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環境にやさしい化学技術の開発

Development of Environmentally Friendly Chemical Tnology

★光触媒,自動車排ガス触媒,燃料電池など環境課題に対応できる次世代のための触媒技術の最前線!!
★「環境に優しい化学」グリーンケミストリーとファインケミカル合成の最新の応用開発例を詳述!!
★グリーン度の評価方法、反応工学のあらたな展開など、グリーンケミストリー運動における課題と展望を言及!!

商品コード:
B0766
監修:
御園生誠
発行日:
2006年1月
体裁:
A5判・306頁
ISBNコード:
978-4-88231-873-6
価格(税込):
4,620
ポイント: 42 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル

Review

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刊行にあたって

化学が,物質創成,変換を通して質・量ともに現代社会を豊かにしたことは明らかであり,その恩恵は化学がもたらした危険をはるかに上まわっている。今後,化学物質,材料が高度文明社会を持続するために必須であることも論をまたない。しかし,一方で,物質文明の量的拡大の中で,地球の各種限界が危惧され,化学物質の安全性が社会に不安や未来への不透明感を引き起こしていることも事実である。安全性に関する知識や技術は進歩してきたといえ,一般社会の期待に応えるほどに十分あるとは言い難い。
 このような背景を考えると,化学および化学技術が果たすべき役割は,はなはだ大きくかつ多岐にわたるといえよう。本書は,その中で,環境の視点に立って,第一に,環境を積極的に維持あるいは浄化するための化学と化学技術,第二は,根源にかえって,環境に与える負荷を最小限にするものづくりを実現する化学と化学技術を取り上げた。前者は環境触媒の中心をなす直接型の「環境触媒」であり,後者は,持続性社会へ向けての化学技術パラダイムシフトを目指す「グリーンケミストリー」である(わが国では社会の持続性を強調して,正式にはグリーン・サステイナブルケミストリーと呼ぶことが推奨されている)。本書では,一線で活躍されている方々に,これらの課題に関するそれぞれの得意の分野について最先端の化学,将来展望,最新の技術的成果を執筆いただいた。本書を通覧すればこの分野の最先端の全体像が見えてくるはずである。
 化学に関わるものにとって,本書がこの分野へのよい入門書となるとともに,読者が本書の内容に触発されてこの分野の推進に積極的に参加されんことを期待している。あるいは,本書に示された考え方を参考にされ,便益性の優れた化学技術を開発する際に,環境負荷に十分配慮した取り組みをされるよう望みたい。
2000年9月 御園生誠 

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普及版の刊行にあたって

本書は2000年9月に『環境触媒とグリーンケミストリー』として刊行されました。普及版の刊行にあたり,内容は当時のままであり加筆・訂正などの手は加えておりませんのでご了承ください。
2006年1月 シーエムシー出版 編集部 

著者一覧

御園生誠 工学院大学 工学部 環境化学工学科 教授
(現)(独)製品評価技術基盤機構 理事長
藤嶋昭 東京大学大学院 工学系研究科 教授
(現)(財)神奈川科学技術アカデミー 理事長
鍋島成泰 (株)住化技術情報センター 調査グループ 主幹研究員
(現)(株)住化技術情報センター 取締役
安井至 東京大学生産技術研究所 教授
(現) 国際連合大学 副学長
服部忠 名古屋大学大学院 工学研究科 教授
(現)愛知工業大学 応用化学科 客員教授
松本伸一 トヨタ自動車(株) 第1材料技術部 シニアスタッフエンジニア
(現)シニアスタッフエンジニア
持田勲 九州大学 機能物質科学研究所 所長
(現)九州大学 産業連携センター 特任教授
瀬川幸一 上智大学 理工学部 化学科 教授
渡辺政廣 山梨大学 工学部 教授
(現)山梨大学 クリーンエネルギー研究センター 教授・センター長
余語克則 (株)三菱総合研究所 先端科学研究所 融合科学部
杉山秀樹 千代田化工建設(株) 総合研究所 副所長
浅岡佐知夫 千代田化工建設(株) 総合研究所 所長
(現)九州市立大学 国際環境工学部 教授
上野晃史 静岡大学 工学部 物質工学科 教授
佐々木正一 オルガノ(株) プラント事業本部 地球環境室 次長
(現)環境テクノ(株) 取締役 研究本部長
金村聖志 東京都立大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 助教授
(現)首都大学東京 大学院 工学研究科 教授
北爪智哉 東京工業大学大学院 生命理工学研究所 生物プロセス専攻 助教授
(現)東京工業大学大学院 生命理工学研究科 教授
服部泰幸 花王(株) 素材開発研究所 グループリーダー
(現)花王(株) 品質保証本部 化学品技術法務室 室長
下田智明 日本ジーイープラスチックス(株) テクノロジー プロセステクノロジーLX リーダー
(現)三井化学(株) 機能樹脂事業グループ 企画管理部 グループリーダー
清浦忠光 三井化学(株) 袖ケ浦R&Dセンター リサーチフェロー
(現)ゼファー(株)
柴谷武爾 元・田辺製薬(株)
(現)奈良先端科学技術大学大学院大学 知財本部 客員教授
織田佳明 住友化学工業(株) 技術・経営企画室 主席部員
碇屋隆雄 東京工業大学大学院 理工学研究科 教授
榧木啓人 科学技術振興事業団 CREST 研究員
(現)東京工業大学 大学院理工学研究科 特別研究員
小林修 東京大学大学院 薬学系研究科 教授
戸田芙三夫 岡山理科大学 理学部 教授
(執筆者の所属は,注記以外は2000年当時のものです。)

目次 +   クリックで目次を表示

[第1編 環境触媒とグリーンケミストリー]

第1章 環境触媒とグリーンケミストリーの現状と展望
1. 現代の環境問題の特徴
2. 環境触媒
3. グリーンケミストリーと触媒
3.1 グリーンケミストリー触媒への期待
3.2 グリーン度評価の必要性
4. 持続可能な社会における物質,エネルギーのフロー

第2章 光触媒の素質と将来性
1. はじめに
2. 人工光合成系から光触媒へ
3. 光触媒系の特徴
4. 超親水性
5. 酸化チタンとは
6. 殺菌ができ毒素も分解
7. 消臭効果もあり,シックハウス症にも有効
8. Noxも分解できる
9. 汚れが付きにくい
10. ダイオキシン除去や環境ホルモンの分解
11. 医療への応用
12. 環境医学への応用
13. 本物の光触媒こそ生き残れる
14. 当面の課題
15. これからの重要テーマ
16. おわりに

第3章 グリーンバイオテクノロジーの現状と展望
1. バイオ環境触媒とグリーンケミストリー
2. グリーンバイオ戦略フォーラム
3. バイオプロセスの開発動向
4. 植物工場と動物工場
5. バイオレメディエーション技術の動向
6. 難分解性物質の微生物分解
7. 今後の展望

第4章 グリーンインデックスとLCA
1. はじめに
2. “グリーン”とは何か
3. 環境負荷とは何か
3.1 保護対象
3.2 保護対象に悪影響を与える環境負荷
4. グリーンインデックスと環境負荷
4.1 環境負荷がすべての項目について平均的,かつ負荷量が少ない製品・プロセス・行為の場合
4.2 特定の環境負荷が高く,かつ負荷量を大幅に減少させた製品・プロセス・行為の場合
4.3 環境負荷の分布は平均的で,環境負荷を大幅に減少させた製品・プロセス・行為の場合
5. 具体的なグリーンインデックスの提案
5.1 ある特定の環境負荷項目の大幅な減少を評価するインデックス:ハイリスク回避型
5.2 環境負荷項目のリスクが平均的な場合のインデックス
6. 米国版グリーンケミストリーの12箇条を用いた方法論の検証
7. おわりに

第5章 環境触媒の反応工学
1. はじめに
2. 新規反応方式による化学プロセスの高効率化
2.1 循環流動層
2.2 メンブレンリアクター
3. ゼオライト特殊反応場の分子反応工学
3.1.ゼオライトの細孔内拡散と触媒有効係数
3.2.NO選択還元における形状支配拡散の影響
3.3.NO選択還元における吸着支配拡散の影響
3.4.細孔内拡散に対する炭化水素種の影響
4. おわりに

[第2編 環境問題に対応した触媒技術の実例]

第1章 自動車排ガス触媒-窒素酸化物,パティキュレート
1. はじめに
2. Nox低減技術
3. PM低減技術
4. 今後の研究開発課題

第2章 炭化水素燃料の超深度精製を達成する触媒と反応の設計
1. 超深度精製技術の必要性
2. 超深度精製技術開発のアプローチ
3. 天然ガスの精製
3.1 脱湿
3.2 脱酸
3.3 都市ガス中の付臭剤の除去
4. ガソリンの超深度脱硫
5. 軽油の構成と超深度精製
5.1 軽油構成全分子の解析
5.2 軽油中の硫黄化合物の反応性
5.3 軽油中の窒素化合物の反応
5.4 軽油の脱硫・脱窒素反応における阻害効果
5.5 軽油超深度脱硫の達成へのアプローチ
6. 石炭液化軽油の超深度精製
7. 真空軽油の構成と超深度精製
8. 残油の水素化精製
9. おわりに

第3章 固体触媒化プロセス
1. はじめに
2. 廃棄物が大量に発生するプロセス
3. 危険物を扱うプロセス
4. エネルギー多消費プロセス

第4章 燃料電池-クリーンエネルギーデバイス
1. はじめに
2. 燃料電池の作動原理・構成とシステムの課題
3. 改質ガス中のCO高選択除去
4. 耐CO被毒合金触媒の設計とその触媒作用
5. 高活性酸素還元触媒の設計とその触媒作用
6. 自己加湿型電解質膜の開発
7. おわりに

第5章 環境触媒の居住空間への応用
1. はじめに
2. 環境触媒の住環境への利用拡大の背景
3. 環境触媒の応用分野
4. 抗菌・防汚分野への応用
5. 脱臭(空気清浄)分野への応用
6. 今後の展望と課題
7. おわりに

第6章 廃棄物処理における触媒作用
1. はじめに
2. 排ガス処理
2.1 窒素酸化物
2.2 VOC,臭気,アンモニア
2.3 硫黄酸化物
3. 排水処理
3.1 COD等
3.2 難分解性有機物
4. ダイオキシン類および有機塩素化合物処理
4.1 ガス中のダイオキシン類処理
4.2 飛灰中のダイオキシン類処理
4.3 PCBs
5. おわりに

第7章 プラスチックのリサイクル技術
1. はじめに
2. 廃プラのリサイクル技術
2.1 高炉用コークス代替
2.2 熱分解ガス溶融炉によるガス化
2.3 廃プラの接触油化
3. 脱塩素により発生する塩化水素のアルカリ中和処理
4. 塩化水素からの塩素ガス回収
4.1 MTクロル法による塩素ガスの回収
4.2 湿式電解法による塩素ガスの回収
4.3 CCP(Carrier Catalyst Process)による塩素ガスの回収
5. 塩素の物質循環
6. おわりに

第8章 土壌浄化における触媒利用
1. はじめに
2. 触媒利用の位置付け
3. 土壌浄化における触媒作用の実際
3.1 緒言
3.2 処理設備概要
3.2.1 真空ポンプユニットの諸元
3.2.2 触媒式酸化分解処理装置の諸元 
3.2.3 処理方法
3.2.4 触媒の性能
3.2.5 本システムに使用した触媒の特長
3.3 土壌ガス分解予備試験
3.3.1 条件設定試験
3.3.2 連続運転条件の決定
3.4 土壌ガス分解連続試験 
3.4.1 緒言   
3.4.2 土壌ガスの連続処理
3.4.3 土壌ガス触媒分解処理装置
4. おわりに

[第3編 ファインケミカル分野でのグリーンケミストリーを目指した研究開発の実例]

第1章 電池材料のリサイクル
1. はじめに
2. 21世紀の暮らしの中の電池
3. 電池に用いられる材料
4. 鉛蓄電池のリサイクル
5. マンガン乾電池の処理
6. アルカリ電池のリサイクル
7. リチウム一次電池のリサイクル
8. リチウム二次(イオン)電池の回収
9. 今後の展望

第2章 電子情報材料合成におけるグリーン化
1. はじめに
2. 強誘電性液晶とは
3. 液晶高分子とは
4. 情報電子材料のグリーンケミストリー的創製
4.1 ラセミ体の液晶材料の合成
4.2 ピリミジン系液晶
4.3 多環系液晶
5. 光学活性な液晶材料の合成
5.1 発酵法
5.2 微生物を利用する酸化法
5.3 酵素法
6. 無溶媒酵素法による光学分割

第3章 再生可能資源を原料とするファインケミカル合成  
    -植物油脂からのオレオケミカルの製造-
1. はじめに
2. 脂肪酸およびその誘導体
3. 高級アルコールおよびその誘導体
4. 機能性脂質
4.1 ビタミンE(Vitamin E)
4.2 キシリトール(Xylitol)
4.3 β-カロチン(β-Carotene)
4.4 γ-オリザノール(γ-Oryzanol)
4.5 1,3-ジアシルグリセロール(1,3-Diacylglycerol)
4.6 高度不飽和脂肪酸(PUFA)
5. おわりに

第4章 ホスゲンおよび溶媒を用いないメルト法ポリカーボネート製造プロセスの開発
1. はじめに
2. ポリカーボネートの製造技術の変遷
3. ホスゲン法との比較
3.1 原料
3.1.1 BPA
3.1.2 ホスゲン
3.1.3 ジフェニルカーボネート
3.2 製造プロセス
3.2.1 ホスゲン法プロセス
3.2.2 メルト法プロセス
4 メルト法開発のポイント
4.1 化学制御技術
4.2 プロセス技術
5  今後の課題
6  おわりに

第5章 副生物を減らす代替え合成反応・プロセスの開発
1. はじめに
2. メタトルイジンの製造プロセス
3. インドールの製造プロセス
4. L-トリプトファンの製造プロセス
5. インジゴの製造プロセス
6. その他のプロセス転換例
6.1 ビニルエーテル
6.2 ピルビン酸
6.3 ブタンテトラカルボン酸
6.4 グリコール酸
6.5 グリオキサール
6.6 1,2-ジメトキシエタン
6.7 ジメチルエタノールアミン
6.8 パラフェニレンジアミン
7. おわりに

第6章 酵素を利用したファインケミカル合成
1. はじめに
2. ジルチアゼム製造工程改良の目的
3. 不斉加水分解酵素のスクリーニング
4. 酵素反応条件の最適化
5. 膜バイオリアクターの利用
6. 副産物の利用
7. 酵素の高生産
8. おわりに

第7章 医農薬合成における触媒反応
1. はじめに
2. 有害物質回避プロセス-Grignard反応の水溶媒化
3. 有機溶媒フリープロセス
4. 生体触媒利用プロセス
5. おわりに

第8章 超臨界媒体を使う有機合成
1. グリーンケミストリーの観点からみた超臨界流体反応
2. 超臨界水,亜臨界水を反応媒体とする反応
2.1 加水分解反応
2.2 水和反応
2.3 脱水反応
2.4 転位反応
2.5 炭素-炭素結合生成反応
2.6 部分酸化反応
3. 超臨界二酸化炭素中における均一系分子触媒反応
3.1 水素化反応
3.2 カルボニル化反応
3.3 炭素-炭素結合生成反応
4. 超臨界流体を含む多相系分子触媒反応
4.1 超臨界二酸化炭素反応相からの生成物-触媒分離
4.2 超臨界流体-水二相系反応
4.3 超臨界二酸化炭素-液状基質二相系反応
5. 超臨界二酸化炭素を用いる二酸化炭素固定
5.1 超臨界二酸化炭素の水素化反応
5.2 ウレタン合成反応
5.3 炭酸ジメチル合成反応
5.4 ポリカーボネート合成
6. おわりに

第9章 水中での有機合成
1. はじめに
2. 水中で安定なルイス酸
3. 水溶液中での炭素-炭素結合反応
3.1 アルドール反応
3.2 アリル化反応
3.3 Mannich型反応
3.4 Diels-Alder反応
3.5 Strecker反応
4. ミセル系でのルイス酸触媒反応
5. 水溶液中での触媒的不斉合成反応
6. ルイス酸・界面活性剤一体性触媒
7. おわりに

第10章 固相有機合成
1. はじめに
2. 固相合成法とは
3. 固相で分子は動く
4. 熱固相有機合成
4.1 Baeyer-Villiger酸化とエポキシ化反応
4.2 還元反応
4.3 付加反応
4.4 アルドールおよびDieckmann縮合反応
4.5 Reformatsky,LucheおよびGrignard反応
4.6 ジアレンの熱環化反応
4.7 その他の反応
5. 光化学反応
5.1 結晶中での光反応
5.2 包接結晶中でのカルコン,ピリドンおよびクマリンの光二量化反応    
5.3 キラルホストとの包接結晶中での分子内キラル反応
5.4 不斉源を必要としない固相不斉光合成法-不斉発生
6. おわりに