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スピントロニクスの基礎と材料・応用技術の最前線 《普及版》

Spintronics -Basics and Forefront of Materials and Applications(Popular Edition)

2009年刊「スピントロニクスの基礎と材料・応用技術の最前線」の普及版!
★スピントロニクスの基礎・物性から物質・材料、またデバイス応用まで徹底解説。スピンホール効果や分子スピントロニクスといった分野も掲載!

商品コード:
B1133
監修:
高梨弘毅
発行日:
2015年8月10日
体裁:
B5判・421頁
ISBNコード:
978-4-7813-1026-8
価格(税込):
7,480
ポイント: 68 Pt
関連カテゴリ:
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)

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キーワード:

<基礎・物性>巨大磁気抵抗効果/スピンホール効果/他<物質・材料>高効率スピン源の理論設計/強磁性半導体/分子スピントロニクス/他<応用・デバイス>微細加工技術/磁気ヘッドへの応用/他

刊行にあたって

 スピントロニクス(あるいはスピンエレクトロニクス)と呼ばれているものは,エレクトロニクスとマグネティクスという別々に歩んできた2つの分野の融合である。また,スピントロニクスは,現在のナノテクノロジーの発展と密接不可分の関係にある。なぜナノテクノロジーか。それは,物質・材料がナノスケール化すると,電荷の輸送(電気伝導)と磁気モーメントの挙動(磁気特性)が強く関係するようになり,一方によって一方が制御できるようになる。その代表的な例が,1988年にFertおよびGrunbergによって独立に発見された巨大磁気抵抗効果であり,人工格子と呼ばれるナノスケールで制御された複合構造において,電気伝導を磁化配置によって制御できることが実証された。また,後になって,それとは逆に,電流によって磁化配置を制御できることも実証された(スピン注入磁化反転)。このように,ナノスケールで制御された物質・材料を用い,磁気特性と他の物理特性(電気伝導や光学特性など)との相関,言い換えれば相互に制御できることを利用して創成される新しいエレクトロニクス,それがスピントロニクスである。
 スピントロニクスがカバーする領域は,スピン依存伝導やスピン注入といった基礎的な物理現象から,再生ヘッドや磁気メモリ,スピントランジスタなどへのデバイス応用まで幅広い。また,対象となる物質・材料も,金属,半導体,絶縁体と多岐に渡る。この膨大なスピントロニクスを一冊に凝縮し,読めば研究・開発の基礎と現状を総合的に俯瞰できる,というような本があればきわめて有用であり,本書の趣旨はまさにそこにある。
 本書の前身は,2004年に猪俣浩一郎博士(当時東北大学教授,現在物質・材料研究機構)の監修のもとで刊行された「スピンエレクトロニクスの基礎と最前線」である。この本は,日本におけるスピントロニクスの最初の総合的成書として,大きな役割を果たした。しかし,スピントロニクスの研究・開発は日進月歩で変化しており,刊行から5年を経過した今,古くなってしまった内容も少なくない。そこで改訂版の話が持ち上がり,刊行されたのが本書である。本書では,基本的には旧版における各章の執筆者を可能な限り残し,各章の執筆者がその内容を改訂するという方針を取ったが,この5年間に新しく発展した研究(例えばスピンホール効果や分子スピントロニクスなど)も大幅に取り入れ,新しい執筆者に依頼して章を増やした。それに合わせて,全体構成も多少の変更を行った。さいわい2007年度から文部科学省科学研究費特定領域「スピン流の創出と制御」が設定され,執筆者の多くが特定領域に関係しているので,相互に連携を取りながら,非常にスムーズに執筆・編集活動が進められたと思う。本書が,旧版同様,スピントロニクス分野で大きな役割を果たすことを願っている。

(「はじめに」より抜粋)

2009年6月吉日  東北大学 金属材料研究所 高梨弘毅


 本書は2009年に『スピントロニクスの基礎と材料・応用技術の最前線』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧

高梨弘毅   東北大学
大兼幹彦   東北大学
宮崎照宣   東北大学
高橋三郎   東北大学
前川禎通   東北大学
鈴木義茂   大阪大学
久保田均   (独)産業技術総合研究所
安藤康夫   東北大学
小野輝男   京都大学
三谷誠司   (独)物質・材料研究機構
松倉文   東北大学
井上順一郎  名古屋大学
大成誠一郎  名古屋大学
宗片比呂夫  東京工業大学
塚本新    日本大学
大野裕三   東北大学
村上修一   東京工業大学
大谷義近   東京大学
木村崇    東京大学
白井正文   東北大学
猪俣浩一郎  (独)物質・材料研究機構
介川裕章   (独)物質・材料研究機構
湯浅新治   (独)産業技術総合研究所
長浜太郎   (独)産業技術総合研究所
柳原英人   筑波大学
関剛斎    大阪大学
佐橋政司   東北大学
土井正晶   東北大学
三宅耕作   東北大学
田中雅明   東京大学
安藤功兒   (独)産業技術総合研究所
白石誠司   大阪大学
高橋有紀子  (独)物質・材料研究機構
宝野和博   (独)物質・材料研究機構
藤森淳    東京大学
秋永広幸   (独)産業技術総合研究所
山本修一郎  東京工業大学;(独)科学技術振興機構 CREST
周藤悠介   東京工業大学;(独)科学技術振興機構 CREST
菅原聡    東京工業大学;(独)科学技術振興機構 CREST
新田淳作   東北大学
上原裕二   富士通(株)
小林和雄   富士通(株)
與田博明   (株)東芝
林将光    (独)物質・材料研究機構
Stuart S.P.Parkin   IBM
齋藤好昭   (株)東芝
清水大雅   東京農工大学
伊藤公平   慶應義塾大学

執筆者の所属表記は、2009年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

基礎・物性編
 巨大磁気抵抗効果
 トンネル磁気抵抗効果
 スピン注入・蓄積効果 ほか
物質・材料編
 高効率スピン源の理論設計
 ハーフメタル薄膜とトンネル磁気抵抗効果
 結晶MgOトンネル障壁の巨大なトンネル磁気抵抗効果 ほか
応用・デバイス編
 スピントロニクスにおける微細加工技術
 スピン機能CMOSによる不揮発性高機能・高性能ロジック
 電界スピン回転制御とスピンFET ほか