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月刊BIOINDUSTRY 2005年1月号

【特集】乳酸菌研究の最前線

商品コード:
I0501
発行日:
2005年1月12日
体裁:
B5判
ISBNコード:
-
価格(税込):
4,950
ポイント: 45 Pt
関連カテゴリ:
雑誌・定期刊行物 > 月刊バイオインダストリー
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特集:乳酸菌研究の最前線
 特集にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
 Culture of Embryonic Stem Cells

                                   伊藤喜久治

 Kikuji Itoh  東京大学 大学院農学生命科学研究科 助教授 


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 乳酸菌とアレルギー予防・・・・・・・・・・・・・・・・7
 Lactic Acid Bacteria and Allergic Prevention

                渡邉映理 *1  坪内美樹 *2  白川太郎 *3

*1 京都大学 大学院医学研究科 健康増進・行動学分野 博士課程 M.P.H  
*2 京都大学 大学院医学研究科 健康増進・行動学分野 修士課程  
*3 京都大学 大学院医学研究科 健康増進・行動学分野 教授  

 プロバイオティクスは「宿主に保健効果を示す生きた微生物を含む食品」として定義され
ており,人体に及ぼす好作用について科学的証拠が揃い始めている。アレルギー疾患に関し
ては,近年の先進工業国での増加や医療費高騰問題といった潮流に加え,衛生仮説の報告を
受け,予防を目標とした疫学的研究が盛んになってきている。

~目次~
1.発酵乳とプロバイオティクスの有用性
 1.1 疾病構造の変化と機能性食品の有用性
 1.2 プロバイオティクスの定義
 1.3 乳酸菌と発酵乳プロバイオティクス
2.乳酸菌を用いたアレルギー疾患予防の試み
 2.1 腸内細菌叢の形成とアレルギー疾患
 2.2 Th1/Th2バランスと町内細菌叢菌種
 2.3 プロバイオティクスを使った新生児へのランダム化比較試験
3.プロバイオティクスを使ったアレルギー疾患予防実践
 3.1 モデル集団の構築および実態調査
 3.2 成人を対象としたプロバイオティクス投与による花粉症発症予防効果試験
 3.3 新生児へのプロバイオティクス投与によるアレルギー発症予防効果試験


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 乳酸菌のバクテリオシン・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
 Bacteriocins of Lactic Acid Bacteria

               園元謙二 *1  善藤威史 *2  中山二郎 *3

*1 九州大学 大学院農学研究院 生物機能科学部門 応用微生物学講座 教授
*2 九州大学 大学院農学研究院 生物機能科学部門 応用微生物学講座 学術特定研究者
*3 九州大学 大学院農学研究院 生物機能科学部門 応用微生物学講座 助教授

 乳酸菌のバクテリオシンは安心・安全な食品保存料である。その特徴を解説し,高度
な微生物制御がもたらす成果について具体例を述べる。また,実用化のためには,使用
対象に適した選択や併用が最優先課題であり,探索のためのハイスループットスクリー
ニング技術についても解説する。最後に,拡大するビジネス利用分野と今後の課題を紹
介する。

~目次~
1.はじめに
2.乳酸機が生産するバクテリオシンとは
3.多様なバクテリオシン獲得が高度な微生物制御をもたらす
4.バクテリオシン利用方法の開拓がビジネスに重要である
5.その他の応用例
6.拡大する利用分野と今後の課題


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 乳酸菌のゲノム研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
  Genomics of Lactic Acid Bacteria

                               鈴木 徹

岐阜大学 生命科学総合実験センター ゲノム研究分野 助教授

 乳酸菌は,乳製品などの発酵食品の製造に伝統的に使用されており,近年はプロバイオ
ティクスとして健康増進のために積極的に利用されている。また,バイオプラスティック
として注目されるポリ乳酸製造過程においても必要不可欠な微生物群である。乳酸菌をゲ
ノムレベルで理解することは,これらの応用を広げていく上で不可欠であろう。現在まで
に37以上の菌株においてゲノムプロジェクトが進行しており,4菌株については完全長ゲノ
ム配列が報告されている。これらについて概説する。

~目次~
1.ゲノム研究の現状
2.ゲノム配列決定の戦略
3.ドラフト配列決定のための手続とコスト
4.乳酸菌のゲノムプロジェクト
 4.1 Lactococcus lactis subsp,Lactis IL1403
 4.2 Bifidobacterium longum NCC2705
 4.3 Lactbacillus plantarum WCFS1
 4.4 Lactbacillus johnsonii NCC533
5.Joint Genome Institute の取り組み
6.Lactic Acid Bacteria Genome Consortium (LABGC)
7.日本における乳酸菌ゲノム研究
8.比較ゲノム的手法による生命機能の理解
9.ゲノム情報を何に役立てるか?
 9.1 発酵プロセスの安定化
 9.2 乳酸菌のゲノム育種・新有用菌株の探索
 9.3 プロバイオティクスとゲノム生物学
 9.4 テーラーメイドプロバイオティクス
10.組換え乳酸菌の利用とゲノム研究
11.バイオプラスティック原料としての乳酸
12.乳酸菌のゲノム研究の将来像


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 乳酸菌組換えとその応用・・・・・・・・・・・・・・・・・38
  Recombinant Lactic Acid Bacteria and Its Future Application

                              五十君靜信

国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 室長

 CODEXにより,遺伝子組換え微生物食品のガイドラインが作成されたことから,組換え技術
の乳酸菌への応用が加速することと思われる。組換え技術により,乳酸菌はこれまでに知ら
れていた有用な機能の強化や新たなる機能の獲得といった方向性を持って育種されてゆくと
思われる。既に,プロバイオティクスとしての効果を高める,ワクチンの抗原運搬体として
感染症の制御に役立てるなどといった基礎研究が進められている。


~目次~
1.はじめに
2.乳酸菌の遺伝子組換え技術の発展
3.乳酸菌組換えの今後の方向性
4.経口粘膜ワクチンの抗原運搬体としての乳酸菌組換え体
5.抗体産生を誘導する組換え乳酸菌ワクチン
6.細胞性免疫を誘導する組換え乳酸菌ワクチン
7.生産動物用のワクチン開発
8.プロバイオティクスとしての組換え乳酸菌
9.食品の加工流通における組換え乳酸菌
10.おわりに


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 乳酸菌の機能解析とニュートリゲノミクス ・・・・・・・46
  Nutrigenomics and Molecular Analysis of Host-lactic Acid Bacterial
Relationships

                            浅見幸夫

明治乳業(株) 研究本部 食機能科学研究所 機能評価研究部 ゲノミクスG 課長  

 ヒトゲノム解読以降ポストゲノム技術があらゆる研究の場面に応用されてきている。乳酸
菌の宿主への効果を明らかにして行くためにこの様な技術を活用することは,非常に有効で
あると考えられる。またここ数年で生体に対する栄養の作用について,ゲノミクスを駆使し
て解明して行こうとするニュートリゲノミクスが生まれてきた。本稿では,乳酸菌の機能研
究へのニュートリゲノミクスの応用について紹介する。

~目次~
1.はじめに
2.ニュートリゲノミクスとは
3.トランスクリプトミクスと乳酸菌の機能解析
4.プロテオミクス技術と乳酸菌機能研究への応用
5.今後の展望

 
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 新たな機能をもつ乳酸菌探し・・・・・・・・・・・・・・・・・55
  Searching for Lactic Acid Bacteria with Novel Functions

                              冨田房男

 Fusao Tomita   放送大学 北海道学習センター 所長


 乳酸菌とは,乳酸を生産する多様な菌群を指す。その生理学的機能性もまた多様である。
古くより我々と共に生きてきたこの菌群について科学的解明が進み,我々の「食と健康」に
大きく関与していることが解ってきた。本稿では,新しい分析法・評価法・探索法と乳酸菌
の多様性の組み合わせが生み出す新しい可能性を例示とともに概説する。

~目次~
1.はじめに
2.特許から見た最近の乳酸菌機能性の研究開発
3.乳酸菌の分類学からみた多様性
4.乳酸菌の生理学的機能からみた多様性
 4.1 胆汁酸の取込(血清コレステロールの低下)
 4.2 ワクチン
 4.3 病原菌排除作用
 4.4 血圧降下ペプチド
 4.5 化粧品
5.おわりに


コラム:ウイルスの科学(第1回)
バクテリオファージの科学と応用(その1)
  ファージの特徴と自然界における役割 ・・・・・・・・・・・・・・・66
  Systematic Analyses of Plant Promoter Genes with cDNA Microarray

                              丹治保典

東京工業大学大学院 生命理工学研究科 生物プロセス専攻 助教授

 バクテリオファージは細菌に感染するウイルスで,数十~200nmの大きさを持つナノパーテ
ィクルキャリアである。宿主を正確に見分ける機能と,爆発的な増殖能力を持つバクテリオ
ファージを多剤耐性菌のコントロールに用いる試みがなされている。また,ファージ表層に
外来タンパク質を提示することにより,人工抗体や特定細菌の検出に用いることができる。

~目次~
ファージ研究の背景
ファージの構造と感染過程
ファージの自然界における役割


TOPICS
 新規プロテオーム創薬共同研究制度(パートナー制度)の概要および運営状況
 ・・・・・・・68

                               反町耕記

 (独)理化学研究所 構造プロテオミクス研究推進本部 企画調整室 

 理化学研究所は,世界最先端設備を駆使して,我が国発のプロテオミクス創薬の実現等を目
指し,タンパク3000プロジェクト(タンパク質基本構造の網羅的解析プログラム)の一環とし
て,本研究の成果を産業界へ効率よく移転することを目指して,新規プロテオーム創薬共同研
究制度を立ち上げた。平成15年11月から関連企業に参加を呼びかけて共同研究を開始している
。この制度について紹介する。

~目次~
・はじめに
・タンパク3000プロジェクト
・理化学研究所の研究推進体制
・パートナー制度の全体像
・基本共同研究契約
・個別共同研究契約
・おわりに

 
BIO R&D
 DNAブック:ゲノムリソースの新規流通媒体 ・・・・・・・76
  DNA Book : A New Distribution Medium of Genome Resources

              渡邉幸彦 *1  河合 純 *2  林崎良英 *3

*1 (独)科学技術振興機構 プレベンチャー事業「DNA ブックチーム」 サブリーダー  
*2 (独)理化学研究所 横浜研究所 ゲノム科学総合研究センター 遺伝子構造・機能
  研究グループ チームリーダー  
*3 (独)科学技術振興機構 プレベンチャー事業「DNA ブックチーム」 リーダー
  ;独理化学研究所 横浜研究所 ゲノム科学総合研究センター 遺伝子構造・機能研
  究グループ プロジェクト・ディレクター 

 ゲノムプロジェクトは,膨大なゲノム構造情報とゲノムのリソースを蓄積し,今なお日々そ
の数を増やし続けており,それら情報とリソースについては,ゲノムネットワーク研究やバイ
オテクノロジーへの活用が待たれている。しかし,情報についてはIT技術によって膨大な量の
迅速な配布や保管が可能になったものの,ゲノムリソースについては今まで情報のIT技術に匹
敵するような技術がなく,研究の進展や産業応用への障害となっていた。ここにDNAブックが
,ゲノムリソースの新しい流通媒体として登場してきたことを紹介する。

~目次~
1.はじめに
2.DNAブック構想
3.DNAブックの試作
4.DNAブックを使う
5.DNAぶっくを作る
6.DNAブックの流通形態
7.プレベン事業
8.DNAブックの課題と展望
9.おわりに

 
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 バイオチップに用いる人工ナノ構造分離材の開発・・・・・85
  Development of an Artificially Nanostructured Matrix for Biochips

             馬場雅和 *1  佐野 亨 *2  井口憲幸 *3
              飯田一浩 *4  阪本利司 *5  川浦久雄 *6

*1 日本電気(株) 基礎・環境研究所
*2 日本電気(株) 基礎・環境研究所
*3 日本電気(株) 基礎・環境研究所
*4 日本電気(株) 基礎・環境研究所
*5 日本電気(株) 基礎・環境研究所
*6 日本電気(株) 基礎・環境研究所

 バイオテクノロジーにおいて,バイオチップを用いた生体分子の微量解析やハイスループ
ット処理が期待されている。将来,単一チップに集積化が必要とされる機能として,生体分
子の分離分析機能がある。本稿では,分離機能を集積化するための分離材として,半導体ナ
ノテクノロジーにより作製された人工ナノ構造分離材の開発について紹介する。

~目次~
1.はじめに
2.電子線リソグラフィ技術を用いたナノテクノロジーと人工ナノ構造分離材
3.ナノ構造とその動作原理
4.電気泳動チップの作製方法と電気泳動実験方法
5.実験結果
6.おわりに


BIO PRODUCTS
 trans-4-ヒドロキシ-L-プロリン・・・・・・・・・・・・・・・・・92
 trans-4-hydroxy-L-proline

~目次~
1.概要
2.製法
3.市場動向
4.メーカー動向
5.価格


連載:バイオベンチャー起業物語<第1話>

 連載開始にあたって ・・・・・・・・・・・・・・・・・94

                                 植田充美

京都大学大学院農学研究科 応用生命科学専攻 教授

現在,巷には「○○○の錬金術」などの大衆本が青少年の人気になっています。有史以来,
「錬金術」という言葉のひびきには,宝物を創出するための夢とロマンと冒険のかおりが漂
う魅力があります。逼塞的で退廃的な社会情勢になればなるほど,その壁をぶち破る若者た
ちの潜在的なパワーをかきたてる激辛の香辛料とも言えましょう。現在の社会にも,今や,
国民の活力と産業再生の大きな推進力になる「ベンチャー起業」というフロンティアスピリ
ッツは,まさに,その「香辛料」とも言えるかもしれません。
 折しも,生命のゲノム解析が進み,バイオテクノロジーと材料革新であるナノテクノロジ
ー,さらにITが融合した新しい社会が,そして新しい時代がやってこようとしています。ま
さに,この3つの波長が共鳴しあい,現代の「錬金術」としての「バイオベンチャー起業」
への香りが漂いはじめ,多くのパイオニアを目指す夢をかきたてています。夢で終わるか,
現実に宝物を生み出すか,そのかじ取りに起業の醍醐味があります。
 バイオベンチャーの設立は今,非常に活発で,教官による大学発ベンチャーや企業研究者
によるスピンアウトベンチャーや学生ベンチャーなど,乱立気味ではありますが,この世情
にあって異質とも言える程,非常に活気にあふれた世界となっています。この雰囲気の中で,
将来,バイオベンチャーを設立したいとの視野にたって研究に取り組んでおられる研究者
や学生はきっと,バイオベンチャー起業にあたっての悲喜こもごもの世界をとりあげた読み
物が読んでみたいとか,読んでおきたいと日々思っておられるのではないでしょうか(冷や
かな好奇心からだけの方もおられるかもしれませんが)。ともすれば,ベンチャー設立のた
めのノウハウや経営や経理や特許などの専門的なことに記述が偏りがちな記事が目立ってお
りますので,本誌編集部との共同企画で,是非とも,バイオベンチャー設立に奔走されたり
,設立から上場に,あるいは,上場をめざして現在,活躍しておられる当事者に直に各企業
の特徴や設立までの経緯,設立後や今後の展望にいたるまで,時々刻々動いている生の声を
リアルタイムで聞いてみようと考えました。この企画により,バイオベンチャーの起業につ
いての理解が深まり,バイオ産業の新しい開拓と発展につながればこの連載の価値が出て参
ります。
 バイオ研究に携わる方々に,現代のフロンティアスピリッツをかき立てていただくために
,バイオベンチャー運営の涙あり,汗ありの夢と超現実の起業物語の連載をスタートさせて
いただきます。
 なお,御執筆者各位には,現場との掛け持ちの御多忙の中,ご協力に深謝いたしますとと
もに,バイオベンチャーの起業化が成功して,順調に業績を伸ばして,社会の活性再生化を
先導されていかれることを祈念しております。

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<第1話>
 血管新生活性を持つ遺伝子治療薬・・・・・・95
 Application of Inkjet Technology for Tissue Engineering.

                               山田 英

アンジェス MG(株) 代表取締役社長 

  大阪大学医学部発のバイオベンチャー,アンジェス MG(株)(本社・大阪府茨木市)は
,次世代医薬として,遺伝子治療薬や遺伝子医薬の開発を進めているバイオベンチャーのト
ップランナーである。同時に,大学での科学的成果をグローバルな市場に展開して挑戦する
バイオベンチャーのパイオニア(開拓者)でもある。

PROFILE やまだ えい:1981年東北大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士(病理学
系専攻)。81年日本学術振興会奨励研究員,82年三菱化成工業(株)入社,医薬開発部部長
代理,総合研究所主席研究員を歴任。95年(株)そーせい入社,研究開発担当バイスプレジ
デント。2000年宝酒造(株)入社,バイオインダストリー部部長,ドラゴン・ジェノミック
ス(株),取締役副社長。01年メドジーンバイオサイエンス(株)(現アンジェス MG(株)
)入社,事業開発本部長,取締役を経て,02年9月よりアンジェス MG(株)代表取締役社長。

遺伝子による病気治療
HGF遺伝子の血管新生機能に着目
HGF遺伝子治療薬の特徴と応用例
遺伝子医薬NFkBデコイオリゴの特徴と応用例
HVJエンベロープベクターの特徴と応用例
製薬企業との契約が進展し,2002年上場


News Digest ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102
BIO INFORMATION ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104