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次世代プリンテッドエレクトロニクス技術《普及版》

Advanced Technologies for Next-Generation Printed Electronics(Popular Edition)

2014年刊「次世代プリンテッドエレクトロニクス技術」の普及版。積層セラミック部品、透明導電膜、有機太陽電池、Liイオン電池などの応用新分野をピックアップし、海外のプリンテッドエレクトロニクス開発動向も詳説している。

商品コード:
B1362
監修:
時任静士
編集:
手塚博昭,中村隆一
発行日:
2021年9月6日
体裁:
B5判、274ページ
ISBNコード:
978-4-7813-1574-4
価格(税込):
5,390
ポイント: 49 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)

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キーワード:

ソルダーレジスト / タッチパネル周辺配線 / 層セラミック / 透明導電膜 / 色素増感太陽電池 / 有機太陽電池 / Liイオン電池 / 有機集積回路 / 熱電変換材料 / 次世代スクリーン印刷 / グラビアオフセット印刷 / ブランケット / 電極 / 凸版反転 / 薄膜トランジスタ / マイクロコンタクト / ロールtoロール / ペーストインク

刊行にあたって

 近年、従来の“ものづくり”と異なる新しい製造法での電子産業の創生を期待する動きがある。それは“プリンテッドエレクトロニクス”と称される分野で、印刷法で電子回路やセンサー、ディスプレイなどの電子デバイスを製造する次世代のエレクトロニクス分野である。その特徴は、従来の真空成膜とフォトリソグラフィー法を組み合わせた製造と比べて工程数が大幅に少ないこと、また真空成膜装置と印刷装置を比較した場合、明らかに印刷装置の方がコスト面で有利であることから、製造設備の初期投資を大幅に抑えることができる。製造に関しても、電気エネルギーや材料消費の点でプリンテッドエレクトロニクスは優位性がある。近年、消費者のニーズが細分化しており、画一的な製品でその事業戦略を描くのは困難であり、時代の変化に柔軟に対応する“ものづくり”が求められている。つまり、個人ニーズに合致した少量・多品種の次世代ものづくりである。このようなニーズに対応できる製造法でもある。
 現在、プリンテッドエレクトロニクスの市場はと言うと、すでにある程度の規模で存在している。代表例は、最も技術的に確立されているスクリーン印刷法を活用した応用分野である。例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC)、メンブレンスイッチ、タッチパネルの額縁部の電極、シリコン結晶系太陽電池のフィンガー電極、アンテナシート、電磁シールド等が挙げられる。この場合の製造技術は、配線や電極をスクリーン印刷法で銀ペーストを印刷するプロセスが中心であり、その印刷精度や抵抗率への要求は高くない。市場規模としてはまだ小さいが、将来は、印刷技術と印刷材料の進化に伴ってディスプレイ関連、RFIDタグ等を含むスマートデバイス関連、エネルギー関連への応用が期待されている。中でも、電子ペーパーや有機ELディスプレイなどがその牽引役として期待されている。
 プリンテッドエレクトロニクスは、下地基板に薄いプラスチックフィルムを用いるフレキシブルエレクトロニクスとも深く関係している。薄くて軽くて、落としても壊れない丈夫なエレクトロニクス製品は新しい市場を切り開くことが期待されている。最近では、IoT(Internet of Things)や非接触通信(NFC : Near Field Communications)などのインターネットに関連する技術ニーズも高まっており、いかに低コストでデバイスを製造できるかが大きな鍵となる。また、食費を含む日用品への用途を想定した場合、ディスポーザブル的な使い方も考えられる。非常に薄いプラスチック基板を用いたデバイスの場合、その部材の量はわずかであり、廃棄しても大きな環境負荷となることは避けられる。
 調査会社の予測では2015年以降からこの分野の市場が立ち上がり、2020年に2兆円から5兆円規模が予測されている。勿論、これら製品はすべて印刷製造されたものではなく部分的でも印刷法を適用した製品を含む。これらの市場が現実化するには、具体的な社会ニーズとともに、前述したようにそれを実現する技術の進化が不可欠である。印刷法に適用できる種々の塗布系(印刷系)材料、微細なパターン形成が可能な印刷技術および製造装置、勿論、印刷作製したデバイスそのものの性能向上などやるべきことは山積している。我が国の強みは国内に多くの材料メーカー、装置メーカー、デバイスメーカーなど、サプライチェーンが整っており、個々の技術レベルも高く世界的に見ても間違いなく優位な環境があることである。この環境を活かした企業の取り組みに期待したい。
 本書は、プリンテッドエレクトロニクス分野の第一線で活躍されている方々のご協力を得て、最新の技術動向をまとめた。現在の市場動向、今後に期待される新しい応用分野、進化した印刷技術や印刷材料、および海外動向も含めて、この分野全体を網羅できるものとなっている。この分野に従事されている、あるいは関心を持たれている方々の参考になれば幸いである。

2014年11月  山形大学 時任静士


〈普及版の刊行にあたって〉

 本書は2014年に『次世代プリンテッドエレクトロニクス技術』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

2021年9月  シーエムシー出版 編集部

著者一覧

時任静士  山形大学
クレイ・シェパード  山形大学
依田健志  太陽インキ製造(株)
永井大輔  グンゼ(株)
渡辺静晴  大研化学製造販売(株)
板倉義雄  (株)タッチパネル研究所
池上和志  桐蔭横浜大学
山岡弘明  三菱化学(株)
金村聖志  首都大学東京
福田憲二郎 山形大学
竹田泰典  山形大学
石田敬雄  (独)産業技術総合研究所
向田雅一  (独)産業技術総合研究所
衛 慶碩  (独)産業技術総合研究所
桐原和大  (独)産業技術総合研究所
佐野 康  (株)エスピーソリューション
小林大介  東海商事㈱
谷 理   (株)金陽社
関根智仁  山形大学
熊木大介  山形大学
片山嘉則  DIC (株)
牛島洋史  (独)産業技術総合研究所
岩出 卓  東レエンジニアリング(株)
菅沼克昭  大阪大学
名和成明  トッパン・フォームズ(株)
有村英俊  石原ケミカル(株)
藤井茉美  奈良先端科学技術大学院大学
石河泰明  奈良先端科学技術大学院大学
浦岡行治  奈良先端科学技術大学院大学
内田 博  昭和電工(株)

執筆者の所属表記は、2014年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【第1編 序論 プリンテッドエレクトロニクスへの期待】
1 はじめに
2 プリンテッドエレクトロニクス技術の優位性
2.1 プリテッドエレクトロニクスの製造工程
2.2 プリンテッドエレクトロニクスを後押しする世の中の動向(未来はどう変わるか)
3 期待される具体的な応用分野
3.1 応用分野の全体像
3.2 ディスプレイ応用
3.3 センサ応用
3.4 有機EL照明応用
3.5 RFIDタグ応用
3.6 ロジックとメモリ応用
3.7 薄膜太陽電池応用
3.8 電池応用
3.9 その他の応用製品
4 おわりに

【第2編 現状のプリンテッドエレクトロニクス技術と市場】
第1章 ソルダーレジスト  
1 ソルダーレジストとは
2 ソルダーレジストの歴史
3 アルカリ現像型ソルダーレジスト
3.1 材料組成
3.2 アルカリ現像型ソルダーレジストの形成工程
4 アルカリ現像型ソルダーレジストの動向
4.1 デジタル露光方式
4.2 ドライフィルムタイプの増加
5 インクジェット印刷対応ソルダーレジスト
6 おわりに

第2章 タッチパネルにおける周囲配線技術 
1 タッチパネル市場の動向
1.1 タッチパネル市場の動向
1.2 OGSからGFF構成へ
1.3 低価格な製品要望
2 タッチパネル周囲配線技術の状況
2.1 周囲配線形成技術
2.2 周囲配線形成技術に求められる特性
3 まとめ

【第3編 期待されるプリンテッドエレクトロニクスの新分野】
第1章 積層セラミック電子部品 
1 はじめに
2 MLCC
2.1 印刷膜厚の制御
2.2 にじみ・かすれ
2.3 図形歪
3 チップインダクタ
3.1 ファインライン印刷
3.2 高膜厚・ハイアスペクト比印刷
4 LTCC
5 電子部品のスクリーン印刷における今後の課題

第2章 タッチパネルとタッチパネル用透明導電膜の技術動向
―プリンテッドエレクトロニクス技術の活用―  
1 はじめに
2 タッチパネル市場・技術動向
3 タッチパネル用導電膜の動向
3.1 タッチパネル用センサー電極材料の課題と対策
3.2 周辺配線回路用導電膜
3.3 ITO代替導電膜の動向
4 タッチパネルの生産技術動向と生産性up技術
5 まとめ

第3章 色素増感太陽電池と新展開 
1 はじめに
2 色素増感太陽電池の構造と発電原理
3 プラスチック基板上への酸化チタン電極の成膜方法
4 携帯型モジュールの例
5 大面積モジュールの例
6 まとめ

第4章 プリンタブル有機薄膜太陽電池の開発と今後の展開  
1 はじめに
2 有機薄膜太陽電池の原理
3 有機薄膜太陽電池の特徴
4 今後の展開

第5章 印刷法を適用したLiイオン電池の製造 
1 リチウムイオン電池の構造
2 三次元電極の利点
3 三次元電池の利点
4 ゾル・ゲル法とインジェクション法を用いた三次元電池の作製
4.1 作製方法
4.2 電池の特性
5 MEMSを利用した電池の作製
5.1 作製方法
5.2 電池特性
6 ディスペンサー技術を利用した電極の作製
6.1 作製方法
6.2 電極特性
7 まとめ

第6章 有機集積回路  
1 はじめに
2 集積回路実現のための技術的課題
2.1 薄膜化と平坦化
2.2 高速動作
3 全印刷方式による有機集積回路作製の取り組み
3.1 電極の平坦化手法
3.2 印刷型有機トランジスタの高性能化
3.3 集積回路応用
4 今後の展望

第7章 有機系熱電変換材料の現状と展望 
1 はじめに
2 熱電変換の基礎
3 導電性高分子の熱電研究
4 カーボンナノチューブ系の熱電研究
5 有機系材料での熱電モジュール作製
6 有機系材料の問題点/今後の課題

【第4編 進化する印刷技術・装置】
第1章 「無変形スクリーン版」と次世代スクリーン印刷技術  
1 はじめに
2 印刷におけるインキングと転写のメカニズム
3 スクリーン印刷最大の課題を解決する「無変形スクリーン版」の開発
4 スクリーン印刷用ペーストの粘弾性
5 プリンテッドエレクトロニクス製品化のために
6 エレクトロニクス分野での最新の印刷応用例
6.1 フレキシブルクランプ型電流センサ
6.2 有機トランジスタアレイ
6.3 S/D電極の「組み合わせ印刷」
7 おわりに

第2章 スクリーン印刷装置  
1 PE市場におけるスクリーン印刷技術活用の現状
1.1 はじめに―PE市場の現状―
1.2 PE市場におけるスクリーン印刷工法の活用
2 スクリーン印刷のメカニズムと印刷条件の最適化
2.1 スクリーン印刷の転写メカニズム
2.2 スクリーン印刷における管理すべきパラメータ
3 スクリーン印刷装置(PE課題に対応するためのスクリーン印刷装置の機構)
3.1 印圧のコントロール
3.2 スキージ押し込み量の微調整
3.3 peal off(オフコン)機構
3.4 高精度整合
4 まとめ ―次世代のスクリーン印刷技術―

第3章 グラビア・オフ・セット印刷技術  
1 PEにおけるグラビア・オフ・セット印刷技術の特徴と活用
1.1 はじめに―グラビア・オフ・セットの活用領域―
1.2 グラビア・オフ・セット印刷の主な特徴
2 グラビア・オフ・セットのメカニズム
2.1 グラビア・オフ・セット印刷装置の使用凹版による分類
2.2 受理~転写のメカニズム(平版印刷装置)
3 グラビア・オフ・セット印刷のパラメータと条件管理(平版印刷装置)
3.1 印刷条件と管理すべきパラメータ
3.2 パラメータの調整による印刷最適化例
4 グラビア・オフ・セットにおける技術課題
4.1 ブランケットの乾燥管理
4.2 受理画像を傾ける(10~15°)
5 まとめ

第4章 シリコーンゴム(PDMS)ブランケット  
1 はじめに
2 ゴムブランケットとは
3 PDMSでの転写プロセス
4 ゴムブランケットの構成/材料
5 ゴムブランケットとして必要な特性
6 ゴムブランケットの加工
7 PDMSの膨潤
8 低分子量シロキサン
9 機械への装着及び他形状転写体
10 おわりに

第5章 印刷電極の信頼性  
1 はじめに
2 銀ナノ粒子インクの特徴
3 印刷銀電極の密着強度
3.1 密着強度の定量評価
3.2 印刷銀電極と下地層の界面観察
4 フレキシブル有機TFTの曲げに対する信頼性向上
5 印刷電極のマイグレーション
6 おわりに

【第5編 次世代微細印刷技術】
第1章 凸版反転印刷技術  
1 はじめに
2 凸版反転印刷法のメカニズム
3 印刷品質上の特徴
4 他印刷方式との比較
5 おわりに

第2章  表面親撥パターニングを使った微細電極形成と薄膜トランジスタ応用 
1 はじめに
2 親撥パターニング法
3 プラズマ処理を用いた親撥パターニング
4 撥液レジストを用いた親撥パターニング
5 その他の親撥パターニング法
6 おわりに

第3章 マイクロコンタクトプリント法  
1 はじめに
2 マイクロコンタクトプリント法とは
3 マイクロコンタクトプリント法によるエレクトロニクスデバイスの作製
4 マイクロコンタクトプリント法の応用
5 おわりに

第4章 ロールtoロール量産化技術(インクジェット) 
1 はじめに
2 樹脂フィルム基板のロールtoロール技術(連続送り)
3 樹脂フィルム基板のロールtoロール技術(ステップ送り)
4 インクジェットによる回路描画
4.1 樹脂フィルム基板の歪補正
4.2 インクジェットによる導電インク描画
5 ロールtoロールインクジェット装置

【第6編 進化する印刷材料】
第1章 導電性ペースト・インクの進展 
1 はじめに
2 導電性接着剤
2.1 導電性接着剤の主な用途
2.2 導電性接着剤の電気特性
2.3 導電性接着剤配線における留意点
3 金属ナノ粒子インク
4 金属ナノワイヤインク
5 これから

第2章 低温焼成可能な「銀塩インク」を用いた印刷配線形成技術  
1 はじめに
2 低温焼成インクの必要性
3 低温焼成可能な導電インクの開発の手段
4 有機銀錯体化合物(銀塩)
5 有機銀錯体化合物(銀塩)インク
6 80℃焼成インク
7 印刷配線と基材との密着性確保
8 銀塩インクの保管安定性
9 耐環境性能(信頼性)
9.1 クロスカット試験(碁盤目テープ試験)
9.2 マイグレーション試験/その他試験
10 印刷適正
11 アプリケーション
11.1 筐体ダイレクト印刷アンテナ
11.2 印刷アンテナの性能
11.3 アプリケーションの展開性

第3章 銀インク/ ペースト  
1 はじめに
2 導電性材料としての位置づけ
3 物理的特徴とナノサイズ粒子
4 組成
5 おわりに

第4章 半導体デバイスに向けた低温焼結型銀ナノ粒子インク  
1 はじめに
2 半導体デバイスに向けた導電インク
3 インクジェット印刷用金属ナノ粒子インク
4 インクジェット配線の微細化
5 全印刷型有機TFT
6 おわりに

第5章 導電性銅ナノインクとプリンテッドエレクトロニクスに適応した焼成
1 はじめに
2 PEに適用した銅ナノインクと焼成プロセス
2.1 PEと銅ナノインクの必要性
2.2 光を利用した導電性金属インクの焼成
2.3 銅ナノインクとフォトシンタリングプロセス
2.4 銅皮膜サンプルの諸特性
3 フォトシンタリングメカニズム
4 各種印刷法による回路形成
4.1 無版印刷
4.2 有版印刷
5 おわりに

第6章 酸化物半導体  
1 はじめに
2 スピンコート成膜InZnO薄膜のTFT応用
3 プロセス温度の低温化1 ~UV-O3処理~
4 プロセス温度の低温化2 ~水系溶液~
5 水系溶液IZO TFTの信頼性

第7章 選択加熱を利用する焼成技術  
1 はじめに
2 内部発熱を利用した焼成方法
2.1 パルス光照射技術
2.2 マイクロ波加熱
3 おわりに

【第7編 海外のプリンテッド・エレクトロニクス開発動向】
1 はじめに
2 米国
2.1 Flextech Alliance
2.2 NBMC (Nano-Bio-Manufacturing-Consortium)
3 欧州地域
3.1 IMEC(ベルギー)
3.2 CEA-Liten(フランス)
3.3 COMEDD(ドイツ)
3.4 Holst Centre (オランダ)
3.5 IAPP(ドイツ)
3.6 IMPS  Institute for Photonic Microsystems(ドイツ)
3.7 CPI(イギリス)
3.8 pmTUC(ドイツ)
3.9 VTT(フィンランド)
4 アジア地域
4.1 韓国
4.2 台湾

【第8編 企業の紹介(執筆者所属企業)】
(1) 太陽インキ製造(株)
(2) グンゼ(株)
(3) 大研化学製造販売(株)
(4) (株)タッチパネル研究所
(5) (株)エスピーソリューション
(6) (株)金陽社
(7) DIC(株)
(8) 東レエンジニアリング(株)
(9) トッパンフォームズ(株)
(10) 石原ケミカル(株)
(11) 昭和電工(株)