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クリーン水素・アンモニア利活用最前線

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The Forefront of Clean Hydrogen and Ammonia Utilization

★「2050年カーボンニュートラル」達成に向けた“水素・アンモニア”の最新利活用法!
★燃焼時にCO2を排出しない環境にやさしい次世代エネルギー!“発電用燃料”としての水素・アンモニアに注目が集まる!
★法規制やコスト、製造技術、インフラ構築のための要素技術、利活用について網羅し、水素・アンモニア発電普及のための課題解決のヒントにつながる一冊!

商品コード:
T1275
監修:
小島由継
発行日:
2024年11月29日
体裁:
B5判・214頁
ISBNコード:
978-4-7813-1823-3
価格(税込):
61,600
会員価格(税込):
55,440
ポイント: 504 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル
地球環境
新刊・近刊
地球環境 > 省エネルギー・クリーンエネルギー
ファインケミカル > 合成技術・製造プロセス開発

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キーワード:

脱炭素/カーボンニュートラル/クリーンエネルギー/グリーン水素/グリーンアンモニア/ブルー水素/ブルーアンモニア/水素製造/水電解/アンモニア合成/触媒/直接利用/混焼/専焼/燃料/火力発電/ガスタービン/耐熱部材/タンク/インフラ/法規制/コスト

刊行にあたって

 2015年12月12日,第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において,二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出を今世紀後半に実質ゼロにすることを目指すパリ協定が採択された。2016年11月4日にパリ協定は発効し,2016年11月8日に日本はパリ協定を承認した。パリ協定では「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに,1.5 ℃に抑える努力を追求する」との目標を掲げている。産業革命以降,2019年までで2兆4000億トンのCO2が排出されて気温が約1.2℃上昇している(2兆トン/1℃)※。残りの温度上昇は0.3~0.8℃である。これはCO2排出量に換算すると6000億トン~1兆6000億トンとなる。
 2023年,世界の二酸化炭素排出量は374億トンである(2020年:約314億トン,2021年:約332億トン,2022年:368億トン,2023年:374億トン)。2024年以降,排出量が年に依らず374億トンと仮定すると,2025年には1.3℃上昇し,2035年から2062年にかけて温度は1.5℃~2℃上昇することが予測される。
 2019年12月11日に発表された欧州グリーンディールでは,EU加盟国(2022年27カ国)は2050年までに温室効果ガス排出量ネットゼロ(カーボンニュートラル)を目指す。日本は2020年10月26日,2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする脱炭素社会を目指している。2020年12月10日,韓国は2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成を目指す「2050大韓民国炭素中立ビジョン」を宣言した。その後,中国,ブラジル,UAE,サウジアラビア,オーストラリア,インド,シンガポール等も2050から2070年までに温室効果ガスのネットゼロの達成を宣言している。
 このような背景から,循環型でCO2を発生せず脱炭素社会(カーボンニュートラル社会)の形成に貢献し得る再生可能エネルギー(代替エネルギー:太陽光,風力,水力等)は,クリーンな次世代エネルギーとして注目されている。再生可能エネルギーからは主に電気が得られるが,時間的,空間的に変動し,安定供給は困難である。再生可能エネルギーを平準化するため,これまでの小規模分散型エネルギーシステムである水素・燃料電池に加え,燃焼しても二酸化炭素の発生しない水素・アンモニアを用いた大規模集中型エネルギーシステムである火力発電に最近注目が集まっている。
 日本経済新聞に掲載された3種類の水素エネルギーキャリア[アンモニア,液体水素(液化水素),液体有機水素キャリア(LOHC,有機ハイドライド,メチルシクロヘキサン,MCH)]の記事数と年の関係を示す(2016年1月1日~2024年7月31日)※。2019年,欧州グリーンディールの発表後,アンモニア(主に燃料アンモニア)や液体水素の記事数が増加している。とくにアンモニアに関する記事数は2020年,日本が脱炭素社会を目指す宣言をした後2021年から著しい増加を示している。NNA Europe, ヨーロッパ経済ニュースにおいても2021年からアンモニアの記事数は液体水素や液体有機水素キャリアに比べ著しく多くなっている※。
 本書ではCO2排出量を削減可能なクリーン水素・アンモニア(グリーン水素・アンモニア,ブルー水素・アンモニア)の利活用最前線として,総論,国内外の技術開発動向,製造,貯蔵・輸送・インフラ構築のための要素技術,利活用に関して最新の動向を解説して頂く。今後,クリーン水素・アンモニアを利用した発電技術が実装され,カーボンニュートラルな脱炭素社会実現が望まれる。 
 最後に,ご多忙の中をご執筆いただいた皆様方に感謝申しあげます。

広島大学 小島由継
(「カーボンニュートラルを目指して」より ※図は本書をご参照ください)

著者一覧


小島由継   広島大学
柴田善朗   (一財)日本エネルギー経済研究所
森 晃一   エア・ウォーター㈱
市川貴之   広島大学
久保田 純  福岡大学
郭 方芹   広島大学
宮岡裕樹   広島大学
長澤兼作   (国研)産業技術総合研究所
濱口裕昭   あいち産業科学技術総合センター
鈴木正史   あいち産業科学技術総合センター
伊原良碩   ㈱伊原工業
佐藤勝俊   名古屋大学
永岡勝俊   名古屋大学
中山怜香   早稲田大学
駒野谷 将  三井金属鉱業㈱
関根 泰   早稲田大学

江場宏美   東京都市大学
片山 祐   大阪大学
高桑宗也   日揮ホールディングス㈱
小林 覚   東京科学大学
高井健一   上智大学
榊原洋平   ㈱IHI
小林寛幸   ㈱IHIプラント
中村英晃   ㈱IHIプラント
石本祐樹   (一財)エネルギー総合工学研究所
川上 朋   三菱重工業㈱
羽田 哲   三菱重工業㈱
関口 尚   デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社
赤松史光   大阪大学
花岡 亮   ㈱IHI
山田敏彦   ㈱IHI
壹岐典彦   (国研)産業技術総合研究所

目次 +   クリックで目次を表示

【第Ⅰ編 総論】
第1章 脱炭素社会における水素・アンモニアの展望
1 はじめに
2 水素貯蔵材料と液体水素の水素密度とエネルギー密度
3 水素・アンモニアのカラーリング
4 大規模発電用燃料としてアンモニアと液体水素の特性
5 アンモニアの許容濃度
6 まとめ

第2章 水素・アンモニアを巡る動向と課題
1 はじめに
2 水素・水素キャリア・水素系燃料
3 輸入水素等の潜在的リスク
 3.1 制度的課題:CO2の帰属
 3.2 低価格・安定調達に係る課題
4 国内再エネ水電解水素に求められる合理性の追求
 4.1 水素キャリアへの変換は可能な限り回避すべき
 4.2 再エネの使い方
5 e‒methane/fuelに関する議論から浮かび上がる日本の将来設計図の必要性
6 おわりに

第3章 水素・アンモニアに関する取扱の注意点と法規制
1 はじめに
2 水素
 2.1 水素の取扱注意点
  2.1.1 発火に対する注意点
  2.1.2 酸欠に対する注意点
  2.1.3 低温に対する注意点
  2.1.4 脆化に対する注意点
 2.2 水素に関する法令の規制
3 アンモニア
 3.1 アンモニアの取扱注意点
 3.2 アンモニアに関する法令の規制
4 安全に取り扱うための基準,指標等
 4.1 工業用燃焼炉利用技術指標(水素)
 4.2 水素ガス消費基準

【第Ⅱ編 国内外の技術開発動向】
第1章 水素・アンモニアの最新の技術動向・展望
1 はじめに
2 素材としての価値からエネルギーとしての価値へ
3 水素の貯蔵・輸送技術
4 水素の利用技術
5 アンモニアの利用技術
6 おわりに

第2章 水素・アンモニアの製造技術動向
1 はじめに
2 水素製造
3 アンモニア製造
 3.1 窒素と水素からの触媒的アンモニア合成
 3.2 窒素と水からの電気化学的アンモニア合成
  3.2.1 水溶液電解質や高分子膜電解質を用いた電気化学的アンモニア合成
  3.2.2 リチウム媒介電気化学的アンモニア合成
  3.2.3 中高温電解質による電気化学的アンモニア合成
  3.2.4 その他のアンモニア合成
4 まとめ

第3章 中国の水素・アンモニア技術動向
1 はじめに
2 中国の水素・アンモニア政策
3 中国国内の水素製造における主な技術的アプローチ
4 水素貯蔵と水素輸送
5 水素エネルギーの応用
6 おわりに

【第Ⅲ編 製造】
第1章 低温排熱を利用した熱化学水素製造
1 はじめに
2 熱化学水素製造
3 ナトリウムレドックス(Na‒Redox)サイクル
4 耐腐食性材料の探索,及び腐食回避環境下での反応特性評価
5 おわりに

第2章 グリーン水素製造の為の水電解評価技術開発
1 はじめに
2 要素評価用標準小型セルの開発動向
 2.1 欧米
 2.2 日本
3 小型電解槽の評価の基礎
4 要素評価用小型セル(YNUセル)の特徴
5 水電解要素評価法の開発
6 まとめ

第3章 メタン直接分解によるターコイズ水素製造技術の開発
1 はじめに
2 ターコイズ水素製造技術の開発動向
3 担持鉄触媒を用いたターコイズ水素製造
4 金属触媒板を用いたターコイズ水素製造
5 生成炭素の物性評価
6 まとめ

第4章 低温でアンモニアを合成する触媒の開発

第5章 電場印加触媒反応を利用した低温域でのアンモニア合成技術とそのメカニズム
1 アンモニア合成と電場触媒反応
2 電場NH3合成反応のメカニズム
3 担体性質による電場NH3合成活性の違いとその支配因子
4 担体性質の制御による電場NH3合成活性の向上に向けた触媒の開発
5 電場触媒によるNH3オンデマンド合成への期待

第6章 鉄スクラップと二酸化炭素による水素・アンモニア製造
1 はじめに
2 水素キャリアとしての鉄
3 純鉄による水素生成反応の実際
4 鉄鋼粉による水素生成反応
5 アンモニア生成反応
6 窒化鉄からのアンモニア生成メカニズム
7 まとめ

第7章 電気エネルギーを用いた常温・常圧アンモニア合成
1 はじめに
2 技術の概要
3 これまでの研究動向
4 水をプロトン源とする反応系の開拓
5 まとめと展望

第8章 グリーンアンモニア製造・活用技術開発・実証事業について
1 グリーンアンモニア製造の特徴
 1.1 グリーンアンモニア製造の構成要素
 1.2 グリーンアンモニア製造の課題
2 グリーンアンモニア製造技術開発
 2.1 Green Ammonia Plant Automated Optimizer(GAPAOTM)
 2.2 統合制御システム
3 低炭素アンモニア活用技術開発―大規模アンモニア分解水素製造技術

【第Ⅳ編 貯蔵・輸送・インフラ構築のための要素技術】
第1章 高温水素利用による耐熱部材の材料損傷問題
1 はじめに
2 高温水素利用装置・機械における高温部位と懸念される材料損傷
 2.1 固体酸化物型高温水電解装置
 2.2 アンモニア焚きガスタービン
 2.3 水素燃焼器
3 耐熱材料の水素脆化と高温水素損傷
 3.1 水素脆化
 3.2 高温水素損傷
4 おわりに

第2章 水素脆化の潜伏期からき裂発生・進展・破壊まで
1 はじめに
2 水素脆化理論
3 水素脆化破壊における潜伏期
4 水素脆化破壊におけるき裂発生挙動の解析
5 水素脆化に及ぼす因子と抑制に向けた指針
6 おわりに

第3章 大容量の低温液化アンモニア貯蔵タンクの開発状況
1 はじめに
2 技術課題と対策
3 大容量化のための設計指針の作成
4 大容量アンモニアタンクに資する鋼材の応力腐食割れ性評価方法
5 大容量アンモニアタンク(PCタンク,PCメンブレンタンク)
6 国際規格化
7 おわりに

第4章 水素サプライチェーンの水素コスト及び炭素集約度の分析事例について
1 はじめに
2 水素サプライチェーンの水素コスト及び炭素集約度分析の方法論
3 分析結果の例
 3.1 輸入サプライチェーン
 3.2 国産サプライチェーン
4 まとめ

【第Ⅴ編 利活用】
第1章 水素・アンモニア焚きガスタービンの開発
1 はじめに
2 水素・アンモニア焚きガスタービン
 2.1 水素・アンモニア焚きガスタービンの特徴とメリット
 2.2 ガスタービン燃焼器における水素燃焼・アンモニア燃焼の課題
 2.3 水素焚き燃焼器
 2.4 アンモニア焚き燃焼器
3 高砂水素パークでの実証
4 まとめ

第2章 水素サプライチェーンの全体像と日本の勝ち筋となりうる技術分野
1 イントロダクション
 1.1 日本の水素産業振興と特に注力している技術分野
2 2050年に向けた世界での水素需要量見通し
3 水素サプライチェーンの全体像
4 国際展開を狙う注力分野利用
 4.1 水素製造部門
 4.2 水素貯蔵/輸送/転換部門
 4.3 水素利用部門
5 総括

第3章 工業炉でのアンモニア直接燃焼利用
1 まえがき
2 エネルギーキャリアとしての水素・アンモニア
3 工業炉でのアンモニア直接燃焼利用
4 二段燃焼によるNOx低減
5 結言
6 おわりに

第4章 石炭火力におけるアンモニア燃焼技術開発の状況
1 はじめに
2 石炭火力でのアンモニア燃焼ロードマップ
3 アンモニア20%燃焼
 3.1 試験設備での燃焼試験
 3.2 碧南火力での実機実証試験
4 アンモニア高比率および専焼バーナ開発状況
 4.1 高比率燃焼バーナ
 4.2 アンモニア専焼バーナ
5 海外石炭火力での取り組み
 5.1 インドネシアでの取り組み
 5.2 インドでの取り組み
 5.3 マレーシアでの取り組み
6 最後に

第5章 ガスタービンでのアンモニア利用
1 アンモニアを燃料とする様々なガスタービン
2 産総研におけるマイクロガスタービン試験
 2.1 燃料供給設備について
 2.2 ガスタービンの起動について
 2.3 定常運転について
 2.4 低NOx燃焼器
 2.5 液体アンモニア噴霧燃焼
 2.6 社会実装に向けた取り組み
3 最後に