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ヨウ素化合物の機能と応用展開

Function & application of Iodine compounds

★2005年刊「ヨウ素化合物の機能と応用」の普及版!
★国内初のヨウ素化合物に関する総合的テクニカルレポート!!
★新たな分野への応用が進むヨウ素の現状を詳述!!
★ヨウ素資源国・日本の最先端研究者27名による分担執筆!!

商品コード:
B0949
監修:
横山正孝
発行日:
2011年01月
体裁:
A5判・266頁
ISBNコード:
978-4-7813-0297-3
価格(税込):
4,400
ポイント: 40 Pt
関連カテゴリ:
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)

Review

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刊行にあたって

 ヨウ素は海洋国日本にとって数少ない世界に誇る資源であります。また,ヨウ素単体および化合物は我々の日常生活に深く関わりを持つと同時に重要な役割を演じているのです。よって,この重要な資源の有効利用はわが国にとって見過ごしできない研究課題であると考えられるのです。
 現在,学会および産業界に幅広く関わるヨウ素およびヨウ素化合物の問題をそれぞれの分野から横断的に抽出検討を加えることに,ヨウ素利用研究会(1998年設立)の果した役割大きいものがあります。8年におよぶ学会活動からヨウ素のおおよその全貌が明らかになって参りました。この機会にヨウ素関連の研究をまとめることは学問的にも意義があると考えられます。
 このようなときに,(株)シーエムシー出版の強い勧めで『ヨウ素化合物の機能と応用』と題するレポートを今回発刊することができました。
 内容は,ヨウ素化合物の基礎から最先端の応用までを全般にわたって理解できるように,しかもヨウ素は広い学問分野に渡っているのでどの専門分野の人にも分かるように各分野の第一線でご活躍中の方たちに平明にご執筆をお願い致しました。
 第1章はヨウ素の地球化学的な起源から実際の製造さらには回収までと,ヨウ素の物理化学的性質およびその利用について触れ,第2章では近年有機化学において利用の著しい超原子価ヨウ素化合物について述べております。第3章は将来ヨウ素研究の尖兵となるべき分析手段の最先端について,第4~7章はヨウ素の材料,光,エレクトロニクス,医薬品への応用を扱っております。第8章は未知分野の多い生体内におけるヨウ素の働きについて,最後に第9章においてヨウ素の萌芽的研究に触れました。
 このようにして画期的と思われるヨウ素関連の書籍を編纂できたことは大きな喜びであります。これを契機として,ヨウ素科学が21世紀の科学のイノベーションを牽引することを期待するものであります。

平成17年秋  四街道にて 横山正孝

著者一覧

村松康行 学習院大学 理学部 化学科 教授
佐久間昭 合同資源産業(株) 技術顧問
横山正孝 千葉大学名誉教授
東郷秀雄 千葉大学 理学部 教授
澤本光男 京都大学 大学院工学研究科 高分子化学専攻 教授
稲永純二 九州大学 先導物質化学研究所 物質基盤化学部門 教授
古野裕史 九州大学 先導物質化学研究所 物質基盤化学部門 助手
北村二雄 佐賀大学 理工学部 教授
落合正仁 徳島大学 大学院 薬学研究科 教授
土肥寿文 大阪大学 大学院 薬学研究科 助手
北泰行 大阪大学 大学院 薬学研究科 教授
山口健太郎 徳島文理大学 香川薬学部 教授
板谷謹悟 東北大学 大学院 工学研究科 応用化学専攻 教授
藤川高志 千葉大学 自然科学研究科 教授
小西健久 千葉大学 理学部 化学科 助手
辰巳砂昌弘 大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 教授
髙谷松文 千葉工業大学 工学部 機械サイエンス学科 教授
洪鋒雷 (独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門 主任研究員
林成年 住友化学(株) 情報電子化学品研究所 主席研究員
宮川信一 千葉大学 工学部 情報画像工学科 助手
今久保達郎 (独)理化学研究所 今久保独立主幹研究ユニット 独立主幹研究員
白旗崇 (独)理化学研究所 今久保独立主幹研究ユニット ユニット研究員
水津理恵 (独)理化学研究所 今久保独立主幹研究ユニット ユニット研究員
赤木和夫 筑波大学 大学院数理物質科学研究科 教授;学際物質科学研究センター(物質工学系) センター長
早瀬修二 九州工業大学 大学院 生命体工学研究科 教授
荒野泰 千葉大学 大学院薬学研究院 教授
天知誠吾 千葉大学 園芸学部 生物生産科学科 微生物工学研究室 助手

執筆者の所属表記は、2005年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

第1章 ヨウ素とヨウ素化合物
1. ヨウ素と地球科学
1.1 はじめに
1.2 地殻におけるヨウ素の分布と挙動
1.2.1 ヨウ素を含む鉱物およびヨウ素の産出
1.2.2 地殻におけるヨウ素の分布
1.2.3 海水中のヨウ素
1.2.4 海洋におけるヨウ素の循環
1.2.5 房総半島で産出するヨウ素
1.2.6 ヨウ素の地球化学的循環
1.2.7 メタンとヨウ素
1.3 環境とヨウ素
1.3.1 土壌へのヨウ素の濃縮
1.3.2 土壌-植物系から揮発するヨウ素
1.3.3 生物圏におけるヨウ素
1.3.4 環境中における放射性ヨウ素
1.4 おわりに

2. ヨウ素の製造と回収・リサイクル
2.1 ヨウ素資源
2.2 ヨウ素工業と埋蔵量
2.2.1 油田・天然ガスかん水からのヨウ素製造
(1) 日本
(2) アメリカ
(3) 旧ソ連三国
(4) インドネシア
2.2.2 カリーチ鉱石資源(チリ)からのヨウ素生産
2.2.3 海藻
2.3 ヨウ素の製造方法
2.3.1 かん水原料からのヨウ素製造方法
(1) ブローアウト法
(2) イオン交換樹脂法
(3) 活性炭吸着法
(4) 澱粉吸着法
(5) 銅法
(6) 銀法
2.3.2 カリーチ鉱石原料からのヨウ素製造法
(1) カリーチ鉱石からのヨウ素製造技術の特徴
(2) ヨウ素酸塩からのヨウ素抽出プロセス
(3) ヨウ素の精製
2.3.3 海藻からのヨウ素製造(灰化法)
2.3.4 ヨウ素製品品質(例)
2.4 ヨウ素回収・リサイクル
2.4.1 ヨウ素消費動向と回収・リサイクルの要求
2.4.2 ヨウ素回収の概要
2.4.3 ヨウ素回収技術の検討
(1) 結合ヨウ素を分解する方法(有機化合物の無機化処理)
(2) 有機・無機含有廃液中のヨウ化物を分離する方法
(3) その他回収に関する技術
2.4.4 ヨウ素回収のまとめ

3. ヨウ素の物理化学的性質
3.1 ハロゲン元素としてのヨウ素
3.2 結晶状態のヨウ素
3.3 ポリヨウ化物
3.4 ヨウ素の包接化合物
3.5 ヨウ素の電荷移動錯体

4. ヨウ素の化学反応
4.1 はじめに
4.2 アルコールやアルデヒドの酸化反応
4.3 芳香環への酸化反応
4.4 保護基の導入反応
4.5 脱保護反応
4.6 ヨード環化反応
4.7 分子間炭素・炭素結合形成反応
4.8 複素環形成反応
4.9 おわりに

5. ヨウ素化合物と高分子精密合成
5.1 はじめに
5.2 ラジカル重合とカチオン重合におけるヨウ素化合物
5.3 リビング重合と重合の精密制御
5.4 ヨウ素とリビングカチオン重合
5.4.1 カチオン重合
5.4.2 リビングカチオン重合の開発-ヨウ化水素/ヨウ素開始剤系
5.4.3 リビングカチオン重合におけるヨウ素化合物
5.4.4 リビングカチオン重合の展開
5.5 ヨウ素とリビングラジカル重合
5.5.1 ラジカル重合
5.5.2 リビングラジカル重合の開発-遷移金属錯体触媒系
5.5.3 リビングラジカル重合におけるヨウ素化合物
5.5.4 ヨウ素移動重合-ヨウ素に基づくもう一つのリビングラジカル重合
5.5.5 リビングラジカル重合の展開

6. 金属ヨウ化物-その特徴と利用法
6.1 はじめに
6.2 金属ヨウ化物の調製法
6.3 金属ヨウ化物の特徴
6.4 金属ヨウ化物の利用方法
6.4.1 ヨウ素原子導入剤としての利用
6.4.2 新しい有機金属化合物合成のための金属イオン供給剤としての利用
6.4.3 触媒あるいは反応促進剤としての利用
(1) MgI2
(2) TiI4
(3) CuI
(4) PdI2/KI
(5) InI
(6) SmI2


第2章 超原子価ヨウ素化合物

1. 超原子価ヨウ素化合物の化学
1.1 はじめに
1.2 超原子価ヨウ素反応剤
1.2.1 ヨードシルアレーン
1.2.2 [ビス(アシルオキシ)ヨード]アレーン
1.2.3 (ジフルオロヨード)-および(ジクロロヨード)アレーン
1.2.4 [ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼンおよび関連化合物
1.3 ヨードニウム塩
1.3.1 ポリフルオロアルキルヨードニウム塩
1.3.2 アルケニルヨードニウム塩
1.3.3 アルキニルヨードニウム塩
1.3.4 ジアリールヨードニウム塩
1.4 ヨウ素(Ⅴ)化合物

2. ヨードニウムイリドの化学
2.1 はじめに
2.2 安定ヨードニウムイリド
2.3 モノカルボニルヨードニウムイリドの合成
2.4 カルボニル化合物との反応
2.5 イミンとの反応
2.6 Wittig型オレフィン化反応
2.7 おわりに

3. 超原子価ヨウ素化合物を用いる有機合成
3.1 はじめに
3.2 超原子価ヨウ素(Ⅲ)反応剤を用いるフェノール類の酸化反応
3.3 超原子価ヨウ素(Ⅲ)反応剤を用いるフェニルエーテル類の酸化反応
3.4 超原子価ヨウ素反応剤開発における新潮流
3.5 おわりに

第3章 ヨウ素と分析
 
1. ヨウ素の機器分析
1.1 はじめに
1.2 メスバウアー分光法(MÖssbauer spectroscopy)
1.3 ヨウ素の定量分析
1.3.1 イオンクロマトグラフィー(Ion Chromatography;IC)
1.3.2 滴定(Titration)
1.3.3 導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma;ICP)
1.4 ヨウ素を活用した分析
1.4.1 単結晶X線解析(X-ray crytallography)
1.4.2 質量分析(Mass Spectrometry;MS)
(1) 質量校正用標準物質
(2) エレクトロスプレーイオン化促進物質
1.5 おわりに

2. ヨウ素の吸着構造とその機能
2.1 液中走査型トンネル顕微鏡
2.2 電解質アニオンの吸着構造
2.3 ヨウ素修飾金属電極上での高配向性有機単分子層の生成
 
3. ヨウ素のX線吸収スペクトル
3.1 なぜX線吸収スペクトルを用いるのか
3.2 XAFS 解析の基礎
3.2.1 EXAFS
3.2.2 XANES
3.2.3 ヨウ素の内殻準位とX線吸収端
3.3 XAFS の応用例
3.3.1 EXAFS
3.3.2 XANESの応用例
3.4 XAFSの最近の進歩-時間分解XAFS


第4章 ヨウ素と材料

1. ヨウ素とガラス
1.1 はじめに
1.2 ガラス中のヨウ素
1.3 銀系超イオン伝導ガラス
1.4 銀系以外の超イオン伝導ガラス
1.5 α-ヨウ化銀のガラスマトリックス中への常温安定化
1.6 おわりに

2. ヨウ素とアルミニウム
2.1 はじめに
2.2 ヨウ素化合物含有アルマイトの加工法
2.3 ヨウ素化合物含有アルマイトの省資源・省エネルギー機能材料への応用
2.3.1 トライボロジー性向上の意義
2.3.2 アルミニウム合金のトライボロジー性の向上技術
2.3.3 ヨウ素を利用したトライボロジー性の研究事例
2.3.4 ヨウ素含有アルマイトのトライボロジー性評価方法
2.3.5 トライボロジー性の評価結果
(1) アルミニウム合金の材質の影響
(2) タフラムとの比較
(3) PTFEとヨウ素含有アルマイトの併用効果
2.4 ヨウ素含有アルマイトの環境浄化機能材料への応用
2.4.1 ヨウ素系抗菌剤の作用機構
2.4.2 抗菌試験方法
2.4.3 抗菌試験結果
2.4.4 かび抵抗性の試験方法
2.4.5 かび抵抗性の評価結果
2.5 おわりに


第5章 ヨウ素と光

1. ヨウ素とレーザー
1.1 はじめに
1.2 ヨウ素分子の吸収スペクトル
1.3 ヨウ素セル
1.4 ヨウ素安定化レーザー
1.4.1 周波数安定化レーザー
1.4.2 ヨウ素安定化He-Neレーザー
1.4.3 ヨウ素安定化Nd:YAGレーザー
1.5 周波数安定化レーザーの絶対周波数計測
1.6 ヨウ素分子の超微細定数
1.7 おわりに

2. ヨウ素と偏光版
2.1 はじめに
2.1.1 偏光板とは
2.1.2 LCD用偏光板
2.1.3 偏光板の構造
2.2 ポリヨウ素(ヨウ素PVA錯体)の形成
2.2.1 ポリヨウ素の生成プロセス
2.2.2 ヨウ素PVA錯体の構造
2.3 偏光性能の向上
2.3.1 偏光性能とは
2.3.2 偏光板の高性能化
2.4 色相調製
2.4.1 ヨウ素PVA錯体の生成比制御
2.4.2 偏光板の色相改良
2.5 耐久性の向上
2.5.1 偏光板の耐久性
2.5.2 ヨウ素PVA錯体の安定性向上
2.6 おわりに

3. フォトポリマーにおけるヨウ素化合物
3.1 はじめに~フォトポリマーとは~
3.2 ヨードニウム塩の光反応
3.3 ヨウ素含有ポリマー
3.4 カチオン硬化型樹脂におけるヨウ素化合物
3.5 フォトレジストにおける光酸発生剤
3.6 これからのフォトポリマーにおけるヨウ素化合物


第6章 ヨウ素とエレクトロニクス
 
1. ヨウ素と有機伝導体
1.1 はじめに
1.2 初期の有機伝導体研究:ドーピング剤としてのヨウ素
1.3 単結晶を用いた有機伝導体研究:対アニオンとしてのヨウ素
1.3.1 有機伝導体結晶の基本構造
1.3.2 (BEDT-TTF)2I3:有機超伝導体の発見 
1.4 超分子結晶とヨウ素結合:ヨウ素を使って構造と物性を制御する
1.4.1 ヨウ素結合
1.4.2 含ヨウ素ドナー分子の合成
1.4.3 有機伝導体結晶におけるヨウ素結合
1.4.4 超分子超伝導体θ-(DIETS)2[Au(CN)4]
1.4.5 チャンネル構造を含む超分子有機伝導体
1.4.6 混合ハロゲン化TTFを用いたヨウ素結合の選択性の検証
1.5 おわりに
  
2. 導電性ポリマーにおけるヨウ素ドープ剤
2.1 はじめに
2.2 ケミカルドーピング
2.3 電気伝導度
2.4 ポリアセチレン
2.4.1 液晶場での重合
2.4.2 力学的延伸
2.5 液晶性ポリアセチレン誘導体
2.6 ヘリカルポリアセチレン
2.7 おわりに

3. ヨウ素と太陽電池
3.1 はじめに
3.2 色素増感太陽電池の構成と仕組み
3.3 高効率を発揮できる理由
3.4 作製方法
3.5 電解質組成とヨウ素
3.6 高効率化
3.6.1 Jsc短絡電流の増大による太陽電池性能の向上
(1) 幅広い波長の太陽光を有効に吸収する色素の開発
(2) ナノポーラスチタニア電極内の電子拡散の向上
(3) 電解質中のイオン拡散定数の向上
(4) 対極とヨウ素レドックスとの電子移動
3.6.2 Voc上昇を狙った研究開発動向
3.7 固体化について
3.8 大型セル,モジュールについて
3.9 問題点
3.10 おわりに
  

第7章 ヨウ素と医薬品
 
1. X-線造影剤

2. 放射性ヨウ素と医薬品
2.1 はじめに
2.2 画像診断薬剤としての123I標識薬剤
2.2.1 123I標識薬剤を用いる画像診断
2.2.2 123I標識薬剤の設計と合成
2.2.3 123I標識薬剤
2.3 治療を目的とした131I標識薬剤
2.4 おわりに


第8章 ヨウ素と生物
 
1. 甲状腺ホルモン(チロキシン)

2. ヨウ素サイクルとバクテリア
2.1 はじめに
2.2 バクテリアとは?
2.3 バクテリアにおける元素の循環
2.4 ヨウ素サイクルの謎
2.5 ヨウ素を揮発するバクテリア
2.6 ヨウ素を蓄積するバクテリア
2.7 ヨウ素を酸化するバクテリア
2.8 ヨウ素を還元するバクテリア
2.9 おわりに

第9章 ヨウ素の新しい応用

1. ヨウ素を利用する水素製造
2. ポリアミド樹脂の劣化防止剤
3. フッ素化剤
4. ヨウ素原子の解析
4.1 メスバウアースペクトル
4.2 超高速分光法
5. ヨウ素と生物
5.1 ヨウ素と植物
5.2 ヨウ素と鶏卵

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