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バイオ電池の最新動向(普及版)

  • Recent Progress in Biofuel Cells(Popular Edition)
  • NEW
2011年刊「バイオ電池の最新動向」の普及版!バイオマスを燃料源として利用した安全・低環境負荷・低コストなバイオ電池の研究開発と電気エネルギー回収可能な微生物燃料電池の廃水処理への応用も解説!!

商品コード: B1241

  • 監修: 加納健司
  • 発行日: 2018年5月11日
  • 価格(税込): 5,292 円
  • 体裁: B5判、246ページ
  • ISBNコード: 978-4-7813-1278-1

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  • ▼内容:【酵素バイオ電池編】酵素電極反応 / 電池材料の研究開発 / 酵素電極の研究開発 / 酵素電池の研究開発【微生物電池編】微生物の電気化学

刊行にあたって

 電池とは適当な酸化剤と還元剤から成るものであり,その酸化還元反応の活性化エネルギーが高く,触媒なしには反応が進行しない系を選び,適当な電極触媒の下で,必要に応じて反応を進行させ,化学エネルギーを電気エネルギーに変えるものである。このように考えると,生体エネルギー変換系と電池のエネルギー変換系の両者は驚くほど類似点が多い。したがってこの生体系に学び,その仕組みを利用することによって,新しいエネルギー変換装置をつくることができるはずである。これがバイオ電池(バイオ燃料電池)と呼ばれるものである。本書では,主に代謝・呼吸に相当する生体機能を利用したバイオ電池について,その作動原理や特徴を紹介し,未来の電源への展開へ向けた研究開発動向についてまとめた。本稿では,続く章との重複を避け,バイオ電池について概説したい。
 バイオ電池において,最も重要な反応は,生体触媒酸化還元反応と電極反応を共役させた反応系,つまり生体触媒を電極触媒として利用する電極反応である。これを生体触媒電極反応(バイオエレクトロカタリシス反応)と呼ぶ。本触媒系は,活性化エネルギーが高い生体関連物質の電気化学反応を非常に穏和な条件下で実現できる利点がある。この反応系は,既にデバイスに組み込まれており,各種バイオセンサとして市販されている。特に血糖値センサは,現在では開発・販売競争が世界的規模で展開されている。バイオ電池の生体触媒として酵素を使う場合を酵素バイオ電池,そして微生物を用いる場合は微生物バイオ電池と呼ぶ。本書もそのような観点で,これら2つを大別して扱っている。
 酵素バイオ電池の場合は,単位面積あたりの出力が数mW程度までと太陽電池に匹敵する程にまで向上しており,小型化が容易である利点もある。将来的には,携帯電子機器の電源や生体内埋め込み型医療装置の電源などへの展開が期待されている。一方,微生物バイオ電池は,その単位面積(体積)あたりの出力は,酵素バイオ電池の1/10~1/100程度であるので,大型化して利用することが想定されている。活性汚泥による水処理との関連から,微生物電池は水質浄化システムに組み込むことが提案されているほか,水田や海洋での利用形態も考えられている。いずれにしても身近な化合物を燃料とし,温和な条件で機能する安全,安価な次世代電源として位置付けることができ,世界中で活発に研究・開発が進められている。 (中略)
 電池は,触媒や電極の科学が必須であることはいうまでもなく,物質移動を考慮した構造設計やスタッキング技術の向上も必要で,さらにバイオ電池の場合には,酵素やメディエータの固定化も大きな鍵となる。まさに総合科学の結集であり,非常に魅力あるテーマでもある。一方,電池研究では時として,出力の議論に重点がおかれるが,バイオ電池の現状を考えるとまず単極反応の電流―電圧曲線を解析・議論することが重要であると思われる。その意味で,本書では,生体触媒電極反応の電流―電圧曲線の解析法に関する記述についても紙面を割いている。
 実用化を視野に入れた場合にはいくつかの課題がある。酵素バイオ電池の場合,1)高電流密度化,2)耐久性の向上,3)多電子酸化系の構築,および4)電池構造や作動形態の検討が必要である。1)については,酵素とメディエータの固定化法の改善が最も重要であろう。炭素電極の開発も重要な鍵となる。2)については,現状では明確な指針を打ち出せないが,固定化酵素などのように工業レベルでの実用化の実例から考えて,よりサイエンティフィックなアプローチを重ねれば決して不可能ではないと思っている。3)については,どの燃料にターゲットをあてるかで,アプローチが決まるが,多種類酵素の固定化は重要な鍵となるであろう。
 一方,微生物バイオ電池では,負極の反応機構の解明と正極の触媒に対する新規な提案が今後の鍵となるであろう。光合成系を利用した負極構築も魅力的であり,バイオ太陽電池への展開も期待できる。
 このように,バイオ電池は多種多様なバイオマス燃料を利用できる新しい電池として注目を集めているだけでなく,その進展は,エネルギー問題だけでなく,環境問題解決への一つのアプローチとなる可能性がある。生体触媒と電極との界面の科学は未知な点が多い。さらにバイオ電池へと展開させるためには生物電気化学のみならず,材料科学,酵素科学,応用微生物学,機械工学といった多くの分野からの参入を呼び込みそれぞれの連携を深めていくことで,ブレークスルーする必要がある。基礎科学に立脚した多様な分野の融合により,新しい科学の創成も期待される。そのためにも根底となる基礎を固めていくことがなによりも必須である。本書を通じて,多くの方に,この領域に参画していただき,飛躍的な進展をすることを心から期待している。
(「はじめに」より抜粋)

<普及版の刊行にあたって>

 本書は2011年に『バイオ電池の最新動向』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

2018年5月  シーエムシー出版 編集部

著者一覧

加納健司   京都大学 
辻村清也   筑波大学 
中村暢文   東京農工大学
冨永昌人   熊本大学 
吉野修平   東北大学 
三宅丈雄   東北大学 
西澤松彦   東北大学 
大野弘幸   東京農工大学 
矢吹聡一   (独)産業技術総合研究所 
駒場慎一   東京理科大学 
勝野瑛自   東京理科大学大学院 
渡辺真也   東京理科大学大学院 
白井理    京都大学 
四反田功   東京理科大学 
田巻孝敬   東京工業大学 
酒井秀樹   ソニー(株)
中川貴晶   ソニー(株)
山口猛央   東京工業大学 
山崎智彦   (独)物質・材料研究機構(NIMS)  
早出広司   東京農工大学 
中村龍平   東京大学 
中西周次   東京大学 
橋本和仁   東京大学 
井上謙吾   宮崎大学 
二又裕之   静岡大学 
松本伯夫   (財)電力中央研究所 
平野伸一   (財)電力中央研究所 
渡邉一哉   東京薬科大学
柿薗俊英   広島大学 
岡部聡    北海道大学 
西尾晃一   東京大学 

執筆者の所属表記は、2011年当時のものを使用しております。

目次

【酵素バイオ電池編】
第1章 酵素電極反応  
1 酵素型バイオ電池
2 酵素電極反応
3 電極触媒として用いられる酸化還元酵素
3.1 アノード用酵素
3.1.1 ニコチンアミドジヌクレオチド(リン酸)(NAD(P))依存性脱水素酵素反応系
3.1.2 NAD(P)非依存性の酸化還元酵素
3.1.3 アノード酵素に求められる特性
3.2 カソード用酵素
4 酵素電極反応とバイオエレクトロカタリシス
4.1 酵素反応機構
4.2 バイオエレクトロカタリシス反応
4.2.1 メディエータ型酵素電極反応
4.2.2 直接電子移動型酵素電極反応
5 バイオ電池の評価方法および出力決定因子の解析

第2章 電池材料の研究開発
1 金ナノ粒子電極 
1.1 はじめに
1.2 金ナノ粒子電極の利点
1.3 金ナノ粒子電極に関する報告
1.4 金ナノ粒子電極を用いたバイオ電池
1.5 おわりに
2 ナノ構造金属カーボン複合電極 
2.1 はじめに
2.2 SAMを用いた金電極界面デザイン
2.3 ビリルビンオキシダーゼおよびラッカーゼとの直接電子移動反応のためのSAM修飾金電極
2.4 フルクトースデヒドロゲナーゼとの直接電子移動反応のためのSAM修飾金電極
2.5 金ナノ粒子を用いたナノ構造金属カーボン複合電極の作製とバイオ燃料電池への応用
3 カーボンナノチューブ電極 
3.1 はじめに
3.2 CNTによる電極の作製方法
3.2.1 電極基板(集電体)へのCNT修飾
3.2.2 自立したCNT集合体の作製と利用
3.3 CNTの機能化
3.3.1 共有結合的な分子修飾
3.3.2 非共有結合的な分子修飾
3.4 おわりに
4 多孔性炭素電極 
4.1 2次元から3次元電極
4.2 バイオ電池に適した細孔径の設計
4.3 マクロ孔多孔質炭素マテリアル
4.4 メソ孔多孔質炭素中における酵素電極反応
4.5 まとめ
5 イオン液体 
5.1 はじめに
5.2 イオン液体
5.3 バイオ電池にイオン液体は使えるか?
5.4 イオン液体を用いたバイオマス処理
5.5 酵素の溶媒としてのイオン液体
5.6 イオン液体を用いたバイオ電池
5.7 将来展望

第3章 酵素電極の研究開発
1 酵素固定化法 
1.1 はじめに
1.2 酵素固定化法の種類
1.2.1 吸着固定化
1.2.2 包括固定化
1.2.3 共有結合を利用した固定化
1.3 酵素電池構築のための酵素固定化法
1.4.1 吸着によるカーボン上への酵素固定
1.4.2 ポリエレクトロライト複合体による酵素包括固定
1.4.3 カーボンナノチューブを用いた酵素の固定化
1.4.4 長期安定な酵素固定化
1.5 おわりに
2 ポリイオンコンプレックスを用いる酵素電極 
2.1 はじめに
2.2 バイオセンサ
2.3 バイオ電池
3 マイクロカプセルとリポソーム 
3.1 はじめに
3.2 マイクロカプセル固定化電極について
3.2.1 マイクロカプセル調製法
3.2.2 マイクロカプセルの固定化
3.3 リポソーム型電極について
3.3.1 リポソーム調製法
3.3.2 リポソーム固定化法
4 ボルタンメトリと対流ボルタンメトリによる評価 
4.1 はじめに
4.2 直接電子移動型酵素電極反応
4.3 メディエータ型酵素電極反応
4.4 物質輸送律速(拡散と対流)
4.5 まとめ
5 電気化学インピーダンス法による解析 
5.1 はじめに
5.2 基本的な等価回路とインピーダンススペクトルの表記法
5.3 ファラデーインピーダンスについて
5.4 メディエータ型酵素電極における電気化学インピーダンス適用例
5.5 メディエータ型酵素電極のファラデーインピーダンス
5.6 おわりに
6 酵素固定多孔質電極 
6.1 はじめに
6.2 電極構成
6.3 特性
6.4 おわりに

第4章 酵素電池の研究開発
1 高出力バイオ電池 
1.1 はじめに
1.2 メディエータ型酵素電池の要素技術
1.2.1 電池構造
1.2.2 バイオ負極
1.2.3 バイオ正極
1.2.4 電解質
1.2.5 セル特性
1.3 おわりに
2 医療用マイクロ酵素電池 
2.1 はじめに
2.2 医療用酵素電池開発の経緯と現状
2.3 酵素電池を支えるナノ・マイクロ技術
2.3.1 自動バックアップシステム
2.3.2 直列化システム
2.3.3 フレキシブルな貼る酵素電極
2.4 おわりに
3 直接電子移動型バイオ電池 
3.1 直接電子移動型の酵素機能電極反応
3.2 カソード:マルチ銅酸化酵素
3.3 アノード酵素
3.3.1 ヒドロゲナーゼ
3.3.2 セロビオースデヒドロゲナーゼ
3.3.3 フルクトース脱水素酵素
3.3.4 その他
4 PEFC型バイオ電池 
4.1 はじめに
4.2 セル構成
4.3 開発例
4.4 気相酸素供給バイオカソード
4.5 おわりに
5 バイオセンサへの応用 ~酵素燃料電池型バイオセンサから自立型バイオセンサへ~ 
5.1 はじめに
5.2 酵素燃料電池型バイオセンサ
5.3 バイオキャパシタ~自立型バイオセンサの開発~
5.4 まとめ

【微生物電池編】
第5章 微生物の電気化学 
1 序論
2 細胞外電子移動の界面電気化学
2.1 鉄還元細菌が行う電極への細胞外電子移動
2.2 外膜シトクロムcの分光電気化学的検出
2.3 外膜シトクロムcの光化学を用いた電流生成ダイナミクスの追跡
2.4 Cyclic voltammetry(CV)検出
2.5 CVによる界面電子移動速度の見積もり
2.6 光ピンセットを用いた単一Shewanella細胞の電気化学
2.7 シトクロムモデル金属錯体を用いた細胞外電子伝達の効率化
3 微生物代謝過程の電気化学的制御
3.1 電気化学的アプローチ
3.2 微生物代謝活性の電極電位依存性
3.3 TCA回路の電気化学的開閉
3.4 TCA回路開閉のトリガー
4 微生物と鉱物の電気化学的相互作用
4.1 酸化鉄ナノ粒子添加による電流増加
4.2 半導体を利用した長距離細胞外電子伝達モデルの提唱
4.3 電流生産における酸化鉄ナノ粒子のバンド構造の影響
4.4 タンパク質変性実験と遺伝子破壊株を用いた電子ホッピングモデルの検証
4.5 電流生成の酸化鉄コロイド濃度依存性予測と実証
4.6 金属性硫化鉄ナノ粒子のバイオミネラリゼーション
4.7 深海底に広がる巨大電気化学システム

第6章 微生物電池―アノード反応
1 微生物―電極間電子移動 
1.1 微生物の細胞内から細胞外への電子移動
1.2 細胞表面からアノードへの電子移動
1.2.1 直接接触
1.2.2 電子シャトル
1.2.3 電気伝導性ナノワイヤー
1.3 微生物から電極への電子移動
1.3.1 電位
1.3.2 バイオフィルム
1.3.3 プロトン
2 電気生産微生物生態ネットワーク 
2.1 はじめに
2.2 効率的な電子伝達経路,電気生産微生物の特性および微生物生態系
2.3 効率的発電に向けた電極上微生物生態系の制御
2.4 有機性廃棄物利用型微生物燃料電池における微生物生態ネットワーク構造
2.5 まとめ

第7章 電気培養
1 電気培養とは 
1.1 序論
1.2 呼吸と電気化学
1.3 電気培養の構成
1.4 電気培養による高密度培養
1.5 電気培養装置の種類
1.6 まとめ
2 電気培養による微生物の探索 
2.1 序論
2.2 通電による微生物の生育促進
2.3 電子受容体の再生による微生物の高密度培養
2.3.1 電気培養による鉄還元菌の生育促進と環境中からの集積
2.3.2 電気培養によるキノン還元菌の生育促進と単離
2.3.3 電気培養によるクロム還元菌の選択的培養
2.4 電位制御による微生物の生育促進と集積効果
2.4.1 硫酸還元菌をモデル生物とした電位制御の生育に与える効果の検証
2.4.2 環境微生物への適用による未培養微生物の集積
2.5 まとめ
3 微生物の電気化学的代謝制御 
3.1 序論
3.2 電気培養装置および代謝制御技術の実例
3.2.1 電極―微生物間の電子授受反応に立脚した代謝制御技術
3.2.2 培養環境における溶液電位の電気的な制御
3.3 今後の展望

第8章 微生物電池の応用
1 電池の構造およびカソード反応 
1.1 はじめに
1.2 電池の構造
1.3 カソード
1.4 おわりに
2 微生物燃料電池を用いる廃棄物バイオマスの分解処理 
2.1 はじめに
2.2 稲わらを分解して電力源にする利点
2.3 2槽型微生物電池による稲わら分解
2.4 稲わら分解から電力を生み出す可能性
2.5 稲わら以外のセルロース性廃棄物の分解処理
3 廃水処理 
3.1 下水処理の現状
3.2 下水のエネルギーポテンシャル
3.3 微生物燃料電池の下水処理への適用
3.4 微生物燃料電池の現状と適用例
3.5 ビール醸造廃水への適応例
3.6 ワイン醸造廃水への適用例
3.7 実用化への課題
3.7.1 課題1 実廃水の使用による問題
3.7.2 課題2 スケールアップによる構造上の問題
3.7.3 課題3 スケールアップによるコストの増大
3.8 実用化に向けて―今後の展望
3.9 おわりに
4 水田発電 
4.1 はじめに
4.2 ポットでの実験
4.3 水田での実験
4.4 おわりに
5 微生物型太陽電池 
5.1 はじめに
5.2 微生物型太陽電池の原理
5.3 自然微生物群集を用いた微生物型太陽電池
5.4 今後の展望
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