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歴史と語源/物理的・化学的特性/精油別含有率/抽出方法/安全性/化学と反応性/溶解性/ポリマーとリモネン/関連企業/ゴムとリモネン/高分子/特許/文献
刊行にあたって
リモネン(Limonene)は単環式モノテルペノイドの一種である。化学式はC10H16、分子量は136.23。d-リモネンとl-リモネンの2種類の鏡像異性体が存在し、両異性体を含むラセミ体であるd/l-リモネンはジペンテンとも呼ばれる。d-リモネンは柑橘類の果皮に多く含まれ、その香りを構成する物質の一つである。
また、リモネンは天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスと室温で反応し、固形ゴムと同様な加工法で製品を作ることができる。そのTgもオゾン性は類しているが、耐油性・耐薬品性に優れている。
筆者は、リモネンと有機メルカプタンが室温、1時間(15分で反応完了)で定量的に合成されることを発見し、さらにリモネン・硫黄樹脂はポリマーおよびゴム試薬として使用されることも発見した。これはタイヤに使用される可能性があり、使用されれば大変な市場になると思われる。
本レポートはリモネンの基礎的なところと硫黄樹脂とリモネンの有効利用についてまとめた。
リモネン関係の特許は1500種類ほどある。そのうち200種類ほどがリモネンとポリマーに関する特許となっており、できる限り重要な特許と文献を< 6>、< 7 >で原文を掲載した。
本レポートがリモネンおよびリモネンを使った高分子の化学にお役に立てば幸甚である。
著者一覧
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1 リモネンの歴史と語源
2 リモネンの物理的・化学的特性
3 リモネンの製油別含有率
4 リモネンの反応
5 リモネンの毒性
5.1 概要
5.2 環境省による評価
6 リモネンの抽出方法と企業
6.1 リモネンを多く含む製油
6.2 リモネンの抽出方法
6.3 リモネンの抽出方法についての特許
第2章 リモネンの安全性
1 概要
2 揮発性有機化合物(VOC)大気質調査
2.1 さいたまと渋川の秋季と冬季における濃度
3 調査報告と調査地域
4 リモネンの安全データシート
5 ピネンとリモネンの安全性について
第3章 リモネンの化学
1 リモネンの含有量
2 リモネンのpH,SP値
3 ミカンの皮茶とリモネンの含有量
4 リモネンの化学と反応性
4.1 概要
4.2 酸化反応メカニズムの推定
4.2.1 はじめに
4.2.2 VOCごとの粒子生成量の違い
4.2.3 アセトアルデヒドの影響
4.3 リモネンからの誘導体
4.4 室温での反応及び合成
4.4.1 室温でd‐リモネンと反応するメルカプタン
4.4.2 室温でリモネンと反応しないメルカプタン
4.4.3 シリケート
4.5 温度を加えた反応
4.6 動的架橋
第4章 リモネンの溶解性
1 ポリスチレンの溶解性
2 関連企業
2.1 ヤスハラケミカル (テルペン油溶剤)
2.2 旭化成ケミカルズ (成形機金型用洗浄剤 バスターマイルド)
2.3 onotaRO (ゴム洗浄用液 リキッドバッファー液)
2.4 Wing M (ウイング エム) (商品名: 特殊天然液体 インパクトd-リモネン)
3 発泡スチロールの溶解性についての特許
第5章 リモネンの有効利用
1 ポリマーとリモネン
1.1 ポリマーとリモネンに関する文献
1.2 ポリマーとリモネンに関する特許等
2 ゴムとリモネン
2.1 タイヤへの応用
2.2 リモネンとタイヤに関する特許
2.3 タイヤの分析
2.3.1 Agilent splitterを用いたGC/MS/NPD/PFPD同時分析
2.3.2 TG-GC/MSによるゴムの定性分析
2.4 配合剤
2.5 その他のゴム製品
第6章 リモネンと高分子に関する特許
1 リモネン・硫黄樹脂
2 リモネンに関する公開特許
第7章 リモネンと高分子に関する文献
1 高分子におけるリモネンに関する文献(2013年11月まで)
2 ゴムにおけるリモネンに関する文献(JDream)
付録 「リモネン」を用いた科学実験
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