5月
鞠谷雄士

著者一覧

奥居徳昌   東京工業大学 名誉教授
梅本晋    東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻 助教
山本隆    山口大学 大学院理工学研究科 教授
櫻井伸一   京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 バイオベースマテリアル学部門 教授
吉岡太陽   豊田工業大学 大学院工学研究科
辻正樹    京都大学 化学研究所 准教授
金谷利治   京都大学 化学研究所 複合基盤化学研究系 教授
松葉豪    山形大学 大学院理工学研究科 准教授
野末佳伸   住友化学(株) 石油化学品研究所
田實佳郎   関西大学 システム理工学部 電気・電子情報工学科 副学部長;教授;理学博士 
高和宏行   ユニオプト(株) 研究部 部長
築地光雄   ユニオプト(株) 取締役;博士(工学)
大越豊    信州大学 繊維学部 教授
土岐重之   State University New York at Stony Brook,Department of Chemistry.New York 11794 USA
上原宏樹   群馬大学 大学院工学研究科 応用化学・生物化学専攻 准教授
撹上将規   埼玉大学 大学院理工学研究科 物質科学部門 助教 
山延健    群馬大学 大学院工学研究科 応用化学・生物化学専攻 教授
塩谷正俊   東京工業大学 有機・高分子物質専攻 准教授
久保山敬一  東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻 助教 
扇澤敏明   東京工業大学 大学院理工学研究科 物質科学専攻 教授
西田幸次   京都大学 化学研究所 准教授
辻秀人    豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 環境・生命工学専攻 教授
吉田博久   首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 分子応用化学 教授
浅井茂雄   東京工業大学 大学院理工学研究科 物質科学専攻 准教授
斎藤拓    東京農工大学 工学府 産業技術専攻 環境・材料コース 教授
鞠谷雄士   東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻 教授
宝田亘    東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻 助教
木村将弘   東レ(株) 地球環境研究所 研究主幹
金井俊孝   出光興産(株) 機能材料研究所 主幹研究員 
船木章    出光興産(株) 機能材料研究所 上席主任部員
村瀬浩貴   東洋紡績(株) 総合研究所 コーポレート研究所 企画・探索グループ 部長
伊藤浩志   山形大学 大学院理工学研究科 教授

目次

【第1編 高分子結晶構造の基礎】
第1章 高分子の特徴と結晶化の基礎   
1 はじめに
2 高分子単結晶
3 結晶化速度

第2章 分子シミュレーションによる結晶構造と高次構造の解明 
1 はじめに
2 シミュレーション概観
3 結晶構造の予測
4 高分子結晶化のシミュレーション
4.1 均一核形成
4.2 折り畳み結晶の成長
4.3 ガラスからの結晶化
4.4 流動結晶化と繊維構造の発現
5 大変形による結晶組織の変化
6 おわりに

第3章 共重合体の結晶構造  
1 緒言
2 結晶性共重合体の構造形成の特徴
3 非晶—非晶ジブロック共重合体のミクロ相分離の基礎
4 構造解析法(結晶化の動力学解析も含む)
5 各論
5.1 結晶—非晶ブロック共重合体
5.2 結晶—結晶ブロック共重合体
5.3 結晶—液晶ブロック共重合体
6 総括/将来展望

第4章 透過型電子顕微鏡法による結晶性高分子固体の高次構造解析
1 はじめに
2 制限視野電子回折(Selected-area Electron Diffraction: SAED)
2.1 光学特性の異なる三種類のPBT二次元球晶を与える構造的要因の解明
2.2 電界紡糸ナノファイバー単繊維の配向解析
3 暗視野観察(Dark-field Imaging)
3.1 一軸配向PBT薄膜に形成されるシシカバブ構造の暗視野観察とその結晶学的構造
4 おわりに

第5章 中性子散乱によるポリエチレンのシシカバブ構造形成機構解析 
1 はじめに
2 シシケバブ生成における高分子量成分の効果
3 高分子量成分がシシを作ることの直接証明とシシの形態観察
4 延伸過程におけるシシケバブ形成
5 低分子量の役割
6 おわりに

第6章 中性子散乱を用いたアイソタクチックポリプロピレンのシシケバブ
構造解析 
1 背景
1.1 シシケバブ構造
1.2 シシケバブ構造の発見とその物性
1.3 コイル-ストレッチ転移
1.4 流動誘起結晶化のその場観察と臨界絡み合い濃度
1.5 シシケバブ構造形成過程のその場観察
2 中性子散乱によるシシケバブ構造解析
2.1 実験の目的
2.2 中性子散乱
2.3 試料調製
3 実験結果と考察
3.1 中性子散乱実験の結果
3.2 シシケバブ構造形成機構の一般性について
4 シシケバブ構造形成機構解明に向けた今後の展望

【第2編 結晶構造変化のその場計測による解析】
第7章 球晶構造形成過程のその場計測 
1 はじめに
2 球晶内部構造の形成過程でのその場計測
2.1 AFMによるラメラ構造の成長過程のその場計測
2.2 放射光を用いたX線回折/散乱による球晶成長と2次結晶化のその場計測
2.3 偏光顕微鏡下での球晶成長と内部構造変化のその場計測
3 等温結晶化での球晶形成過程のその場計測
3.1 全結晶化挙動と核発生挙動の影響
3.2 負圧による球晶間でのキャビテーション発生

第8章 複屈折のその場計測法  
1 はじめに
2 複屈折
3 複屈折の数学的表現
4 複屈折の計測のその場観察
4.1 セナルモン法
4.2 回転検光子法
4.3 高度な複屈折計測
5 その場観察の複屈折における測定系
6 まとめ

第9章 繊維の一軸伸長過程での配向結晶化   
1 はじめに
2 測定システム
3 PET繊維の配向結晶化挙動
3.1 連続延伸過程の特徴
3.2 配向結晶化時の温度・直径プロフィール
3.3 X線回折による配向結晶化過程の解析
4 PTT,PBT,およびPEN繊維の配向結晶化挙動
5 Nylon 6繊維の配向結晶化挙動
6 PP,PVDF,およびPVA繊維の配向結晶化挙動
7 まとめ

第10章 ゴム一軸伸長下の結晶化挙動解析 
1 はじめに
2 応力―歪関係と伸張結晶化の同時測定法
3 天然ゴムと合成ポリイソプレン
3.1 伸張結晶化と応力―歪関係
3.2 結晶分率
3.3 延伸結晶の開始歪
3.4 結晶の大きさ
3.5 結晶格子の大きさ
3.6 応力緩和と結晶化
3.7 定歪での結晶の融解と生成
4 未加硫天然ゴムと未加硫合成ポリイソプレンゴム
5 他の汎用加硫ゴム
6 充填系加硫物
7 まとめ

第11章 超高分子量ポリエチレンの溶融超延伸過程におけるインプロセス計測
とフィルム高性能化 
1 はじめに 
2 インプロセス計測システムの開発とそのインハウス化
3 溶融延伸過程におけるインプロセス計測
4 溶融延伸挙動に与える分子量特性の効果
5 固体NMRによる絡み合い状態の定量化
6 今後の展望

第12章 一軸伸長過程における長周期構造及びボイドの変化  
1 はじめに
2 繊維の長周期構造
2.1 繊維の小角X線散乱パターン
2.2 繊維の長周期構造モデル
3 繊維・フィルムにおけるボイドの生成・成長挙動
3.1 延性・脆性とボイドの生成・成長
3.2 繊維の伸長過程におけるボイドの生成・成長挙動
3.3 フィルムの伸長過程におけるボイドの生成・成長挙動
3.4 ボイドの生成・成長挙動に及ぼすフィラー添加効果及び試験片形状の影響
4 おわりに

【第3編 各種ポリマーの結晶化挙動の最新情報】
第13章 PTTの結晶構造と光学異方性  
1 はじめに
2 結晶化温度とPTT結晶のモルホロジー
3 PTT球晶の複屈折
3.1 複屈折(リタデーション)の結晶化温度依存性
3.2 単位格子の配向方向
3.3 固有複屈折の計算
4 まとめ

第14章 アイソタクチックポリプロピレンのメゾ相形成とメゾ相からの結晶化
1 はじめに
2 結晶性高分子におけるメゾ相
3 iPPのメゾ相のローカル構造
4 iPPのメゾ相の形成機構
5 iPPコポリマーのメゾ相
6 放射光によるiPPのメゾ相形成過程のその場測定
7 iPPのメゾ相の安定化エネルギー
8 iPPのメゾ相からの速い昇温による結晶化

第15章 PLAステレオコンプレックス結晶化   
1 はじめに
2 ポリ乳酸のHMSC結晶化
3 置換型ポリ乳酸のHMSC結晶化
4 ポリ乳酸/置換型ポリ乳酸のHTSC結晶化
5 核剤としての応用
6 おわりに

【第4編 特殊条件下の結晶化】
第16章 超高速DSCによる融解・結晶化挙動解析 
1 示差走査熱量測定(DSC)
2 高分子結晶の融解
3 核生成と結晶成長
4 高速冷却過程の結晶化
5 高速冷却で得られた結晶の融解
6 まとめ

第17章 高圧CO2によるPLLAの結晶高次構造と物性の制御 
1 はじめに
2 高圧CO2処理について
3 高圧CO2処理したPLLAの構造
3.1 結晶化挙動及び結晶構造
3.2 結晶高次構造
4 高圧CO2処理したPLLAの物性
4.1 フィルムの透明性
4.2 力学的性質
4.3 結晶高次構造と物性との関係
5 おわりに

第18章 超臨界CO2による結晶高次構造制御   
1 はじめに
2 結晶高次構造
3 結晶構造
4 結晶化挙動
5 結晶化中のCO2の排除と多孔化
6 コンポジットにおける結晶核剤効果と高次構造
7 部分融解と結晶化

【第5編 成形加工における結晶化制御】
第19章 成形加工における結晶化の基礎  
1 はじめに
2 準静的な結晶化の考え方
3 準静的とする仮定が成り立たない系
4 流れ場の影響
4.1 エントロピー低下が結晶化を加速する効果
4.2 流動履歴が結晶化を加速する効果
4.3 どちらの効果が支配的か?
4.4 流動場の結晶化に対する核剤の効果 
5 結晶化の進展が成形加工における高次構造形成挙動に及ぼす影響
6 結晶化と複屈折の関係
7 延伸過程の結晶化
8 今後の流動場の結晶化の研究
8.1 溶融紡糸過程の低デボラ数化によるポリエステル繊維の高強度化
8.2 ブレンド繊維の低温押出しにおける高融点成分の結晶化
8.3 弾性材料の高速紡糸における配向結晶化挙動
9 おわりに

第20章 PETフィルム成形における結晶化挙動
1 はじめに
2 PETフィルムの製造プロセス
3 フィルム延伸過程における結晶化挙動の解析
4 一軸延伸過程におけるPETフィルムの結晶化挙動
5 幅拘束一軸延伸におけるPETフィルムの結晶化挙動
6 同時二軸延伸過程におけるPETフィルムの配向形成と結晶化挙動
7 逐次二軸延伸過程における結晶化挙動
8 二軸延伸PETフィルムにおける結晶配向
9 おわりに

第21章 PETフィルム形成過程における予備加熱効果 
1 はじめに
2 PETの非晶構造制御技術
2.1 PET非晶構造
2.2 PET結晶構造
2.3 拘束非晶構造制御
2.4 易成形二軸配向PETフィルム
2.5 表面機能化
3 応用例
4 おわりに

第22章 PPシート・フィルム成形における透明性制御 
1 はじめに
2 溶融樹脂膜の外部ヘーズに及ぼす押出スクリュー形状および内部ヘーズに
及ぼすダイス内剪断応力の影響
2.1 基本形状による予備評価
2.2 スクリュー形状の最適化
2.3 透明性に与えるダイ内剪断応力の影響
3 高透明性PPシート製造に寄与する因子の解析
3.1 透明性に与える立体規則性の影響
3.2 透明性に与える分子量分布の影響
3.3 透明性に与える透明改質剤としてのL-LDPE添加の影響
4 おわりに

第23章 ポリエチレン高強度繊維紡糸過程の構造形成 
1 はじめに
2 紡糸直後の線維の内部構造
3 シシケバブ構造の構造形成
4 紡糸課程での構造形成の観察

第24章 マイクロ射出成形加工における結晶化  
1 はじめに
2 射出成形における結晶化挙動
3 マイクロ射出成形による構造形成
3.1 超薄肉成形品の構造形成
3.2 微小成形品の構造形成
3.3 マイクロ微細表面構造を有する成形品の構造形成
4 おわりに
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