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光機能性高分子材料の新たな潮流 ―最新技術とその展望―

Frontiers of Photofunctional Polymeric Materials

★新進気鋭の若手研究者を中心とした執筆陣により、光機能性高分子材料の最新成果を詳述!
★光機能性高分子材料を「物質」「薄膜」「結晶」「光反応」「分子配向」と5つに分類、それぞれの分野の発展を詳述!

商品コード:
T0621
監修:
市村國宏
発行日:
2008年3月
体裁:
B5判・357頁
ISBNコード:
978-4-7813-0012-2
価格(税込):
71,500
ポイント: 650 Pt
関連カテゴリ:
新材料・新素材
ファインケミカル > 接着剤・塗料・色素
エレクトロニクス > 半導体・電子材料
エレクトロニクス > ディスプレイ・光学材料
新材料・新素材 > 高分子・プラスチック

Review

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キーワード:

<光機能物質>オリゴシラン,ポリシランの光物性他/<薄膜の光機能>スピロピランポリマー系の光可逆制御とその応用他/<結晶の光機能>有機・高分子フォトニック結晶の作製とレーザーデバイスへの展開他/<光反応と機能>/ <分子配向と機能>

刊行にあたって

 1984年に、本書シリーズの最初の編集監修を行う機会を得た。それ以降20数年にわたって、このチャレンジングな材料技術分野を包括的に眺めることを心がけている。有機材料と高分子材料は分子量の大小によって区分されるとも考えられるので両者を切り離すことは困難であり、当初から一貫して有機・高分子材料という用語を用いてきた。序章において光機能性有機・高分子材料の整理を試みているが、この材料領域は基礎、応用ともに広大であり茫洋たる感もある。特定のマーケットを念頭においた応用を軸にすることも一案だが、本書では、材料科学的な新しい試みを中心として取り上げている。心強いことに、多くの若い研究者がこの研究分野に積極的に取り組んでおり、それを反映したタイトルとした。

 第I編では、光機能性そのものに注目している。高分子材料との接点という意味で興味深い。その高分子化や高分子とのハイブリッド化は頭の体操に好適と思われる。発光は多彩な光機能性材料に結びつくが、センシングとしてきわめて鋭敏な情報を与える特徴はバイオ分野で広範囲にわたって活用されている。

 光の直進性は、薄膜としての光機能性有機・高分子材料にぴったりである。その意味で、光機能を発現する薄膜材料に関する新しい試みは常に新鮮な関心を呼ぶ。たとえば、薄膜における分子あるいはコンホーメーションの変化が巨視的な材料特性の変化を二次的にもたらし、可視化されることが最大の魅力となる。第 II編では、そうした例を取り上げている。また、屈折率の予測システムについても取り上げている。一方、第III編では結晶性あるいはナノ粒子をキーワードとし、光機能性を示す有機・高分子材料が紹介されている。

 光化学反応をベースとする光機能を示す材料はあらゆる分野に用いられ、日進月歩の技術開発に対応しうる新たなUV硬化あるいはパターン形成用の有機・高分子材料が常に求められる。その即戦力的な意義を持つ材料の例が第IV編で示されている。また、分子配向は有機・高分子材料ならではの属性であり、その制御は光機能の発現や増強に不可欠となる。第V編では液晶性を共通項とした代表的な例が示されており、FPDの高性能化などのためのヒントとなるであろう。

 本書の著者はいずれも第一線で活躍されており、その多忙な活動にもかかわらず執筆を快諾していただいた。次代を担う研究者を念頭において企画した編者にとって大変に心強いものであった。本書の内容は当初のイメージをずっと上回る内容であり、多くの研究者、技術者と具体的な接点が生まれ出ることを心から祈念している。

(「はじめに」より)
2008年3月 市村國宏

著者一覧

市村國宏  東邦大学 理学部 先進フォトポリマー研究部門 特任教授;東京工業大学 名誉教授
堀内宏明  群馬大学 大学院工学研究科 応用化学・生物化学専攻 助教
平塚浩士  群馬大学 大学院工学研究科 応用化学・生物化学専攻 教授
白上 努  宮崎大学 工学部 物質環境化学科 准教授
保田昌秀  宮崎大学 工学部 物質環境化学科 教授
長谷川靖哉 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 准教授
工藤一秋  東京大学 生産技術研究所 教授
古田寿昭  東邦大学 理学部 生物分子科学科;複合物性研究センター 教授
内田欣吾  龍谷大学 理工学部 物質化学科 教授
須丸公雄  (独)産業技術総合研究所 バイオニクス研究センター バイオナノマテリアルチーム 主任研究員
金森敏幸  (独)産業技術総合研究所 バイオニクス研究センター バイオナノマテリアルチーム チーム長
生方 俊  横浜国立大学大学院 工学研究院 特別研究教員
中川 勝  東京工業大学 資源化学研究所 准教授
松井真二  兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所 教授
秋山陽久  (独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 分子スマートシステムグループ 研究員
谷尾宣久  千歳科学技術大学 光科学部 物質光科学科 准教授
古海誓一  (独)物質・材料研究機構 微粒子プロセスグループ 主任研究員
山雄健史  京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 高分子機能工学部門 助教
堀田 収  京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 高分子機能工学部門 教授
笠井 均  東北大学 多元物質科学研究所 准教授;さきがけJST
石坂孝之  東北大学 多元物質科学研究所 助教
及川英俊  東北大学 多元物質科学研究所 教授
中西八郎  東北大学 多元物質科学研究所 客員教授;東北大学名誉教授
室伏克己  昭和電工(株) 技術本部 研究開発センター(川崎) グループリーダー
岡村晴之  大阪府立大学 大学院工学研究科 応用化学分野 助教
白井正充  大阪府立大学 大学院工学研究科 応用化学分野 教授
大山俊幸  横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門 准教授
有光晃二  東京理科大学 理工学部 工業化学科 講師
青木健一  東邦大学 理学部 先進フォトポリマー研究部門 特任講師
宍戸 厚  東京工業大学 資源化学研究所 准教授
池田富樹  東京工業大学 資源化学研究所 教授
坂本謙二  (独)物質・材料研究機構 ナノ有機センター ナノアーキテクチャーグループ 主任研究員
物部浩達  (独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 ナノ機能合成グループ(現:イノベーション推進室) 主任研究員(現:企画主幹)
清水 洋  (独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 ナノ機能合成グループ 研究グループ長
永野修作  名古屋大学 大学院工学研究科 物質制御工学専攻 助教
佐々木健夫  東京理科大学 理学部第二部 化学科 准教授
藤原健典  東レ(株) 電子情報材料研究所 研究員

目次 +   クリックで目次を表示

序章 総論―光機能性高分子材料の新たな潮流―
1.はじめに
2.何が進歩したのか
3.本書のねらい
4.科学と技術の接点としての光機能性高分子材料
5.ナノテク材料としての高分子
6.おわりに

【第I編 光機能物質】
第1章 オリゴシラン、ポリシランの光物性
1.はじめに
2.耐光性の高いポリシランの開拓
3.ポリシランの配向・構造制御
4.オリゴシランを用いる非線形光学材料の開発研究

第2章 金属ポルフィリン錯体の光触媒機能と応用展開
1.はじめに
2.アンチモンポルフィリン錯体の特徴
3.シリカゲル固定化アンチモンポルフィリン光触媒
4.可視光触媒反応への展開
4.1 反応装置の開発
4.2 環境浄化光触媒~クロロフェノール類の脱塩素化反応~
4.3 分子状酸素を利用する低環境負荷型光触媒~シクロアルケン類のエポキシ化反応~
5.可視光殺菌への展開
5.1 大腸菌・レジオネラ菌類の殺菌作用
5.2 実用化を指向した生活環境場での実証実験
6.おわりに

第3章 希土類を基盤とした光情報機能物質
1.はじめに
2.希土類錯体を含む強発光プラスティック
2.1 希土類錯体の設計
2.2 強発光ポリマーの設計
2.3 希土類錯体を含むポリマーのレーザー発振
2.4 さらなる強発光ポリマーの創成を目指して
3.最後に

第4章 分子修飾したAlq3誘導体を用いる高分子EL材料の開発
1.はじめに
2.高分子EL材料
3.側鎖型Alq3ホモポリマーの合成と有機EL特性の評価
3.1 第一世代高分子錯体
3.2 第二世代高分子錯体
4.低分子Alq3誘導体の添加による高分子有機EL材料MEH-PPVの高発光効率化
5.おわりに

第5章 生理機能を制御するケージド化合物
1.はじめに
2.ケージド化合物とは
3.光科学技術は生命科学研究に欠かせない―なぜ光なのか―
4.ケージド化合物の化学
4.1 光分解性保護基
4.2 ケージド化合物の光反応効率の評価
5.光応答性生体高分子―遺伝子の機能制御への応用―
6.おわり

【第II編 薄膜の光機能】
第1章 フォトクロミック結晶膜による超撥水性の光制御
1.はじめに
2.フォトクロミックジアリールエテンについて
3.可逆的なフィブリル生成現象
4.メカニズムの解明
5.表面機能
6.おわりに

第2章 スピロピランポリマー系の光可逆制御とその応用
1.はじめに
2.水系フォトクロミックポリマーに関する既往研究
3.水溶液中で顕著な光応答を示すスピロピランポリマー
4.フォトクロミックハイドロゲルに関する既往研究
5.スピロピランポリマーからなる光応答収縮ゲル
6.おわりに

第3章 光誘起表面レリーフの最近の進歩
1.はじめに
2.光誘起表面レリーフ
3.材料の進歩
3.1 アモルファス分子材料
3.2 超分子材料
3.3 高感度材料
4.応用展開
4.1 物質輸送
4.2 書き換え可能なホログラム
4.3 波長プログラマブル有機分布帰還型レーザ
5.新たなPSR形成材料
6.おわりに

第4章 ナノインプリントと感光性単分子膜
1.はじめに
2.ナノインプリントリソグラフィーとは
3.ジブロック共重合体薄膜の熱ナノインプリント成型
4.熱ナノインプリントにおける感光性単分子膜の効果
5.おわりに

第5章 感熱性高分子の光相転移
1.はじめに
2.高分子の溶解について
3.水中でのLCST
4.PNIPAMの相転移
5.光応答する感熱性高分子
6.光転移温度シフトの増加
7.アゾベンゼン以外の光応答性分子
8.置換基効果について
9.均一性の向上
10.光応答性感熱性高分子の応用
11.おわりに

第6章 光学ポリマーの屈折率予測システム
1.はじめに
2.屈折率と分子構造
2.1 屈折率と分子構造
2.2 屈折率の波長依存性(アッベ数)
2.3 屈折率の制御
3.屈折率の精密測定
4.光学ポリマーの屈折率予測システム
5.おわりに

【第III編 結晶の光機能】
第1章 有機・高分子フォトニック結晶の作製とレーザーデバイスへの展開
1.はじめに
2.コレステリック液晶
2.1 コレステリック液晶の最近の研究動向
2.2 レーザー発振特性
2.3 レーザー発振の電場制御
3.コロイド結晶
3.1 コロイド結晶の最近の研究動向
3.2 コロイド結晶薄膜の作製
3.3 コロイド結晶によるレーザー発振特性
4.おわりに

第2章 (チオフェン/フェニレン)コオリゴマー材料の結晶成長と光・電子デバイス応用
1.はじめに
2.(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー
3.結晶作製方法
3.1 昇華再結晶法
3.2 溶液成長法
4.成長させた(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー結晶の光学特性、および電子物性
4.1 極度に偏光した狭線化発光
4.2 屈折率異方性の測定
4.3 レーザー発振
4.4 電界効果トランジスター
5.まとめと将来展望

第3章 有機・高分子ナノ粒子の作製と応用展開
1.はじめに
2.有機ナノ結晶・粒子の作製法
2.1 再沈法
2.2 再沈法の改良
3.有機ナノ結晶におけるサイズに依存した光学特性
4.有機ナノ結晶・粒子の応用展開
4.1 再沈法により作製された顔料ナノ結晶のカラーフィルターへの応用展開
4.2 ポリイミドナノ粒子の作製と機能化
5.おわりに

第4章 水中ナノ分散結晶の光物理化学とフォトポリマーへの応用
1.はじめに
2.有機結晶のナノ分散
3.有機結晶ナノ分散系の光化学
4.微結晶間での増感酸発生反応のメカニズム
5.微結晶間でのエネルギー移動
6.PAG分散型フォトポリマー
7.おわりに

【第IV編 光反応と機能】
第1章 UV硬化における新しい素材とその特性
1.はじめに
2.新規イソシアネートモノマー
2.1 イソシアネートモノマーとは
2.2 イソシアネートモノマーの特性
2.3 UV硬化性
2.4 密着強度
2.5 硬化収縮
2.6 破断強度と伸び率
2.7 表面硬度
2.8 イソシアネート基の反応性
2.9 ポリマー側鎖に付加した場合の特性向上
3.新規多官能チオール
3.1 多官能チオールとは
3.2 UV硬化性
3.3 密着強度
3.4 破断強度と伸び
3.5 反応組成物の保存安定性
4.イソシアネート付加化合物と多官能チオールとの併用効果
5.おわりに

第2章 リサイクル対応光架橋ポリマー
1.はじめに
2.リサイクル対応光架橋ポリマーの分子設計と特性
2.1 高分子系によるリサイクル対応光架橋ポリマー
2.2 架橋剤ブレンド系によるリサイクル対応光架橋ポリマー
3.おわりに

第3章 ポリマーへの化学修飾が不要な感光性エンプラ:反応現像画像形成
1.はじめに
2.反応現像画像形成(RDP)
3.RDPの感光特性に影響を及ぼす因子
4.側鎖型RDP
5.化学増幅型RDP
6.ネガ型反応現像画像形成(NRDP)
7.おわりに

第4章 塩基増殖反応を用いたシリコーン樹脂のUVアニオン硬化とパターン形成
1.はじめに
2.UVアニオン硬化材料の高感度化
3.塩基増殖剤
3.1 分子設計
3.2 分解挙動
4.塩基増殖剤を用いたシリコーン樹脂のUVアニオン硬化
5.パターン形成材料
6.おわりに

第5章 塩基増殖性デンドリマーと感光特性
1.はじめに
2.塩基増殖性デンドリマーの設計と合成
3.塩基増殖性デンドリマーの紫外線感光材料への応用
4.まとめ

【第V編 分子配向と機能】
第1章 フォトクロミック液晶高分子を利用した書き換え型ブラッグホログラム
1.はじめに
2.ホログラムと液晶
3.光誘起屈折率変調
3.1 低分子系光相転移
3.2 高分子系光相転移
3.3 アゾベンゼンの分子配向変化
4.書き換え型ホログラム
4.1 ラマン‐ナスホログラム
4.2 ブラッグホログラム
5.おわりに

第2章 光配向性ポリイミド薄膜とその応用
1.はじめに
2.光配向性ポリイミドとその配向制御
3.液晶分子の配向制御(液晶配向膜)
4.液晶性π共役高分子(高分子有機半導体)の配向制御と偏光有機電界発光素子への応用
5.ペンタセン(低分子有機半導体)の分子配向制御
6.おわりに

第3章 液晶性半導体の配向制御
1.はじめに
2.ディスコチック液晶の配向制御
3.直線・円偏光赤外レーザー光照射によるディスコチック液晶のカラムナー相での配向制御
4.自由電子レーザー以外の波長可変赤外レーザー光源
5.最後に

第4章 液晶相を利用したナノ構造体の光配向制御
1.はじめに
2.シリカ/クロモニック液晶ハイブリッド膜におけるカラムナー構造体の光配向制御
3.光応答性液晶ジブロックコポリマーのミクロ相分離構造の光配向制御
4.おわりに

第5章 液晶系フォトリフラクティブ材料
1.はじめに
2.フォトリフラクティブ効果
3.有機高分子材料のフォトリフラクティブ効果
3.1 有機アモルファス高分子でのフォトリフラクティブ効果
3.2 液晶性高分子の等方相のフォトリフラクティブ効果
3.3 ブロック共重合体のフォトリフラクティブ効果
4.低分子液晶のフォトリフラクティブ効果
4.1 低分子ネマチック液晶および低分子ネマチック液晶/高分子コンポジット
4.2 強誘電性液晶のフォトリフラクティブ効果
5.おわりに

第6章 光配向膜の有機半導体素子への応用
1.はじめに
2.有機半導体の理論
3.光配向制御
3.1 偏光顕微鏡観察
3.2 紫外可視吸収スペクトル
4.TFT特性
4.1 F8T2のTFT特性
4.2 P2TPのTFT特性
5.結論