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次世代吸入製剤とデバイスの開発 

Development of Formulations and Devices of Next-Generation Inhalations

★肺疾患治療薬のみならず,バイオ医薬品の新たな投与経路として注目される「経肺投与」!
★消化管で吸収されないペプチド・タンパク質性医薬品を,肺を通じて全身投与可能に!
★吸入製剤を肺深部に到達させるために重要な「製剤化技術」と「デバイス設計」について詳述!

商品コード:
T1094
監修:
岡本浩一
発行日:
2018年11月15日
体裁:
B5判・252頁
ISBNコード:
978-4-7813-1353-5
価格(税込):
83,600
ポイント: 760 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル
ファインケミカル > 医薬

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キーワード:

吸入製剤/経肺投与/経粘膜投与/抗体医薬/タンパク質性医薬/ペプチド医薬/核酸医薬/製剤化/微粒子化/DDS/薬物キャリア/吸入デバイス/インヘラー/噴霧器/動物投与/レギュレーション

刊行にあたって

 本邦では,吸入麻酔薬を除いて,ほとんどの吸入剤が,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患,インフルエンザウイルス感染症の治療およびその予防など,肺局所作用を目的として用いられている。一方,経肺投与は,肺局所疾患治療薬のみならず,消化管からの吸収が期待できないペプチド・タンパク質性医薬の全身作用を期待した投与経路としても注目されている。吸入剤が他の剤形と異なる点は,肺深部に製剤を到達させるために製剤が呼吸器に入る時点で直径数mの粒子となっている必要があることである。そのためには,高度な微粒子製剤設計とともに,微粒子を分散させるためのデバイス設計が必要になる。また,他の投与部位と比べて呼吸器系は構造が複雑であり,種差が大きく,非臨床試験で吸入剤の有効性・安全性を評価するために,様々な工夫が必要である。本企画では,経肺投与に向けた製剤化技術や投与デバイスの開発について最新知見をまとめた。経肺投与製剤・デバイスの開発・応用・普及の一助となれば幸いである。
(本書「はじめに」より抜粋・改変)

著者一覧


岡本浩一 名城大学
岡田弘晃 ㈱岡田DDS 研究所
高野幹久 広島大学
吉田寛幸 国立医薬品食品衛生研究所
平 大樹 立命館大学
奥田知将 名城大学
浅井 歩 大阪大学
夏目秀視 城西大学
八巻 努 城西大学
勝見英正 京都薬科大学
山本 昌 京都薬科大学
中西猛夫 金沢大学
宮崎雄太 小野薬品工業㈱
竹内洋文 岐阜薬科大学
田上辰秋 名古屋市立大学
尾関哲也 名古屋市立大学
大竹裕子 近畿大学
尾上誠良 静岡県立大学
戸塚裕一 大阪薬科大学
門田和紀 大阪薬科大学
川上亘作 (国研)物質・材料研究機構
山本浩充 愛知学院大学
村上義彦 東京農工大学
丁野純男 北海道科学大学
田原耕平 岐阜薬科大学
佐藤秀行 静岡県立大学
廣田慶司 新潟薬科大学;東京理科大学
友田敬士郎 東京理科大学
寺田 弘 新潟薬科大学
牧野公子 東京理科大学
山下親正 東京理科大学
石関一則 日立オートモティブシステムズメジャメント㈱
佐藤哲也 大塚製薬㈱
石田稚人 アストラゼネカ㈱
佐々木絢子 アストラゼネカ㈱

目次 +   クリックで目次を表示

【第Ⅰ編 総論】
第1章 経肺投与製剤の市場・開発動向
1 はじめに
2 吸入剤の製剤設計
3 経肺吸入製剤の現状と開発状況
3.1 喘息・COPD
3.2 嚢胞性線維症
3.3 インフルエンザ
3.4 肺高血圧症
3.5 新生児呼吸窮迫症候群
3.6 自己免疫性肺胞蛋白症
3.7 突発性肺線維症
3.8 結核
3.9 肺がん
3.10 糖尿病
3.11 その他の疾患
3.11.1 去痰
3.11.2 血管拡張,シアン化合物解毒
3.11.3 全身麻酔
4 あとがき

第2章 薬剤の経肺吸収機序・体内動態
1 はじめに
2 肺と肺胞の構造
2.1 肺の分岐構造
2.2 肺胞とそれを構成する肺胞上皮細胞
2.3 肺胞被覆液と肺サーファクタント
3 肺胞上皮細胞におけるトランスポーターの発現・機能
3.1 単純拡散とトランスポーター介在性輸送
3.2 肺胞上皮細胞におけるSLC トランスポーターの発現と機能
3.3 肺胞上皮細胞におけるABC トランスポーターの発現と機能
4 肺胞上皮細胞における高分子のエンドサイトーシス
4.1 物理薬剤学的要因
4.2 生物薬剤学的要因
5 おわりに

【第Ⅱ編 吸収性・安全性評価】
第1 章 経肺投与製剤のin vitro 評価法
1 送達量の均一性
2 スプレーパターン(Spray pattern)と噴霧形状(Plume geometry)
3 粒子径
3.1 画像法
3.2 レーザー回折法・光散乱法
3.3 飛行時間(Time of flight:TOF)法
3.4 インパクター法
4 溶出性

第2章 ヒト吸入パターンに基づいた吸入剤の評価
1 はじめに
2 呼吸器疾患患者での吸入パターンの変動
3 ヒト吸入パターン再現装置の開発と応用
4 おわりに

第3章 気液界面細胞培養系を用いた吸入剤の評価
1 気液界面細胞培養系を応用した粉末微粒子製剤の新規評価系の確立
2 気液界面細胞培養系を応用した粉末微粒子製剤の吸収特性評価
3 結論

第4 章 小動物を用いた経肺吸収評価法
1 はじめに
2 小動物とヒトの肺の生理学的特徴
3 小動物の肺への製剤投与法
3.1 In vivo 切開気管内投与法
3.2 In vivo 経口気管内投与法
3.3 In situ 肺灌流法
3.4 薬物の呼吸器系内分布評価法
3.5 肺洗浄による安全性評価法
4  超臨界二酸化炭素晶析法で調製したフルオレセイン粉末の経肺吸収性の評価
4.1 超臨界二酸化炭素晶析法による微粒子製剤の調製
4.2 In situ 灌流速度の検討
4.3 FL 微粒子製剤のラットin situ およびin vivo 経肺投与実験
5 おわりに

第5章 カチオン性高分子による薬物の吸収促進
1 はじめに
2 Chitosan の吸収促進効果
3 Sperminated gelatin およびsperminated pullulans の吸収促進効果
4 Poly-L-arginine による水溶性高分子薬物の吸収促進効果
5 Poly-L-ornithine の吸収促進効果
6 おわりに

第6 章 関節リウマチの骨破壊抑制を目指したビスホスホネートの経肺投与型DDS の開発
1 はじめに
2 ゾレドロネート経肺投与後の吸収性
3 ゾレドロネート経肺投与による関節リウマチの骨破壊抑制
4 ゾレドロネート経肺投与後の肺障害性評価
5 ゾレドロネート経肺投与後の腎臓障害性評価
6 おわりに

第7章 薬物の肺吸収および作用における輸送体の役割
1 はじめに
2 薬物の肺吸収
3 薬物の作用に対する輸送体の影響
3.1 有機カチオン輸送体
3.2 アミノ酸・ペプチド輸送体
3.3 ABC(ATP-binding cassette)輸送体
4 肺疾患治療標的としての輸送体の可能性
4.1 有機カチオン輸送体(OCT/OCTN)
4.2 MRP1
5 おわりに

【第Ⅲ編 製剤開発】
第1 章 粉末吸入製剤と微粒子製剤化技術
1 粉末吸入製剤
2 微粒子調製技術
3 combinational scCO2法による粒子調製
4 超臨界流体の圧力が粒子に及ぼす影響評価
5 超臨界流体と新規添加剤を組み合わせた粒子設計
6 まとめ

第2 章 スプレードライ法によるナノコンポジット粒子の調製と吸収剤への応用
1 はじめに
2 2 液混合型スプレーノズル搭載スプレードライヤー
3  難水溶性ナノ粒子の調製・保存を同時に行うことのできる2 液混合型スプレーノズルによるナノコンポジット粒子調製技術
4 クルクミンの薬理効果と課題点
5 クルクミンのナノ粒子化技術およびドラッグデリバリー技術
6  2 液混合型スプレーノズルを用いたクルクミンナノコンポジット粒子の調製と吸入剤への応用
7 おわりに

第3 章 吸入粉末剤開発における微粒子調製法と疎水性アミノ酸の組み合わせによる吸入効率改善アプローチ
1 はじめに
2 吸入用粉末微粒子開発における課題
3 微粒子調製法と機能性添加物の組み合わせによる吸入効率改善アプローチ
4 噴霧乾燥法適用時における添加剤としての疎水性アミノ酸の役割
5 凍結乾燥法適用時における添加剤としての疎水性アミノ酸の役割
6 噴霧急速凍結乾燥法適用時における添加剤としての疎水性アミノ酸の役割
7 おわりに

第4章 吸入剤応用を指向したナノクリスタル製剤技術による医薬品の物性改善
1 はじめに
2 DPIの効果に影響する各種因子
3 ナノ結晶固体分散体製剤の開発事例
3.1 トラニラスト
3.2 トラニラスト含有ナノ結晶固体分散体調製
3.3 ナノ結晶固体分散体の光安定性
3.4 吸入特性
3.5 トラニラスト含有吸入用ナノ結晶固体分散体の有効性
4 新しい固体分散体製剤
5 おわりに

第5 章 機能性素材やコンピューターシミュレーションを用いた吸入用粒子の創成
1 緒言
2 機能性素材による吸入粉末製剤の開発
3 コンピューターシミュレーションを利用した吸入粉末製剤の開発

第6 章 多孔性レシチン粒子の薬物担体としての応用
1 はじめに
2 MPP の形成原理
3 MPP の基礎物性
4 ゲスト分子の取り込み
5 粉末吸入剤担体としての利用

第7 章 PLGA ナノスフェアによる経肺投与
1 はじめに
2 投与方法による肺内沈着分布の違い
3 機能性PLGA ナノスフェアの肺内挙動制御
4 経肺投与用PLGA ナノスフェアの応用例
4.1 ペプチド送達用キャリアへの応用
4.2 核酸医薬送達用キャリアへの応用
5 おわりに

第8 章 自己乳化現象を利用した多孔質PLGA 粒子の作製技術
1 はじめに
2 自己乳化
3 「超低密度」多孔質粒子の作製と肺送達特性の評価
4 おわりに

第9 章 リポソームを用いた肺投与型DDS
1 はじめに
2 肺の構造と肺投与
3 リポソームを用いた肺投与型DDS
3.1 標的指向化
3.1.1 薬物溶液の肺投与
3.1.2 リポソーム製剤の肺投与
3.2 経肺吸収
3.2.1 吸収促進剤の利用
3.2.2 吸収促進効果を有するリポソーム製剤

第10 章 コロイド薬物キャリアの経肺投与応用
1 コロイド薬物キャリアについて
2 コロイド薬物キャリアの経肺投与への適用
3 コロイド薬物キャリアの肺内挙動
4 経肺投与によるペプチド薬物の全身吸収
5 肺局所における薬物徐放化
6 おわりに

第11章 肺内安定性を高めたペプチド性粉末吸入製剤
1 はじめに
2 安定性の改善を指向したVIP誘導体の開発
3 VIP誘導体の粉末吸入製剤への応用
4 VIP誘導体含有粉末吸入製剤の気道炎症モデルラットにおける抗炎症作用
5 おわりに

第12 章 結核,肺がん治療を目的とした経肺吸収DDS の開発
1 肺での作用を期待する経肺吸収DDS
2 肺への微粒子送達性と肺からの微粒子クリアランス
3 結核治療のための経肺吸収DDS
4 肺がん治療のための経肺吸収DDS
5 おわりに

第13 章 遺伝子・核酸医薬品の吸入粉末製剤開発
1 はじめに
2 吸入粉末製剤化の有用性と実用化への課題
3 凍結乾燥法による吸入粉末製剤開発
4 噴霧乾燥法による吸入粉末製剤開発
5 超臨界流体晶析法による吸入粉末製剤開発
6 噴霧急速凍結乾燥法による製剤開発
7 おわりに

【第Ⅳ編 デバイス開発】
第1 章 吸入剤開発における現状と課題
1 はじめに
2 非臨床試験における経肺投与方法の構築に関する現状と課題
2.1 小動物を用いた経肺投与方法の現状と課題
2.1.1 小動物におけるPK 用および薬効薬理用経肺投与方法
2.1.2 小動物における毒性用経肺投与方法の現状と課題
2.2 大動物を用いた経肺投与方法の現状と課題
3 臨床用粉末吸入デバイスに関する現状と課題
4 吸入剤を取り巻くレギュレーションに関する現状と課題
4.1 日本薬局方における吸入剤の一般試験法の現状と課題
4.2 吸入剤における生物学的同等性試験における現状と課題
5 おわりに

第2 章 経肺投与デバイスの開発事例
1 はじめに
2 DPIs の種類
3 製剤の分類
4 DPIs の開発要件
5 DPIs の開発事例
6 まとめ

第3 章 医療ニーズに最適化した吸入システム:メプチンスイングヘラー
1 理想の吸入システムと吸入デバイス
2 DPI 用デバイス開発に向けた医療現場の課題抽出
3 DPI 用デバイスの開発
3.1 医療状況に最適なデバイス種類の選択
3.2 Swinghaler の開発コンセプト
3.3 コンセプト達成に向けたアプローチとUD 7 原則の関係
4 まとめ

第4 章 医療ニーズに最適化した吸入システム:シムビコート®タービュヘイラー®
1 吸入器の種類と特徴
2 吸入器の選択―患者に合わせた個別化アプローチ
3 タービュヘイラー®の開発
3.1 タービュヘイラー®デバイスの構造
3.2 タービュヘイラー®デバイスの特性
4 喘息治療
4.1 喘息治療におけるICS/LABA 併用療法
4.2 喘息治療におけるシムビコート®タービュヘイラー®
4.3  喘息治療におけるブデソニド/ホルモテロール維持療法と抗炎症作用を併せ持つレリーバー療法