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DLCの基礎と応用展開 

Fundamentals and Applications of DLC Films

★普及期に入ったDLC技術の本格専門書!!
★構造分析、評価などの基礎理論から各種応用技術までを網羅!!
★国際標準規格(ISO)制定を前に、益々盛り上がりを見せるDLC最新情報が満載!!

商品コード:
T1013
監修:
大竹尚登
発行日:
2016年7月21日
体裁:
B5判・263頁
ISBNコード:
978-4-7813-1167-8
価格(税込):
74,800
ポイント: 680 Pt
関連カテゴリ:
新材料・新素材
新材料・新素材 > 無機・金属材料
新材料・新素材 > 繊維・フィルム・膜

Review

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キーワード:

DLCの基礎/構造分析/トライボロジー/密着力/生体親和性/機械的応用/自動車部品/UBMS/DLC-Si膜/ta-C/WPC処理/セグメント構造DLC膜/電気的特性/ガスバリア性/表面修飾法/BドープDLC/ガス応答性/耐エッチング性/パルススパッタ/高sp3比DLC膜/DLC応用の将来

刊行にあたって

 ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon,以下DLC)膜は、宝石で知られるダイヤモンドと炭で知られるグラファイトの中間の物質で、ダイヤモンドのsp3結合とグラファイトのsp2結合の両者を炭素原子の骨格構造としたアモルファス炭素膜である。DLC中のダイヤモンド結合の成分は20~90%と幅広く、水素を0~50%含み、さらにシリコンなどの第3元素を含むこともあるので、一言でDLCと言ってもその物性は千差万別である。そこで、DLCを何種類かに分けて産業応用しやすくする必要に迫られており、現在DLCの標準化が検討されている。
 DLCは以前と比較して随分身近な存在になった。自動車を例にとれば、F1クラスにしか用いられていなかったDLCコーティング部品が、100万円台の市販車にも用いられている。低燃費が希求される自動車業界にあって、摩擦係数の低い表面を実現できるDLCは、今後ますます重宝される存在になるだろう。
本書は、主にDLCの応用を扱ったものであるが、用途拡大に必要な基礎的視座を重視し、DLCの構造、表面修飾についても詳述している。もちろん応用の基幹をなす機械的特性とトライボロジー特性については多くのページを割いている。DLCの応用とそれを支える基礎技術について、読者の皆様に多くの気づきがあることを期待する。

(「はじめに」より一部抜粋)

著者一覧

大竹尚登   東京工業大学
神田一浩   兵庫県立大学
佐々木信也   東京理科大学
加納眞   KANO Consulting Office
大花継頼   (国研)産業技術総合研究所
平栗健二   東京電機大学
三好理子   (株)東レリサーチセンター
竹田正明   (株)東レリサーチセンター  
辻岡正憲   日本アイ・ティ・エフ(株)
平塚傑工   ナノテック(株)
赤理孝一郎   (株)神戸製鋼所
鈴木泰雄   (株)プラズマイオンアシスト
熊谷泰   ナノコート・ティーエス(株)
森広行   (株)豊田中央研究所
佐川琢円   日産自動車(株)
熊谷正夫   (株)不二WPC
松尾誠   (株)iQubiq
岩本喜直   (株)iMott
鹿田真一   関西学院大学
梅原徳次   名古屋大学
鷹林将   (株)アドテックプラズマテクノロジー
白倉昌   オールテック(株)
森貴則   慶應義塾大学
鈴木哲也   慶應義塾大学
中村挙子   (国研)産業技術総合研究所
稗田純子   名古屋大学
青野祐美   防衛大学校
一ノ瀬泉   (国研)物質・材料研究機構
赤坂大樹   東京工業大学
滝川浩史   豊橋技術科学大学
井上雅貴   東京工業大学 
髙村瞭太   東京工業大学
葛巻徹   東海大学

目次 +   クリックで目次を表示

第1章 DLCの基礎
1 DLC膜の基礎と応用の概観
1.1 はじめに
1.2 機械とDLC
1.3 切削工具とDLC
1.4 DLCの分類
1.5 DLC成膜の基礎
2 DLC構造分析の基礎
2.1 DLC膜の構造
2.2 DLC膜のsp2/sp3比の分析方法
2.3 DLC膜の水素含有率の分析方法
2.4 ヘテロ元素含有DLC膜の構造解析
2.5 むすび
3 薄膜トライボロジーの基礎
3.1 はじめに
3.2 トライボロジーの基礎メカニズム
3.2.1 摩擦のメカニズム
3.2.2 摩耗のメカニズム
3.2.3 潤滑のメカニズム
3.3 トライボマテリアルとしてのDLCの特徴
3.3.1 高硬度
3.3.2 平滑性と低攻撃性
3.3.3 固体潤滑性
3.3.4 化学的安定性(耐腐性)
3.4 おわりに
4 DLCのトライボロジー応用における留意点
4.1 はじめに
4.2 応用における留意点
4.3 おわりに
5 DLC膜の密着力とその評価
5.1 はじめに
5.2 一般的な評価方法
5.3 摩擦摩耗試験とはく離
5.4 統計的なはく離荷重
5.5 はく離評価における課題
5.6 おわりに
6 DLCの生体親和性
6.1 はじめに
6.2 アモルファス炭素系薄膜(含むDLC膜)と膜特性
6.2.1 アモルファス炭素系薄膜(含むDLC膜)の作製
6.2.2 アモルファス炭素系薄膜(含むDLC膜)の細胞親和性
6.2.3 アモルファス炭素系薄膜(含むDLC膜)の物性評価
6.3 評価結果
6.3.1 細胞親和性評価
6.3.2 膜物性評価
6.3.3 細胞親和性と光学特性
6.4 まとめ
7 固体NMRによる炭素膜の構造分析
7.1 はじめに
7.2 固体高分解能NMR(核磁気共鳴)法によるsp3炭素比率の評価
7.3 DLC膜の評価事例
7.3.1 試料
7.3.2 DLC膜の各種物性評価
7.3.3 DLC膜の構造評価
7.4 まとめ

第2章 機械的応用展開
1 DLCの機械的応用の最前線
1.1 はじめに
1.2 DLCの種類と特徴
1.3 工具・金型への応用
1.3.1 軟質金属切削加工への適用
1.3.2 軟質金属成形用金型への適用
1.3.3 超平滑DLCとその新展開
1.4 DLCの機械部品(摺動部品)への応用
1.4.1 代表的な機械部品への適用事例と最近の取組
1.4.2 高分子部品への適用
1.4.3 新たな機械部品適用への取組
1.5 DLCの自動車部品への応用
1.6 まとめ
2 分析の視点からの機械的応用と特徴
2.1 はじめに
2.2 光学的評価による構造と硬さの関係
2.3 多元素含有とその特性
2.3.1 ボロン含有DLC膜と導電性
2.3.2 フッ素含有DLC膜と撥水性評価
2.4 おわりに
3 DLCの自動車部品への適用の新展開
3.1 はじめに
3.2 自動車部品への適用状況
3.3 DLC膜の摩耗に及ぼす潤滑剤の影響
3.4 DLCの自動車部品適用の新展開
3.4.1 究極のピストンとシリンダの材料仕様
3.4.2 究極のエンジン摩擦低減の可能性
3.5 おわりに
4 UBMS装置によるDLC膜の最前線
4.1 UBMS法の原理と特長
4.2 UBMS装置によるDLC形成プロセス
4.3 UBMS法による高機能DLC膜の形成
4.3.1 中間層による高密着性
4.3.2 硬度制御性
4.3.3 組成制御性
4.4 UBMS装置によるDLC膜の展開
4.4.1 UBMS+AIP
4.4.2 UBMS+プラズマCVD
4.5 おわりに
5 導電性DLCをコートした燃料電池用セパレータの開発
5.1 はじめに
5.2 セパレータに要求される特性
5.2.1 燃料電池の構成
5.2.2 セパレータに要求される特性
5.3 DLCの導電化
5.3.1 DLCとは
5.3.2 DLCの成膜方法
5.3.3 DLCの成膜プロセス
5.3.4 DLCの導電化
5.4 接触抵抗の低減
5.4.1 接触抵抗の原理
5.4.2 接触抵抗
5.5 耐食性
5.5.1 導電性DLC膜の構成
5.5.2 導電性DLC膜の耐食性
5.6 低コスト
5.6.1 高速成膜装置
5.6.2 インライン装置の概念図
5.6.3 成膜速度
5.6.4 低コスト化
5.7 ステンレスセパレータの発電性能
5.7.1 単体セルの発電性能
5.7.2 セルスタックの発電性能
5.8 アルミセパレータの発電性能
5.8.1 セルスタックの発電試験
5.9 まとめ
6 多層化水素含有DLC膜の特性と応用
6.1 はじめに
6.2 成膜装置とプロセス
6.3 密着力評価
6.4 トライボロジー特性
6.5 実用例
6.6 おわりに
7 DLC-Si膜の電動ウォータポンプシャフトへの適用
7.1 はじめに
7.2 鋼材への高密着化技術
7.3 DLC-Si膜のトライボジー特性
7.4 防食設計
7.5 おわりに
8 ta-Cの自動車部品への適用
8.1 はじめに
8.2 ta-Cの自動車部品への適用事例
8.2.1 バルブリフタ
8.2.2 ピストンリング
8.3 ta-C膜における低フリクション化
8.3.1 油性剤による低フリクション化
8.3.2 高真空下での摩擦試験によるta-C膜低フリクション化メカニズム検討
8.3.3 コンピューターシミュレーションによる低フリクション化メカニズム検討
8.4 ta-C膜と省燃費エンジンオイルによる低フリクション化メカニズム
8.5 おわりに
9 WPC処理によるAl合金部材へのDLCコーティング
9.1 はじめに
9.2 WPC処理について
9.2.1 WPC処理とは
9.2.2 WPC処理による複合組織の形成
9.3 DLC被覆のためのアルミニウム合金へのWPC処理
9.3.1 金属基材へのDLCの付着機構
9.3.2 アルミニウム合金表面への密着性向上のための構造
9.3.3 アルミニウム合金へのDLC被覆
9.4 DLC被覆アルミニウムピストンの開発
9.5 おわりに
10 セグメント構造DLC膜のはさみへの応用展開
10.1 理美容用はさみの構造設計
10.2 理美容用S-DLCコーティングはさみの設計
10.3 S-DLCコーティングはさみの特性
10.4 S-DLCコーティングはさみのまとめ
10.5 S-DLCコーティングはさみの今後の展開
11 ナノダイヤモンドの合成と機械的応用
11.1 はじめに
11.2 合成と特性
11.3 機械的応用
11.4 機械的応用の展開
12 a-CNx膜のトライボロジー特性
12.1 はじめに
12.2 a-CN膜の乾燥窒素中における超低摩擦の発現
12.3 a-CNxの乾燥窒素ガス中超低摩擦発現メカニズム
12.4 a-CNxの添加剤を含有しないベース油(PAO油)中での超低摩擦発現
12.5 a-CNx膜の反射分光分析摩擦面その場観察による構造変化層の厚さ及び物性と摩擦係数の関係
12.6 今後の展望

第3章 電気的・光学的・化学的応用展開
1 DLCの電気特性と化学構造との関係
2 DLC膜のガスバリヤ性とその応用の最前線
2.1 はじめに
2.2 PETボトル内面へのDLCコーティングと改良開発の状況
2.3 PETボトルのリユース適性向上への利用
2.4 大気圧プラズマCVD法によるガスバリヤ性向上
2.5 DLC膜と酸化ケイ素系膜の積層膜の大気圧プラズマによるコーティング
2.6 マイクロ波励起大気圧プラズマCVD法によるDLCコーティング
2.7 大気圧プラズマCVD法によるコンクリート保護
2.8 おわりに
3 DLCの表面修飾法
3.1 はじめに
3.2 フッ素官能基化技術
3.3 酸素官能基化技術
3.4 硫黄官能基化技術
3.5 他のカーボン材料への適用
3.6 化学修飾カーボン材料の医用応用
3.7 まとめ
4 BドープDLCの生体親和性
4.1 はじめに
4.2 BドープDLC膜の作製
4.3 BドープDLC膜の表面構造と表面特性
4.4 BドープDLC膜の血液適合性
4.4.1 血液適合性について4)
4.4.2 血液適合性試験
4.4.3 BドープDLC膜の血液適合性
4.5 おわりに
5 アモルファス窒化炭素のガス応答性
5.1 はじめに
5.2 抵抗値の雰囲気依存性
5.3 雰囲気依存性の原因
5.4 まとめ
6 DLCのフィルターへの応用
6.1 はじめに
6.2 研究動向
6.3 DLC製の濾過フィルターの特徴
7 DLC膜の耐エッチング性

第4章 次世代DLC応用のためのキー技術
1 大電力パルススパッタリングによるDLC成膜技術
1.1 はじめに
1.2 高硬度化
1.3 高速成膜
1.4 HiPIMS技術の今後の展開
2 高sp3比DLC膜の成膜
2.1 はじめに
2.2 成膜方法
2.3 真空アーク蒸着
2.4 フィルタードアーク蒸着
2.5 高sp3比DLC膜の作り方
2.6 高sp3比DLC膜の応用
2.7 おわりに
3 準大気圧・大気圧DLC成膜と円管内壁へのDLC成膜
3.1 ナノパルスプラズマCVDと準大気圧下でのDLC成膜
3.2 準大気圧下でのDLC膜の厚膜化
3.3 大気圧下でのDLC成膜
3.4 ナノパルスプラズマCVDによる円管内へのDLC成膜
3.5 まとめ
4 ナノ材料試験システムによるDLC膜の力学特性評価
4.1 緒言
4.2 実験方法
4.2.1 ナノ材料試験システム
4.2.2 試料作製
4.2.3 引張試験
4.2.4 ナノインデンテーション試験
4.3 実験結果および考察
4.3.1 ナノ材料試験システムによるDLC膜の引張試験
4.3.2 ピエゾ駆動型微少引張試験機の開発
4.4 まとめ

第5章 DLCとその応用の未来

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