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バイオフィルム制御に向けた構造と形成過程―特徴・問題点・事例・有効利用から読み解くアプローチ―

  • Biofilm Structure and Formation for Biocontrol and Countermeasure of Biofilm and its Growth
    ―Researches on Biofilm Features and Problems, Regulation of Biofilm Formation, and Biofilm Applications―
  • NEW
★ 多角的な視点から産業界の共通課題であるバイオフィルム対策に迫る!
★ 非常に高い環境ストレス耐性および抗菌処理耐性を示すことから未だ難航するバイオフィルム制御技術のヒントに!
★ 周辺環境により異なる特徴をもつバイオフィルムへの個別対策のために、その構造や形成過程、各種細菌の生理活性の理解が防止・除去法へ繋がる!

商品コード: T1063

  • 監修: 松村吉信
  • 発行日: 2017年11月30日発売
  • 価格(税込): 77,760 円
  • 会員価格(税込):
    69,984 円 会員価格について
  • 体裁: B5判、210ページ
  • ISBNコード: 978-4-7813-1309-2

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  • バイオフィルム / ぬめり / スケール化 / 構造 / 形成過程 / 解析 / 評価 / 食品 / 食中毒菌 / 無機物・金属 / 微生物腐食 / 医療機器 / 感染 / 口腔バイオフィルム / 病原菌 / 生活環境 / 細菌 / カビ / ウイルス / 制御 / 除去 / 洗浄 / 殺菌 / 防止 / 表面処理 / 有効利用

刊行にあたって

ヒトの生活環境は、地球環境と切り離したり遮断したりすることはできない。これは常に他の生物の脅威に晒されていることを意味する。このため、ヒトは長い歴史の間に村や町、巨大都市などの都市環境を構築し、他生物からの脅威に打ち勝つ術を求めながら生活環境の快適性を確保してきた。これらは人々の英知を結集した技術革新によってもたらされたものであるが、目に見えない生物、例えば病原菌やウィルス、合成化合物によるヒトや社会、生態系への悪影響についてはまだまだ克服できていないのが現状である。特に微生物においては、環境浄化や発酵産業で利用され、一部はヒト常在菌などとして健康に大きく寄与していることが示されている一方で、病原菌やウィルス、食中毒菌、微生物腐食などヒトや社会の脅威になるものも少なくない。特に近年、公衆衛生などにおける衛生管理の厳格化や近年の清潔志向・抗菌ブームにより様々な抗菌剤や抗菌製品の開発、抗菌処理技術の革新が進み、微生物制御が比較的簡単になったように感じられている。また治療薬にも利用可能な抗生物質や抗真菌剤、抗ウィルス剤の発見や改良により、微生物やウィルスの脅威は以前に比べて低下傾向である。しかしながら、2016年の日本における食中毒事故件数を見てみると1.139件、患者総数20,252名、死者14名、微生物が原因と特定された事故割合が約42%であり、統計を取り出してからもっとも多かった1998年の食中毒事故件数3,010件、患者総数46,179名、死者9名、微生物が原因と特定された事故割合が約90%と比べると事故数で約1/3、患者数で約1/2、微生物が原因となる事故割合も半数にまで減少しているものの、その減少傾向は近年鈍化傾向を示しており、現状では決してヒトが微生物の脅威を克服したと言えるものではなく、疫学的データからはこれまでの抗菌技術のみでは対応が困難な状況であることを示すものである(厚生労働省データ)。
さらに、2016年度のUSAでは微生物の関与する金属腐食における経済損失が約1.1兆ドルと試算され(NACE International Instituteデータ)、産業界における微生物被害も非常に大きなものとなっており、対応が求められている。一方、基礎的研究成果から、微生物には活発に増殖する栄養細胞だけではなく、増殖を一時的に停止した休眠細胞も様々存在し、それら(一部)が栄養細胞に比べて非常に高い環境ストレス耐性や抗菌処理耐性を示すことが報告されている。このような現状から新しい抗菌処理技術が求められているものの効果的なものは開発されていない。その一因は一般環境で微生物細胞が形成する集団構造(バイオフィルム)の形態や生理活性が明確に解明されていないためである。
そこで本書ではバイオフィルム研究の最前線でご活躍されている先生方に、第1章「バイオフィルム構造と形成機構」について、第2章「バイオフィルム形成が及ぼす問題点と制御・防止対策」について、ご執筆いただき、現在微生物汚染の大きな問題点であるバイオフィルム対策の一助となればと考えている。一方で、バイオフィルムには単一の微生物細胞とは異なるヒトにとって有益な機能を発揮する例も数多く報告されている。第3章「バイオフィルムの有効利用」として将来の微生物利用に向けたバイオフィルムの可能性についても議論いただいた。これらを通して微生物とヒト社会の良い距離間を保った共存が可能になればと願っている。

関西大学
松村吉信

著者一覧

松村吉信   関西大学
田代陽介   静岡大学
天野富美夫  大阪薬科大学
米澤英雄   杏林大学
久保田浩美  花王(株)
池田宰      宇都宮大学
千原康太郎  早稲田大学
常田聡     早稲田大学
古畑勝則   麻布大学
本田和美   越谷大袋クリニック
大薗英一   日本医科大学
泉福英信   国立感染症研究所
福﨑智司   三重大学 
矢野剛久   花王(株)
川野浩明   東京工業大学
末永祐磨   東京工業大学
馬場美岬   東京工業大学
細田順平   東京工業大学
沖野晃俊   東京工業大学
兼松秀行   鈴鹿工業高等専門学校
河原井武人  日本大学
野村暢彦   筑波大学

目次

第1章 バイオフィルムの構造と形成機構
1 一般的なバイオフィルム構造とその形成過程、バイオフィルム評価
1.1 はじめに
1.2 一般的なバイオフィルム構造
1.3 バイオフィルムが形成される環境
1.4 バイオフィルムを構成する微生物細胞
1.5 バイオフィルムの環境ストレス耐性・抗菌剤耐性
1.6 バイオフィルム形成過程
1.7 バイオフィルム対策
1.8 バイオフィルム評価
1.9 まとめ
2 緑膿菌が形成するバイオフィルムの構造と特徴
2.1 はじめに
2.2 緑膿菌のバイオフィルム形成過程
2.2.1 付着
2.2.2 マイクロコロニー形成
2.2.3 成熟
2.2.4 脱離
2.3 バイオフィルムの構成成分
2.3.1 細胞外多糖
2.3.2 細胞外DNA
2.3.3 細胞外タンパク質
2.3.4 膜小胞
2.4 Quorum sensingよるバイオフィルム制御
2.5 c-di-GMPによるバイオフィルム制御
2.6 環境ストレスに応答したバイオフィルム形成
2.7 おわりに
3 サルモネラが形成するバイオフィルムの構造
3.1 はじめに
3.2 サルモネラのバイオフィルム
3.2.1 サルモネラのバイオフィルムの形成機構と構造
3.2.2 サルモネラのバイオフィルムに関する問題
3.3 サルモネラのストレス応答とバイオフィルム形成
4 Helicobacter pyloriが形成するバイオフィルムの構造
4.1 はじめに
4.2 ピロリ菌の細菌学的特徴とその病原性
4.3 ピロリ菌感染
4.4 ピロリ菌のバイオフィルム形成
4.5 ピロリ菌バイオフィルムの構造
4.6 最後に
5 乳酸菌バイオフィルムの構造と特徴
5.1 はじめに
5.2 乳酸菌汚染対策とバイオフィルム
5.3 野菜上の微生物の存在状態
5.4 乳酸菌バイオフィルムの形成
5.5 乳酸菌バイオフィルムの構造
5.6 乳酸菌バイオフィルムのストレス耐性
5.7 タマネギから分離した乳酸菌のバイオフィルムにおけるストレス耐性
5.8 終わりに
6 バイオフィルム形成とQuorum Sensing機構
6.1 はじめに
6.2 Quorum Sensing機構
6.3 細菌によるバイオフィルム形成へのQuorum Sensing機構の関与
6.4 Quorum Sensing機構制御技術
6.5 Quorum Sensing制御によるバイオフィルム形成抑制技術
6.6 おわりに
7 バイオフィルム内のストレス環境とPersister形成
7.1 はじめに
7.2 Persister形成と栄養枯渇
7.3 Persister形成とプロトン駆動力
7.4 Persister形成とATP枯渇
7.5 Persister形成とその他のストレス
7.5.1 ジオーキシックシフト
7.5.2 薬剤排出ポンプ
7.5.3 酸化ストレス
7.5.4 クオラムセンシング
7.6 おわりに

第2章 バイオフィルム形成が及ぼす問題点と制御・防止対策
1 バイオフィルムの発生例と分離菌について
1.1 バイオフィルムの発生
1.2 バイオフィルムの微生物的解析
1.2.1 バイオフィルムの発生事例
1.2.2 バイオフィルムの採取と観察
1.2.3 バイオフィルムの発生状況と外観
1.2.4 バイオフィルムの顕微鏡観察
1.2.5 バイオフィルムの従属栄養細菌数
1.2.6 バイオフィルムの構成菌種
1.2.7 バイオフィルムと構成細菌から抽出した色素の類似性
1.2.8 まとめ
1.3 バイオフィルムに関する新たな視点
1.4 バイオフィルムに関する今後の課題
2 血液透析の医療現場におけるバイオフィルム形成の問題点と解決への糸口
2.1 はじめに
2.2 配管内バイオフィルムの証明
2.2.1 パルスフィールド法によるGenotypeの同一性
2.2.2 作業者の手による水系汚染
2.2.3 分離菌構成の合目的性
2.3 血液透析医療の現場の問題点
2.3.1 黎明期からOn-line血液透析ろ過(HDF)まで治療法の変遷
2.3.2 日本の透析液清浄度の測定事情
2.3.3 透析液製造系への清浄化対策の限界
2.4 問題点を解決するための打開策
2.4.1 現実対応手段
2.4.2 抜本的な解決手段:機器構造・施設配管の問題
3 口腔バイオフィルムの特殊性と制御法の現状
3.1 はじめに
3.2 口腔におけるバイオフィルム形成の特殊性
3.2.1 歯表面における口腔常在バイオフィルム形成菌の付着、凝集
3.2.2 死菌による口腔バイオフィルム形成
3.2.3 歯石形成
3.2.4 舌上のバイオフィルム
3.2.5 口腔粘膜のバイオフィルム
3.2.6 日和見菌による口腔バイオフィルム形成
3.2.7 口腔バイオフィルム形成と口臭
3.2.8 口腔バイオフィルム形成と全身疾患
3.3 口腔バイオフィルム形成の制御方法
3.3.1 物理的な口腔清掃方法
3.3.2 代用甘味料を用いたバイオフィルム未形成
3.3.3 洗口剤によるバイオフィルム形成抑制
3.3.4 歯磨きペーストによるバイオフィルム形成抑制
3.3.5 クオラムセンシング阻害によるバイオフィルム形成抑制
3.4 おわりに
4 バイオフィルム制御と洗浄技術
4.1 バイオフィルムの形成と洗浄による制御
4.2 水を用いた清拭洗浄
4.3 アルカリ剤の洗浄効果
4.4 次亜塩素酸の洗浄効果
4.4.1 硬質表面汚れに対するOCl-の洗浄力
4.4.2 樹脂収着汚れに対するHOClの洗浄力
4.5 界面活性剤の併用効果
4.6 塩素系アルカリフォーム洗浄の効果
4.7 気体状HOClによる付着微生物の殺菌
5 生活環境におけるバイオフィルムの制御
5.1 生活環境におけるバイオフィルム
5.2 生活環境におけるバイオフィルムの制御戦略上の特徴
5.3 制御技術構築に向けた戦略
5.4 浴室ピンク汚れ制御に関する研究例
5.5 おわりに
6 プラズマによるバイオフィルム洗浄・殺菌
6.1 プラズマと殺菌
6.2 大気圧プラズマの生成・利用方法
6.2.1 コロナ・アーク放電
6.2.2 誘電体バリヤ放電
6.2.3 グライディングアーク放電
6.2.4 リモート型プラズマ処理
6.2.5 液中殺菌用プラズマ照射法
6.3 各ガス種のプラズマにより液中に導入される活性種
6.4 大気圧低温プラズマによる殺菌効果
6.4.1 各種浮遊菌に対する大気圧低温プラズマの殺菌効果
6.4.2 プラズマバブリングによる付着したバイオフィルム構成菌の不活化
6.4.3 超音波併用プラズマバブリングによる付着したバイオフィルム構成菌の不活化
6.5 おわりに
7 無機物表面のバイオフィルムの評価と対策
7.1 はじめに
7.2 無機物表面に形成されるバイオフィルムとその特徴
7.3 バイオフィルムが引き起こす工業的な問題
7.3.1 腐食・スケール問題
7.3.2 医療衛生問題
7.4 バイオフィルムの評価法
7.4.1 光学顕微鏡
7.4.2 分光学的手法
7.4.3 染色法
7.5 バイオフィルムの対策の現状
7.5.1 機械的方法
7.5.2 薬剤による除去
7.5.3 材料側からのアプローチその他
7.6 終わりに

第3章 バイオフィルムの有効利用
1 バイオフィルムを用いた有用物質生産
1.1 はじめに
1.2 発酵食品
1.3 バイオフィルムリアクター
1.4 発電微生物
2 バイオフィルムの有効利用に向けたバイオフィルム解析とその展望
2.1 はじめに
2.2 簡易的バイオフィルム定量のための解析手法
2.3 バイオフィルム構造の解析手法
2.4 複合微生物系バイオフィルムの解析技術
2.5 バイオフィルム研究技術の将来展望
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