検索条件

フリーワード商品検索

→詳細検索はこちら


お買い上げ合計金額2,000円以上の場合は配送料を当社負担!

cmcbooks内の検索(Yahoo検索)

商品カテゴリ

オススメコンテンツ
広告出稿のご案内
月刊誌や年鑑などの印刷物への広告から,Webやメールマガジンまで,広告出稿をお考えの方へのご案内です。

書評掲載一覧
さまざまな雑誌,新聞等で掲載していただいた書評の一覧です。(11月13日更新)

電子書籍のご案内
過去の書籍をお求めやすい価格で電子版として販売! 雑誌バックナンバーも充実!

常備書店
常時棚揃えしている全国の書店様をご紹介しています

海外注文 overseas order
海外からのご注文も承っています。


よくある質問
お問い合わせの多いご質問など,よくあるご質問を掲載しています。


弊社サイトは,グローバルサインのSSLサーバ証明書を導入しております。ご注文情報等は,全て暗号化されますので安心してご利用頂けます。

CMC plus ―2011.10.04― (レアメタル―“限定”に弱い日本人―)


<レアメタル―“限定”に弱い日本人―>


いろんな意味でレアなメタル

 日本にとって、レアメタルの安定供給がどれほど重要かというと、それはもう、ものづくり全てに関わる。付加価値の高い製品といったら、なんにでもレアメタルが使われていると、ものすごくざっくり言っても大きく間違ってはいないだろう。レアメタルを安定して仕入れることは、日本の製造業にとって必須用件といえるが、これがどうも難しくなってきている。
 レアメタルは地球上に偏在しているものが多く、なかでもとくに17種類の希土類(レアアース)は中国が97%供給し、そのほかのレアメタルも少数の生産地から供給されていることが多い。レアメタルとは、埋蔵量が少ないメタルではなくて、コスト的に、また政情等も含めて入手しにくいメタルを指す。つまり逆に言えば、レアメタルと言われる資源はどれも、安定供給に難があるものといえる。 実際に、使用量の増加により、また投機対象としての注目から、取引価格は年々上昇している。たとえば、W(タングステン)は2年で2倍に、In(インジウム)は2003年からの3年間で3倍に急騰した(いまは2倍程度に落ち着いている)。
 ハワイ近海の海底に巨大なレアアースの鉱床があるという東京大学の加藤泰浩先生の発見が大きく報道されたが(詳しくはこちら(PDF))、海底にあるものを効率よく回収して、分離精製して使用するには、コスト面でも技術面でもまだ課題は多い。このあたりは、存在は確認されていても、掘削や精製にコストのかかるオイルサンドやメタンハイドレートと似ていて、将来の選択肢の一つととらえるのが適当なようだ。
 こうした新しいレアメタルの発掘はもちろんのことだが、日本だけでなく世界中で、レアメタルをリサイクルする、使用量を減らす、代替する技術の開発に必死である。CMCの書籍に出てくる研究にも、タイトルにこそないがレアメタル問題の解決を目指した研究は多い。


リサイクルが必ずしもいいというわけではない理屈

 レアメタルを使用する工場の排水等から、レアメタルを効率よく回収し、再び資源として使用できるなら、コストの削減に直結できる。溶媒抽出法、イオン交換樹脂法、吸着法などがある。溶媒からの回収技術は、マンハッタン計画のウラン回収に端を発し、レアアースの回収技術として日本でも使われていたらしい。吸着法は、吸着材としてゼオライト、シリカゲル、セラミックと様々。また、より安価な方法で、微生物を使った回収技術も大きなポテンシャルを秘める。ちなみに、原発からの放射性セシウムの回収の目的ではゼオライトが有力とニュースになった。海水中には吸着されやすい成分が多く、材料開発の難しさがあると聞いた。
 実は、レアメタルは街の中にもある。家の中にまである。これまでに使ってきた電化製品の廃棄物だ。例えば、目覚まし時計としての余生を送っている携帯電話もそう。目覚まし時計としては引退した先々代の携帯電話もそう。しかし、すぐ目の前にレアメタルがあるというのはとても魅力的なようだが、これはこれで難しい。廃家電を集めるための社会システムや他の金属との分離などの手間が大きい。海底の地殻にある鉱物中のレアメタルも、街中に分散している頑丈に作られた製品の中のレアメタルもコストからみれば同じようなものなのかもしれない。
 いずれにしろコスト競争する相手は、コモンメタルの副生成物として生産されるレアメタルになる。回収・分離・濃縮といった各プロセスに課題は多いものの、資源危機時代の一つのオプションとするための、より効率的な技術の開発は、日本だけでなく世界の平和につながるだろう。


省・脱レアメタル

 自動車の排ガス浄化触媒では、Pt(白金)・Pd(パラジウム)・Rd(ルビジウム)を減らす取組みが続いてきた。ある工業触媒の先生に言わせると、「代替なんて考えるだけ無駄」というほど、白金族の触媒の効果は大きいが、代替・節約する研究はつねに注目を集めている。カーボンアロイ、遷移金属を複合したもの、担体の形状、触媒金属のナノ粒子化による節約などがある。
 有機合成の分野でも、マイクロリアクター、有機分子触媒、協奏機能触媒など、PtやPdの代替や節約を念頭に置いたグリーンケミストリーは多い。とくに、クロスカップリング反応のPd触媒を鉄触媒に置き換え、世界で初めて効果を確認した、京都大学の中村正治先生の研究など、世界をリードする触媒研究は多い。 先に挙げた貴金属のナノ粒子化も新しい触媒分野を開拓している。ナノ粒子化することで金属表面の振動する面積が大きくなり、反応速度が急速に大きくなるという。廃棄物を減らす選択酸化反応、殺菌効果など、今後が面白い効果が色々ある。


代替材料の研究には要注目

 レアメタルは、特異な性質を利用したキー材料として使われることが多い。例えば液晶ディスプレイなどで必須の透明電極には、Inを含むITOが使われる。Ne(ネオジム)は最強の永久磁石Ne-Fe-Bとしてモーターに使われ、Ga(ガリウム)はLEDや窒化物半導体として、Wは超硬工具材料、といくらでも挙げられる。
 文科省のさきがけPRESTに「新物質科学と元素戦略」というプロジェクトがある。この研究総括の細野秀雄教授(東工大)研究室のアプローチがすごい。代替すべき元素の構造から、求められる機能を推定し、その機能を代替する材料を作り出す。そんなこと可能なのかと疑ってしまいそうだが、絶縁材料のセメント分子を導電体に変えるという研究から、透明導電膜、トランジスタの作成に成功した。そのほかにも鉄系超伝導など多くの成果を出し続けている。(詳しくはこちら
 そして,来年度からの文科省プロジェクト「新・元素戦略プロジェクト(仮称)」 が新たにはじまる。このプロジェクトの目標は,レアアースを超える材料を創製することにある。経産省との連携も図られるらしく,目を離せないプロジェクトとなりそう。


 レアメタルはとくに、BRICSなどの成長著しい国では使用量が急増しているそうです。新しい技術開発でその競争のいくらかでも緩和できることを期待して、今後とも研究者を応援し、有用な技術情報を発行してまいります。ご期待ください。

参考:NIMSホームページ



(文:編集部 共田/2011年10月4日)
レアメタルの代替材料とリサイクル
(2008年3月発行)
レアメタル資源の現状はもちろん、節約・材料設計から代替までの技術詳細、そしてリサイクルに向けてのマテリアルフローまでテクノロジーと産業のレアメタルが一冊ですべて。

レアアースの最新技術動向と資源戦略
(2011年10月発行予定)
レアアース研究の決定版。近日発売予定!!

工業排水・廃材からの資源回収技術
(2010年8月発行)
製造業の製造プロセスからの排水・廃材に含まれる有価物を、排出原位置で回収・資源化する技術を解説。

機能材料「レアアース代替材料と回収技術」
(2011年6月発行)


月刊ファインケミカル
(2011年6月発行)
毎年12月号でGSCを特集。そのほかにも、独自の視点で選んだグリーンケミストリーを掲載。産業界注目の化学研究なら、ファインケミカルをチェック!

ファインケミカル年鑑
(毎年10月末発行)
化学工業の動向をまとめて掴める唯一の年鑑。

白金代替カーボンアロイ触媒
(2010年4月発行)


酸化物半導体と鉄系超伝導―新物質・新機能・応用展開―
(2010年8月発行)
細野プロジェクトの研究成果が、実用段階にはいった。そして、サイエンス誌の2008年10大ブレイクスルーに選ばれた“鉄系超伝導”の初めての解説書としても好評。

透明酸化物機能材料の開発と応用
(2011年6月再版)
透明酸化物を使った細野プロジェクトの前半。細野研究室の研究アプローチの真髄は、他分野の研究者にとっても一見の価値ありです。廉価版として再販売中。

希土類の機能と応用
(2006年1月発行)
大好評のため,品切れとなっておりましたが,電子書籍として,新価格で販売再開です。

メタルバイオテクノロジーによる環境保全と資源回収―新元素戦略の新しいキーテクノロジー―
(2009年3月発行)
低コスト・低環境負荷でのレアメタル回収、そして汚染土壌・水圏環境の修復技術。震災以来注目の高い書籍!

吸着技術の産業応用ハンドブック

吸着現象を利用した、上下水処理、海水の利用、レアメタル回収、ガスの除外、脱臭、溶剤回収、ガスの貯蔵など、あらゆる産業利用が網羅。これだけで吸着のすべてが分かる。