キーワード:
ガス成分/におい/センシング/気相/ガスイメージング/嗅覚受容体/CMOS/半導体センサ/呼気計測/皮膚ガス/メンタルヘルスケア/におい情報DX/ロボティクス/カーボンニュートラル/臭気調査/たばこ呼出煙/標準ガス調整法/校正用ガス/医療用ガス
刊行にあたって
近年、ガス成分・におい情報を高度に計測・解析し、社会に活用するための研究開発は、生命科学、情報科学、材料工学、電子デバイス、さらには人間の知覚科学にまでまたがる、きわめて学際的な広がりを見せています。私たち人類は古来より、においを通じて環境を理解し、危険を回避し、食を選択してきました。しかしその嗅覚情報を定量化し、リアルタイムかつ高精度に扱う技術は、長らく未踏の領域として残されてきました。
近年のセンシング技術の飛躍的発展により、「ガス成分を“視る”」「匂いを“情報化する”」という概念は、もはや夢物語ではありません。半導体・プラズモニクス・CMOS技術によるデバイスの進歩、生体分子や嗅覚受容体を活用したバイオハイブリッド型センサ、レーザー分光や化学発光による超高感度イメージング、さらには匂いのデジタル化やDX といった情報科学的アプローチが統合され、“においの高度情報化”は新たなステージに入りつつあります。
(中略)
ガス・においセンシングの研究は、技術そのものの進化に加え、「人の嗅覚とは何か」「匂い情報をどのように理解し、共有しうるのか」といった根源的問いに向き合う分野でもあります。本書が、読者の皆さまにとって、現在の技術潮流を俯瞰し、新たな発想を育む一助となり、そして未来の“匂い情報社会”を形づくる基礎となれば幸いです。
三林浩二
(本書「はじめに」より抜粋)
著者一覧
市川健太 東京科学大学
飯谷健太 東京科学大学
三林浩二 東京科学大学
島ノ江憲剛 九州大学
吉川元起 (国研)物質・材料研究機構;筑波大学;㈱Qception
高森 翔 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
大崎寿久 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
竹内昌治 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所;東京大学
林 健司 九州大学
和田智之 (国研)理化学研究所
野田俊彦 豊橋技術科学大学
澤田和明 豊橋技術科学大学
田中 航 東京大学
Chaiyanut Jirayupat 東京大学;MI-6㈱
高橋綱己 東京大学
細見拓郎 東京大学
Jiangyang Liu 東京大学
本田陽翔 東京大学
柳田 剛 東京大学
當麻浩司 芝浦工業大学
荒川貴博 東京工科大学
光野秀文 東京大学
祐川侑司 東京大学
櫻井健志 東京農業大学
神﨑亮平 東京大学 名誉教授
竜田剛志 東京農工大学
森 泰雅 東京農工大学
池袋一典 東京農工大学
関根嘉香 東海大学
山口秀明 ㈱アイシン
田畑 仁 東京大学
阿部結奈 東京都立大学
矢沢郁人 東京都立大学
松原崚大 東京都立大学
小澤晋太朗 東京都立大学
角田直人 東京都立大学
森山さくら 大阪大学
黒田俊一 大阪大学
松岡広明 ㈱レボーン
永田富治 ㈱レボーン
樋渡 類 ㈱レボーン
鈴木智大 三洋化成工業㈱
松倉 悠 電気通信大学
石田 寛 東京農工大学
西上佳典 新コスモス電機㈱
谷口卓史 新コスモス電機㈱
大石達也 新コスモス電機㈱
小嶋謙一 理研計器㈱
石崎温史 理研計器㈱
山下大輔 理研計器㈱
氏本勝也 ㈱リコー
鈴木健志 I-PEX㈱
下坂琢哉 (国研)産業技術総合研究所
石原伸輔 (国研)物質・材料研究機構
目次 - クリックで目次を閉じる
【第1編:ガス・においの先端計測技術】
第1章 バイオ蛍光ガスセンシングと経皮ガス計測応用
1 はじめに
2 バイオ蛍光法を用いたガスセンシング技術
2.1 ホルムアルデヒド用バイオ蛍光ガスセンサの開発
2.2 アセトアルデヒド用バイオ蛍光ガスセンサへの応用
2.3 外耳道部位での血液由来エタノールガスの測定
3 外耳道ガスシステムの小型携帯化およびアセトンガス計測応用
3.1 アセトン用バイオ蛍光センサ装置の小型化と呼気凝縮液アセトンの計測応用
3.2 ヘッドセット型の外耳道アセトンガス計測システム
4 おわりに
第2章 半導体ガスセンサの超高性能化
1 はじめに
2 半導体ガスセンサの検知原理
3 半導体ガスセンサの材料設計
3.1 半導体ガスセンサに用いられる金属酸化物の性質
3.2 レセプター機能
3.3 トランスデューサ機能
3.4 感応膜利用効率
4 三つの機能の融合
5 マイクロガスセンサによる超高感度および高選択ガス検知
5.1 MEMS素子のダブルパルス駆動によるpptレベル検知
5.2 酸性金属酸化物レセプター担持MEMS素子による超高感度と高選択性の両立
6 まとめ
第3章 ガス・ニオイを色・形・音・因子で視る:人工嗅覚における多角的可視化アプローチ
1 ニオイを「色」で視る:擬原臭による嗅覚情報のデジタル化
1.1 嗅覚センサMSSによるニオイの高次元表現
1.2 エンドポイント検出法による擬原臭の選定と色空間への写像
1.3 ニオイを色として「その場で視る」試み
2 ガスを「形」で視る:PDMS構造色による流れ・物性の可視化
2.1 構造色発現の原理:プラズマ処理による微細皺構造と光の干渉
2.2 チャネルレスデザイン:ガスが通過した部分だけが「形」を変える
2.3 気体の違いが「形」に現れる:密度・粘度・流量依存性
2.4 応用の広がりと今後の可能性
3 ガスを「音」で視る:可聴音域音響共鳴によるスペクトログラム可視化と物性推定
3.1 音速と共鳴が示すガスの物性
3.2 周波数領域と時間領域のデュアルドメイン解析
3.3 低濃度ガス検出と携帯型デバイスへの展開
4 ニオイを「因子」で視る:Score-CAMによる特徴量重要度の可視化
4.1 なぜ説明可能AIが必要か:当てるだけでは足りない
4.2 解析の流れ:MSS×CNN×Score-CAMで「因子」を定量的に視る
4.3 因子が示す化学的意味:どの分子に何が効くか
4.4 実用面での意義:材料設計と信頼性の向上へ
5 まとめ:色・形・音・因子による多角的可視化の未来
第4章 バイオハイブリッドセンサによる匂い計測技術
1 はじめに
2 バイオハイブリッド匂いセンサの構築と原理
2.1 人工細胞膜センサの匂い分子検出原理
2.2 細胞センサの匂い分子検出原理
3 気相中の匂い分子を検出する計測技術
3.1 気相の匂い分子検出の課題
3.2 強制対流を用いた匂い分子の溶解促進
3.3 ガスフローデバイスを用いたバイオハイブリッド匂いセンサ
4 混合匂い分子を検出する計測技術
4.1 混合匂い分子検出に向けた戦略
4.2 深層学習モデルを用いた形状識別スキームの構築
4.3 形状エンコードで識別するバイオハイブリッド匂いセンサ
5 まとめと今後の課題
第5章 匂いの空間分布と質の可視化
1 はじめに
2 匂い計測の定義と可視化システムの概要
3 プラズモニックガスセンサと匂い可視化フィルム
4 二次元プラズモニックガスセンサによる匂いの可視化
4.1 ガスの流れや痕跡の可視化計測とガスの識別
4.2プラズモニックガスセンサを搭載したロボットによるガス源の可視化
4.3 リザバー化ガスセンサによる匂いの質の可視化
5 おわりに
第6章 レーザー分光法によるガス成分計測
1 はじめに
2 レーザー分光法の基礎原理
2.1 分子スペクトルと吸収の基礎
2.2 ガス分析に用いられる代表的手法
3 ガス成分分析用レーザー光源技術
3.1 レーザー光源に求められる性能
3.2 光量子制御技術開発チームの光源技術
4 光量子制御技術開発チームにおけるガス成分分析の実例
4.1 環境・農業分野への応用
4.2 多成分・高精度センシングの実現
5 技術的課題と今後の展望
6 おわりに
【第2編:ガス・においセンシングの新たな要素技術】
第7章 CMOS集積回路を技術基盤とするにおいセンサ
1 はじめに
2 CMOSにおいセンサの構成と動作原理
2.1 センサ構成の概要
2.2 におい感応膜
2.3 信号検出部
2.4 動作原理
3 CMOSにおいセンサによる計測例
3.1 センサシステムの構成とにおい計測条件
3.2 におい計測結果
4 まとめ
第8章 呼気・皮膚ガスセンシングによる個人認証
1 はじめに
2 人由来臭い成分の測定手法
3 皮膚ガスによる個人認証
3.1 皮膚ガスの発生源
3.2 犬の嗅覚による皮膚ガスに基づく個人識別
3.3 GC–MSによる皮膚ガスに基づく個人識別
3.4 ガスセンサアレイによる皮膚ガスに基づく個人識別
4 呼気ガスによる個人認証
5 臭い情報に基づく個人認証の課題と対策
6 おわりに
第9章 バイオ蛍光技術を用いた高感度ガスイメージング
1 はじめに
2 NAD依存性脱水素酵素を用いたVOCイメージングの原理
3 バイオ蛍光法に基づく飲酒後経皮エタノールガスのイメージング
4 複数の酵素反応を組み合わせた二波長二成分イメージング
5 むすび
第10章 昆虫の嗅覚受容体を活用した匂いセンサ技術
1 はじめに
2 昆虫の嗅覚受容のしくみ
3 昆虫の嗅覚受容体を再構築した培養細胞 ~センサ細胞~
3.1 センサ細胞の開発と検出原理
3.2 各種センサ細胞とその応用
4 センサ細胞を活用した匂いの識別技術
5 昆虫の嗅覚受容体を組み換えた遺伝子組換えカイコガ ~センサ昆虫~
6 おわりに
第11章 気相用アプタマーセンサ
1 はじめに
2 アプタマーの特性と気相中での構造
3 DNAを用いたセンサ
3.1 ガス試料を水溶液中で検出する手法
3.2 ガス試料を気相中で検出する手法
4 おわりに
第12章 皮膚ガス分析によるメンタルヘルスケア
1 はじめに
2 労働者のメンタルヘルス問題
3 ストレス応答のマーカー
4 皮膚ガスによる蓄積ストレスの判定
5 皮膚ガスセンサーの開発
6 おわりに
7 倫理的配慮
【第3編:においの高度情報化(イメージング・デジタル化)】
第13章 匂い可視化のための酸化物半導体ナノ構造アレイ
1 はじめに
2 高感度,高識別性能を有するガスセンサ
3 ヒトの嗅覚に学ぶガスセンサ
3.1 単一酸化物半導体センサによるガス識別検出
3.2 複数の酸化物半導体(マルチ)センサによるガス識別検出
4 まとめ
第14章 近赤外光を用いた大気中水蒸気イメージング
1 緒論
2 測定原理
2.1 水の近赤外吸光
2.2 光学系
2.3 データ処理
3 水蒸気イメージング
3.1 エアーノズルから噴出する湿潤空気
3.2 生体からの蒸散現象
3.3 温水液滴からの蒸発
4 結論
第15章 バイオ化学発光によるエタノールガスの動画像化
1 はじめに
2
2.1 バイオ化学発光によるエタノールガスのイメージングシステムの構築
2.2 エタノールガス可視化計測システムの特性評価
3
3.1 エタノールガス可視化計測システムの高感度化
3.2 手掌部より放出されるエタノールガスの可視化計測
3.3 手掌部での皮膚エタノールガスの可視化計測
4 バイオ化学発光計測の食品への適用
5 おわりに
第16章 ヒト嗅覚に基づく匂い情報DXの実現
1 ヒト嗅覚の匂い分子受容機構と情報処理機構
2 匂いセンシング技術の現状と課題
3 リアルタイムOR応答マトリクスとAI解析
4 ヒトORセルアレイセンサーの応用可能性と課題
5 今後の展望:匂い情報DXと新たな価値創出
第17章 においセンシングシステムの活用とその実際
1 はじめに
2 においセンシングシステムの概要
2.1 異常検知AI
2.2 識別AI
2.3 官能評価AI
3 実社会におけるにおいセンシングシステムの活用事例
3.1 飲料プロモーションへの活用
3.2 香料・化粧品での活用
3.3 消費・賞味期限設定の事例
4 導入支援の実務的指針(事例から抽出した要点)
4.1 導入における工程と実務的指針
4.2 導入時チェックリスト(実務的項目)
4.3 測定プロトコル例とAI評価指標(参考)
4.4 官能評価とセンサー/AI予測値の乖離の診断と対策
4.5 導入フローとスケジュール(実務例)
5 AIによる香り創出
6 まとめと実務への提言
第18章 匂いセンサ「FlavoTone®」の機能とその仕組み
1 匂いとは
1.1 匂いとは
1.2 ヒトが匂いを識別するメカニズム
1.3 「匂いセンサ」の定義と提供機能
2 動作原理と匂いの測定モード
2.1 匂いセンサの動作原理
2.2 匂いの測定モード
2.3 FlavoTone® Type-Aによる連続測定
2.4 FlavoTone® Type-Gによるバッチ測定
3 測定事例
3.1 測定事例1:コーヒー豆の測定
3.2 測定事例2:再生プラスチックの臭気評価
3.3 測定事例3:青のりの測定
3.4 測定事例4:トイレの臭気評価
3.5 測定事例5:排水処理場から拡散する臭気の識別
4 今後の展望
第19章 ロボティック・ガス計測
1 はじめに
2 ロボットを用いたガス分布計測
3 ロボットによるガス源探索
4 まとめ
【第4編:応用事例と今後の展開】
第20章 熱線型構造を用いたニオイ検知用金属酸化物半導体式センサの特徴と応用技術
1 はじめに
2 熱線型半導体式センサの検知原理と特徴
3 熱線型半導体式ニオイセンサの応用例
3.1 応用例1(労働安全)
3.2 応用例2(ヘルスケア分野への展開)
第21章 カーボンニュートラル時代における新ガス測定技術
1 はじめに
2 RTGMSについて
3 RTGMSのアプリケーション
3.1 メタネーション市場
3.2 アンモニア合成・分解市場
3.3 水素,アンモニア混焼,専焼市場
3.4 鉄鋼ガス市場
4 おわりに
第22章 MEMS型イオン移動度分析計を用いた気体のフィールド計測
1 はじめに
2 FAIMSによるフィールド計測の利点
3 調査対象地域と調査設計
4 移動計測の方法と結果
4.1 候補施設ごとのスペクトル特徴
4.2 アンモニアの空間分布
5 宿泊施設・発電所における定点連続計測
5.1 宿泊施設で観測された臭気イベント
5.2 発電所との関連性の検証
5.3 北側からの流入傾向の示唆
6 臭気調査の方法論としての普遍化
7 今後の展望
8 おわりに
第23章 PZT圧電薄膜型ニオイセンサによるたばこ呼出煙のニオイ評価
1 はじめに
2 ニオイセンサ
3 たばこ呼気のニオイ測定
3.1 試料
3.2 捕集方法
3.3 測定方法
3.4 測定条件
3.5 データ解析
3.6 主成分分析
3.7 感応膜素子180種の主成分分析
3.8 選定した感応膜素子20種の主成分分析
4 単一臭測定
4.1 用いた試料
4.2 測定方法と測定条件
4.3 データ解析
4.4 感応膜素子50種の主成分分析
4.5 選定した感応膜素子12種の主成分分析
5 初期化違いによる測定比較
5.1 試料
5.2 測定方法
5.3 測定条件
5.4 実験結果
6 まとめ
第24章 湿度制御可能な標準ガス発生装置
1 標準ガス調製方法
2 標準ガス希釈法(動的希釈法)
3 加湿における注意点
4 加湿標準ガス調製システム
第25章 H2S・NO放出制御材料の開発~手軽に使える校正用・医療用ガス~
1 はじめに
2 層状複水酸化物のアニオン交換能
3 H2S放出制御材料
4 NO放出制御材料
4.1 固相/気相間でのアニオン交換
4.2 固相/固相間でのアニオン交換
4.3 活性化した固相/気相間でのアニオン交換
5 まとめ
医療工学研究の最前線
価格(税込): 77,000 円
生体ガス計測の最新動向
価格(税込): 74,800 円
センサ医工学
価格(税込): 69,300 円
「非接触」が拓く新しいバイタルモニタリング
価格(税込): 69,300 円
匂いのセンシング技術
価格(税込): 69,300 円









