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リサイクルバイオテクノロジーの最前線《普及版》

Frontier of Biotechnology for Recycling - Recycle Biotechnology (Popular Edition)

2013年刊「リサイクルバイオテクノロジーの最前線」の普及版!
廃棄物からバイオ燃料・バイオガス・化成品を作り出す、排水や廃棄物からレアメタルを回収する、重金属を回収して環境を浄化する技術を紹介!!

商品コード:
B1317
監修:
植田充美
発行日:
2020年3月10日
体裁:
B5判・239頁
ISBNコード:
978-4-7813-1447-1
価格(税込):
4,730
ポイント: 43 Pt
関連カテゴリ:
バイオテクノロジー
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
バイオテクノロジー > 有用物質・エネルギー・食料生産
地球環境 > 省エネルギー・クリーンエネルギー
地球環境 > 未利用資源活用・リサイクル
地球環境 > 環境浄化・修復

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キーワード:

バイオリファイナリー/バイオ燃料/バイオエタノール/バイオディーゼル/ブタノール/プロパノール/バイオガス/メタン発酵/アンモニア/セルロース系バイオマス/藻類/リグニン/ポリ乳酸/重金属・レアメタル回収/リン資源/環境浄化

刊行にあたって

 化石燃料をもとに発展してきたこの世界を、食料生産と共存し、しかも食料生産と競合しない環境と調和した新しいバイオテクノロジーを基盤とする循環型の世界へとギアチェンジする、すなわち、「社会基盤形成の変化」が求められている。
 人口増加や中東情勢の不安定さによる「石油不安定供給や枯渇問題」は、「シェールガス・オイル」の出現により一息つきそうであるが(また、新たな環境汚染も生み出してきているが)、これは、化石燃料に依存してきた世界の社会や産業構造からシュガープラットフォームやフェノールプラットフォーム形成への急激な変化への準備段階を人類に与えたともいえよう。人類の絶えない欲望を満たしながら、生物多様性の保護者でもある人類に課せられた地球環境保護と保全のミッションは、自然を原料としてリサイクルを根幹とする体制へのスイッチングを希求している。
 太陽や風力や地熱を用いて電気エネルギーを取り出すという極めてシンプルな再生可能エネルギーの活用が、福島原発事故以来、一つの社会現象として世界的に起こっている。自然由来なものとしてのバイオマスは、その複雑さのため、ややもすると活用が後手に回っている。しかし、社会や産業に与えるポテンシャルは、他の自然由来のものに比べてはるかに大きい。すなわち、「石油化学からバイオケミカルに」、時代を、そして、産業や社会構造を変える、いわゆる「産業や社会システムのパラダイムシフト」の可能性を秘めている。この場合のバイオマスは、いわゆる、ソフトからハードまですべてを含むものであり、単純にいえば、現在捨て去られている廃棄物全般を指しているともいえよう。これらは、捨てれば「ゴミ」、回収・リサイクルすれば「資源」となるもので、資源として活用するために、バイオテクノロジーの進展によるところが大きくなってきている。この新しい資源変換バイオテクノロジー技術を「リサイクルバイオテクノロジー」と名付け、今後の発展を支える未来開拓技術として位置づけしようとしている。
 本書では、リサイクルの新しい産業構造を構築していくための現状認識と理解のうえに課題を見出し、エネルギーとモノづくりの進み行く方向を明示して、日本のバイオインダストリーを取り巻く環境の活性化をめざし、持続可能な未来型の循環型社会への移行に必要なスキャフォールドを提唱したいと考えている。
 最後に、この「リサイクルバイオテクノロジー」の分野で、ご多忙の中、ご執筆いただきました先生方に、感謝いたしますとともに、本書での研究分野でのさらなるご活躍を祈念いたします。

2013年5月
植田充美

本書は2013年に『リサイクルバイオテクノロジーの最前線』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

2020年3月
シーエムシー出版 編集部

著者一覧


植田充美   京都大学大学院
蓮沼誠久   神戸大学
荻野千秋   神戸大学大学院
近藤昭彦   神戸大学大学院
濵 真司   Bio-energy㈱
野田秀夫   Bio-energy㈱
三宅英雄   三重大学
片岡道彦   大阪府立大学
浦野信行   大阪府立大学
鶴野圭悟   九州大学
花井泰三   九州大学
河井重幸   京都大学大学院
村田幸作   京都大学大学院
松井一真   京都大学大学院
横井貴大   京都大学大学院
黒田浩一   京都大学大学院
片岡直明   水ing㈱
帆秋利洋   大成建設㈱
高橋潤一   帯広畜産大学大学院
坪田 潤   大阪ガス㈱
中西裕士   大阪ガス㈱
松井 徹   東京ガス㈱

白井義人   九州工業大学
舩岡正光   三重大学
滝澤 昇   岡山理科大学
玉川英幸   キリン㈱
五十川團哉  京都大学大学院
小西康裕   大阪府立大学
谷幸 則   静岡県立大学
宮田直幸   秋田県立大学
常佳寧    静岡県立大学大学院
大橋晶良   広島大学
櫻井康祐   DOWAテクノロジー㈱
惣田 訓   大阪大学
池 道彦   大阪大学
仲山英樹   長崎大学
松浦秀幸   大阪大学大学院
平田收正   大阪大学大学院
戎谷一輝   京都大学大学院
井藤賀操   (独)理化学研究所
川上 智   DOWAエコシステム㈱
榊原 均   (独)理化学研究所
黒田章夫   広島大学
廣田隆一   広島大学

執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

<第I編 バイオリファイナリーによる資源循環>
第1章 バイオ燃料
1 未来型CBP法によるバイオエタノール生産技術の展開
 1.1 はじめに
 1.2 リグノセルロース系バイオエタノール
 1.3 高温でのリグノセルロース系エタノール生産
 1.4 システムバイオロジー解析に基づく発酵阻害物耐性の強化
 1.5 イオン液体前処理と表層提示酵母の組み合わせによるエタノール発酵プロセス(i-CBP)の構築
 1.6 おわりに
2 廃食用油からのバイオディーゼル生産
 2.1 はじめに
 2.2 バイオディーゼルの背景
  2.2.1 バイオディーゼルとは
  2.2.2 バイオディーゼルの品質規格
  2.2.3 廃食用油からのバイオディーゼル生産
 2.3 バイオディーゼルの製造方法
 2.4 酵素法による廃食用油からの連続バイオディーゼル生産
  2.4.1 酵素法の特徴
  2.4.2 連続バイオディーゼル生産装置
  2.4.3 廃食用油からの連続バイオディーゼル生産
 2.5 廃食用油からのバイオディーゼル生産に関する事業課題
 2.6 おわりに
3 セルロース系バイオマスからのブタノール生産
 3.1 はじめに
 3.2 バイオブタノールの歴史と現状
 3.3 ABE発酵とブタノール回収技術
 3.4 ソルベント生成Clostridium属細菌の代謝経路
 3.5 セルロース系バイオマスの利用
4 組換え微生物による1-プロパノール生産
 4.1 はじめに
 4.2 プロパノール人工生合成経路の設計
 4.3 新規1-プロパノール生合成経路の実証
 4.4 1-プロパノール生合成経路遺伝子を導入した組換えE.coliの構築
 4.5 おわりに
5 バイオマスからのC3アルコール生産
 5.1 はじめに
 5.2 イソプロパノール生産
 5.3 1-プロパノール
 5.4 1,2-プロパンジオール
 5.5 1,3-プロパンジオール
 5.6 まとめと展望
6 大型海藻(褐藻類)からのエタノール生産
 6.1 はじめに
 6.2 バイオマス資源としての海藻の魅力
 6.3 海藻の炭水化物
 6.4 褐藻類からのエタノール生産
  6.4.1 Sphingomonas属細菌A1株を用いたアルギン酸からのエタノール生産
  6.4.2 褐藻類由来成分(アルギン酸以外)からのエタノール生産
  6.4.3 酵母を用いたマンニトールからのエタノール生産
 6.5 おわりに
7 大型藻類からのバイオエタノール生産
 7.1 はじめに
 7.2 大型藻類の成分
 7.3 各成分のエタノール変換の戦略
  7.3.1 アルギン酸からのエタノール生産
  7.3.2 マンニトールのエタノールへの変換
  7.3.3 セルロースからのエタノール生産
  7.3.4 ヘミセルロースからのエタノール生産
 7.4 その他の有用成分
 7.5 おわりに
8 微細藻類・シアノバクテリアからのバイオエタノール生産
 8.1 はじめに
 8.2 微細藻類・シアノバクテリアからのエタノール生産プロセス
 8.3 微細藻類・シアノバクテリアからのエタノール生産
 8.4 システムバイオロジー解析に基づく新規有用微細藻の創製
 8.5 おわりに

第2章 バイオガス
1 廃棄物系バイオマスメタン発酵技術の基礎と開発事例
 1.1 はじめに
  1.1.1 メタン発酵技術の歴史
  1.1.2 バイオマスの発生と循環的利用および処分の現状
  1.1.3 バイオマス活用の推進に向けた法制度の施行状況
  1.1.4 廃棄物系バイオマスメタン発酵の技術開発
 1.2 廃棄物系メタン発酵技術の基礎
  1.2.1 メタン発酵処理の特徴
  1.2.2 有機物の嫌気分解経路
  1.2.3 バイオガス発生
  1.2.4 バイオマス活用に向けたメタン発酵処理技術
 1.3 生ごみ系メタン発酵技術の開発事例
  1.3.1 システムフロー
  1.3.2 生ごみバイオガス化設備の運転結果
  1.3.3 生ごみ中温メタン発酵性能の評価(室内実験)
 1.4 今後の展望
2 水産加工廃棄物からのメタン生産
 2.1 はじめに
 2.2 水産加工廃棄物のメタン発酵における技術的課題
  2.2.1 アンモニア阻害の実態
  2.2.2 アンモニア阻害のメカニズム
  2.2.3 アンモニア対策技術
 2.3 無加水でのアンモニア阻害回避技術
  2.3.1 原料
  2.3.2 生物学的アンモニア変換
  2.3.3 アンモニアストリッピング
  2.3.4 アンモニア回収
 2.4 無加水メタン発酵の適用事例
 2.5 おわりに
3 家畜排泄物からのアンモニア生産(バイオガスプラントのアンモニアストリッピングとセルロースバイオマスのアンモノリシス)
 3.1 はじめに
 3.2 生物学的方法
 3.3 化学的方法
 3.4 物理的方法
4 小規模オンサイト利用のための小型バイオガス化システム
 4.1 はじめに
 4.2 バイオガスとは
 4.3 小型バイオガス化装置の特長
 4.4 小型バイオガス化装置の開発状況
  4.4.1 試験内容
  4.4.2 試験結果
 4.5 本装置の環境性
 4.6 今後の展望
5 海藻ゴミからのメタン生産技術
 5.1 はじめに
 5.2 海藻ゴミ
 5.3 海藻のメタン発酵に関する取り組み事例
 5.4 海藻メタン発酵の技術
 5.5 おわりに

第3章 化成品
1 食品廃棄物からポリ乳酸,あるいは,エタノールの製造
 1.1 資源としての食品廃棄物
 1.2 食品廃棄物の組成と利用の可能性
 1.3 食品廃棄物からポリ乳酸の生産
 1.4 食品廃棄物からのエタノール発酵について
 1.5 食品廃棄物からの発酵生産に伴う未利用物の資源化
2 リグノセルロースから循環型リグニン素材の直接誘導
 2.1 はじめに
 2.2 炭素濃縮体としての森林
 2.3 生態系における分子スタンダード
 2.4 環境規格分子素材“リグニン”
 2.5 分子の絡まりを解く
  2.5.1 リグニンおよび炭水化物の基本変換設計
  2.5.2 リグノセルロースの精密リファイニング
  2.5.3 リグノフェノールの2次機能制御
  2.5.4 リグノフェノールの応用展開
 2.6 持続的社会に向けて
3 BDF製造廃液からのL-乳酸生産
 3.1 はじめに
 3.2 グリセリン発酵性乳酸菌の分離
 3.3 Enterococcus faecalis W11株の乳酸生成特性
 3.4 W11株によるグリセリンからのL-乳酸生成
 3.5 BDF製造廃グリセリンからのL-乳酸生成
 3.6 ミニジャーファーメンターを用いての廃グリセリンからのL-乳酸生産
 3.7 おわりに
4 トルラ酵母を用いたキシロースからのエタノール,乳酸生産
 4.1 はじめに
 4.2 バイオエタノール
  4.2.1 エタノール生産における酵母の有用性と課題
  4.2.2 キシロース発酵性トルラ酵母の育種
 4.3 バイオプラスチック―ポリ乳酸
  4.3.1 既存の乳酸生産とその課題
  4.3.2 乳酸高生産トルラ酵母の育種
 4.4 おわりに
5 カニ廃棄物からの有用オリゴ糖生産技術
 5.1 はじめに
 5.2 キチン・キトサンと現在の利用状況
 5.3 P. fukuinensis由来キトサナーゼ
 5.4 細胞表層工学を用いた変異体ライブラリー構築
 5.5 P. fukuinensis由来キトサナーゼ変異体ライブラリー構築
 5.6 変異体ライブラリーにおけるキトサナーゼ/グルカナーゼ活性測定
 5.7 おわりに

<第Ⅱ編 重金属・レアメタル・有用元素回収による環境保全>
第4章 金属イオン還元細菌を活用したレアメタル・貴金属の回収
1 はじめに
2 白金族金属・金のバイオミネラリゼーション
 2.1 金属イオン還元細菌の利用
 2.2 リサイクル技術としての特徴と課題
  2.2.1 金属回収の従来技術
  2.2.2 新技術の特色
  2.2.3 都市鉱山の浸出液への応用
 2.3 還元細菌を内包した新規カプセルの開発
 2.4 工業用触媒としての展開
3 ジスプロシウム,インジウムのバイオソープション
 3.1 希薄溶液からのレアメタルの吸着分離
 3.2 リサイクル技術としての特徴と課題
4 マンガンなどのバイオリーチング
 4.1 マンガンの浸出機構
 4.2 電池電極材料からのマンガンなどの浸出
5 おわりに

第5章 Mn酸化物形成能を有する微生物によるレアメタルの回収
1 微生物によるMn酸化物の形成とMnの回収
2 バイオMn酸化物によるレアメタルの回収
3 BMOの化学特性と元素吸着
4 その他の元素類との相互作用

第6章 細菌を使った排水からのレアメタル回収システム
1 はじめに
2 バイオMnO2の吸着性
3 マンガン酸化細菌の培養とMnO2の生成
 3.1 マンガン酸化細菌の培養
 3.2 マンガン酸化細菌の硝化細菌との共存培養
 3.3 DHSバイオリアクターの特徴
 3.4 DHSバイオリアクターによるMnO2の高速生成
 3.5 バイオMnO2のレアメタル吸着
 3.6 メタン酸化細菌との共存によるMnO2の生成
4 排水からのレアメタル回収システム
 4.1 Mn・レアメタル同時回収システム
 4.2 セパレートシステム
5 実用化に向けての酸化機構の解明
6 適用の拡大

第7章 水生植物を用いた金属加工廃水からの金属回収
1 はじめに
2 植生浄化システム(ビオパレット)
3 ビオパレットにおける金属加工廃水の仕上げ処理
4 抽水植物の金属類に対する濃縮係数
5 抽水植物の金属類に対する移動係数
6 廃水からのファイトマイニングの可能性

第8章 塩類集積環境に適応可能なメタルバイオ技術の開発研究
1 はじめに
2 カリウムのアナログ元素としてのアルカリ金属カチオン
3 生物細胞におけるアルカリ金属カチオンの蓄積
4 アルカリ金属カチオン選択的なバイオアキュムレーション技術
5 今後の展望

第9章 光合成生物の機能を利用した重金属のモニタリングと回収
1 はじめに
2 フィトケラチン合成酵素を細胞表層に提示した酵母を用いた有害重金属バイオセンサー
3 ラン藻を利用した重金属吸着
4 おわりに

第10章 細胞表層工学によるレアメタル・ウランの選択的回収
1 はじめに
2 資源回収におけるバイオ技術の可能性
3 アーミング酵母によるモリブデン・タングステンの回収
4 アーミング酵母によるウランの回収
5 おわりに

第11章 葉状体タイ類を用いた重金属・レアメタル回収技術
1 はじめに
2 葉状体タイ類による重金属・レアメタル回収技術の概念
3 葉状体タイ類の背腹性と機能の分化
4 ゼニゴケの亜鉛・カドミウム・水銀の浄化能力
5 ゼニゴケのニッケル・パラジウム・白金の回収能力
6 カーボンニュートラルな素材としてのゼニゴケ生産技術の開発にむけて
7 今後の展望

第12章 バイオ技術を利用したリン資源のリサイクル技術
1 はじめに
2 リンのリサイクル技術―リン蓄積菌の育種
 2.1 ポリリン酸蓄積変異菌の取得方法
 2.2 ポリリン酸蓄積変異株の不安定性と解析
3 リンのリユース技術―亜リン酸のバイオ変換技術
 3.1 亜リン酸廃液と亜リン酸酸化細菌
 3.2 安定な亜リン酸酸化酵素の取得
4 リンのリデュース技術―亜リン酸を利用した究極の省リン技術
5 おわりに