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高分子トライボロジーの制御と応用《普及版》 

Tribological Control of Polymer and its Application(Popular Edition)

2015年刊「高分子トライボロジーの制御と応用」の普及版。高分子材料に特化し、評価手法からトライボロジーの制御技術、各材料の特性と歯車や軸受、しゅう動部品など、応用製品についても詳述している。

商品コード:
B1370
監修:
西谷要介
発行日:
2022年1月11日
体裁:
B5判、302ページ
ISBNコード:
978-4-7813-1582-9
価格(税込):
5,940
ポイント: 54 Pt
関連カテゴリ:
新材料・新素材
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)

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キーワード:

プラスチック / ゴム・エラストマー / ナノスクラッチ / 摩擦振動 / 分析法 / アロイ・ブレンド / 固体潤滑皮膜 / DLC膜 / ポリマーブラシ / マイクロテクスチャ / ポリアセタール / エンジニアリングプラスチック / フェノール樹脂 / 歯車 / 軸受 / タイヤ / シール / 自動車用しゅう動部品 / OA機器用しゅう動部品

刊行にあたって

 トライボロジーはいわゆる「摩擦・摩耗・潤滑」を取り扱う重要な学問である。今後、省エネルギーや省資源化などの環境に優しい持続型社会を構築していくためには、このトライボロジーを積極的に制御していくことが重要である。また、最近の機械、自動車、航空宇宙、OA機器、スマートフォン、電気・電子部品、医療機器、各種装置、ロボットなどは、全て相対運動部を有しているため、そのトライボロジー特性が、全ての性能、信頼性および耐久性を左右することが多い。この相対運動部に用いられるトライボマテリアルには金属材料、セラミックスなど数多くの種類が用いられているが、その中でも、特にプラスチックやゴムなどをはじめとした高分子材料の魅力は非常に高い。なぜならば、高分子材料は軽量、比強度が高く、成形加工性などに優れた特性を有することはもちろんのこと、自己潤滑性を有し、また他の材料との複合化が容易なためである。
 本書では、高分子材料のトライボロジーについて1冊にまとめ、本分野に携わる開発研究者や技術者の方に、基礎から応用まで、最新情報を交えてお届けすることを目的としている。本書の構成としては、第1編:基礎、第2編:トライボロジーの制御、第3編:材料、および第4編:応用の4編から成っており、高分子材料のトライボロジーを専門としている民間企業・大学・公的機関などの著名な研究者の方々に執筆して頂いた次第である。今後、高分子材料のトライボロジーに関する科学と技術の発展のため、本書がいささかでも寄与できれば幸甚である。

(「はじめに」より一部抜粋)


〈普及版の刊行にあたって〉

 本書は2015年に『高分子トライボロジーの制御と応用』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧

西谷要介   工学院大学
広中清一郎  (株)ヒロプランニング・ヒロテクノ研究所
桃園 聡   東京工業大学
上原宏樹   群馬大学
山延 健   群馬大学
田所千治   東京理科大学
中野 健   横浜国立大学
梅田一徳   産業技術総合研究所
佐々木信也  東京理科大学
荒木祥和   (株)日産アーク
甲本忠史   (一財)地域産学官連携ものづくり研究機構
柏谷 智   住鉱潤滑剤(株)
上坂裕之   名古屋大学
平塚傑工   ナノテック(株)
小林元康   工学院大学
高原 淳   九州大学
平山朋子   同志社大学
山下直輝   同志社大学
川堰宣隆   富山県工業技術センター
加田雅博   ポリプラスチックス(株)
池田剛志   三菱エンジニアリングプラスチックス(株)
赤垣友治   八戸工業高等専門学校
竹市嘉紀   豊橋技術科学大学
榎本和城   名城大学
堀切川一男  東北大学
山口 健   東北大学
柴田 圭   東北大学
高橋秀雄   木更津工業高等専門学校
板垣貴喜   木更津工業高等専門学校
江上正樹   NTN(株)
石井卓哉   NTN精密樹脂(株)
中島幸雄   工学院大学
似内昭夫   トライボロジーアドバイザー
齊藤利幸   (株)ジェイテクト
菊谷慎哉   スターライト工業(株)


執筆者の所属表記は、2015年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【第1編 基礎】

第1章 高分子材料のトライボロジー概論 
1 はじめに
2 高分子の種類と諸特性
3 高分子のトライボ材料としての優位点と課題点
4 トライボロジー特性
4.1 すべり摩擦と摩擦プロセス
4.2 摩耗の形態
4.3 高分子複合材料の摩擦摩耗
4.4 限界PV値と使用限界温度
5 実用上の留意点

第2章 プラスチックのトライボロジー
1 はじめに
2 プラスチックの特徴
3 プラスチックの摩擦特性
4 プラスチックの摩耗特性
5 プラスチックのトライボロジー特性に及ぼす諸因子の影響
6 プラスチック系トライボマテリアルとその特徴
7 おわりに

第3章 ゴム・エラストマーのトライボロジー 
1 ゴム・エラストマーとその物性
2 エラストマーの接触力学
3 エラストマーの摩擦
3.1 エラストマーにおける摩擦の構成因子
3.2 ヒステリシス摩擦
3.3 凝着摩擦
3.4 凝着摩擦とヒステリシス摩擦の関係
3.5 分離波と類似現象
4 エラストマーの摩耗

第4章 ナノスクラッチ挙動 
1 はじめに
2 SPMナノ・スクラッチ試験
3 ポリスチレン
4 ポリエチレン
5 ポリ乳酸
6 配向PETフィルム
7 まとめ

第5章 摩擦振動の基礎 
1 はじめに
2 摩擦振動を表現する最小構成要素モデル
3 静摩擦と動摩擦の差によるスティックスリップ
3.1 支配方程式
3.2 スティックスリップを特徴づけるパラメータ
3.3 スティックスリップの発生・非発生条件
3.4 スティックスリップ回避のための設計指針
4 動摩擦力の速度弱化による自励振動
4.1 自励振動の発生・非発生条件
4.2 ヨー角ミスアライメントを利用した制振法
5 ソフトマテリアルの摩擦振動
5.1 バルクの接線変形をともなうスティックスリップ
5.2 モードカップリング不安定性による自励振動
6 おわりに

第6章 トライボロジー評価法
1 はじめに
2 摩擦・摩耗試験法
3 データのばらつきの因子
3.1 試験片
3.2 試験条件
3.3 試験機
3.4 摩擦力測定
3.5 摩耗測定

第7章 摩擦面観察(物理分析) 
1 物理分析の目的と意義
2 表面性状測定
3 機械的物性測定
4 摩擦面観察で留意すべきこと

第8章 表面分析法(化学分析) 
1 はじめに
2 X線光電子分光分析法(XPS)
2.1 原理
2.2 XPSを用いた解析事例
3 飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)
3.1 原理
3.2 TOF-SIMSを用いた解析事例
4 表面分析における注意点


【第2編 トライボロジーの制御】

第9章 アロイ・ブレンド・複合材料による制御 
1 はじめに
2 ポリマーアロイ・ポリマーブレンド
2.1 ポリマーアロイ・ポリマーブレンドについて
2.2 ポリマーアロイ・ポリマーブレンドによる改質例
3 高分子複合材料(ポリマーコンポジット)
3.1 高分子複合材料について
3.2 高分子トライボマテリアル向けフィラー
3.3 高分子複合材料による改質例
3.4 フィラーおよび繊維の表面処理効果
4 多成分系複合材料
5 おわりに

第10章 高分子の構造物性による制御
1 はじめに
2 高分子材料の構造物性と摩擦摩耗特性
2.1 種々の高分子材料の比摩耗量
2.2 ポリエチレンの摩擦表面のモルフォロジーとトライボロジー
2.3 他の高分子の摩擦表面のモルフォロジーとトライボロジー
2.4 ポリアセタールのトライボロジー制御
3 ハイブリッド平歯車の開発研究
3.1 プラスチック歯車の課題
3.2 ハイブリッドスプライン
3.3 ハイブリッド平歯車
4 まとめ

第11章 表面改質による制御
1 はじめに
2 高分子の表面機能と改質法
3 表面改質による制御
3.1 界面活性物質の塗布と内部添加による表面改質
3.2 放射線照射による表面改質
3.3 イオン注入による表面改質
3.4 その他の表面改質
4 おわりに

第12章 固体潤滑被膜による制御 
1 はじめに
2 乾性被膜潤滑剤の概要
3 乾性被膜潤滑剤の液性状
4 乾性被膜潤滑剤の処理方法
4.1 前処理
4.2 コーティング方法と機器
4.3 焼成
5 固体潤滑塗料を用いた高分子材料の潤滑性向上の例
5.1 エンジニアリングプラスチックの場合
5.2 ゴムシールの場合
6 おわりに

第13章 プラズマや光化学フッ化処理による高分子材料表面の機械特性制御 
1 プラスチックシリンジの無潤滑化を目指したガスケット材料の光化学フッ化処理(基礎実験)
1.1 実験装置
1.2 実験手順
1.3 実験結果
2 プラスチックシリンジの無潤滑化を目指したガスケット材料の光化学フッ化処理(実際の注射器形状への適用)
3 高密度酸素プラズマ処理による医療用ゴム材料(CIIRシート)とステンレス鋼との付着力低減

第14章 DLC膜によるトライボロジー制御 
1 はじめに
2 DLC膜の成膜方法
3 DLC膜の分類
4 DLC膜の用途
5 トライボロジー制御
5.1 DLC膜と高分子材料のトライボロジー
5.2 中間層の設計
6 今後の展望

第15章 ポリマーブラシによる制御
1 はじめに
2 精密高分子合成を用いたポリマーブラシの調製とトライボロジー
3 ポリマーブラシの摩擦特性における溶媒効果
4 高分子電解質ブラシの水潤滑特性
5 おわりに

第16章 境界潤滑層形成による制御 
1 境界潤滑層の分類
2 添加剤による境界潤滑層の形成とその効果
3 ポリマーブラシを用いた境界潤滑層の形成とその効果

第17章 マイクロテクスチャによるプラスチック成形品の摩擦の制御 
1 はじめに
2 テクスチャを有するプラスチック成形品の作製
3 テクスチャのピッチ,高さによる摩擦の変化
3.1 官能評価による摩擦の評価
3.2 テクスチャの摩擦の評価
4 テクスチャ先端形状の影響
5 おわりに


【第3編 材料】

第18章 高分子系トライボマテリアル(ポリアセタール) 
1 はじめに
2 ポリアセタール樹脂の特徴
2.1 ホモポリマーとコポリマー
2.2 エンプラとしてのポリアセタール樹脂
2.3 歯車用途としてのPOM
3 おわりに

第19章 エンジニアリングプラスチック 
1 はじめに
2 ポリアセタールのしゅう動性改質技術
2.1 潤滑剤の添加による改質
2.2 強化剤,充填剤の添加による改質
2.3 ポリマーアロイによる改質
2.4 ポリマー変性による改質
3 最近のポリアセタールのしゅう動性改質事例
3.1 ワイドレンジ性を持ったしゅう動性改質
3.2 セルロースナノファイバーによるPOMの改質
3.3 PET長繊維によるPOMの改質
4 おわりに

第20章 過酷なすべり条件下におけるPEEKのトライボロジー 
1 はじめに
2 PEEKのトライボロジー特性
2.1 無潤滑下における摩擦・摩耗特性
2.2 油潤滑下における摩擦・摩耗特性
2.3 油潤滑下における焼付き挙動
3 まとめ

第21章 PTFE(フッ素樹脂) 
1 はじめに
2 PTFEの製造
3 PTFEの構造と物性
4 PTFEの摩擦摩耗機構
5 PTFEの摩耗量低減の様々な手法
5.1 フィラーを添加することによる摩耗量低減
5.1.1 フィラーの種類とその動向
5.1.2 フィラーによる摩耗量低減メカニズム
5.2 放射線処理による摩耗量低減
5.3 繊維化および結晶化の耐摩耗性への影響

第22章 フェノール樹脂(熱硬化性樹脂) 
1 はじめに
2 フェノール樹脂の製造
3 フェノール樹脂のトライボロジー研究
3.1 ブレーキ,クラッチ
3.2 しゅう動材料

第23章 高分子系複合材料 
1 はじめに
2 複合化の目的
3 高分子系複合材料の作製法
4 POM系複合材料のトライボロジー特性
5 PTFE系複合材料のトライボロジー特性
6 PEEK系複合材料のトライボロジー特性
7 まとめ

第24章 ナノカーボン充填系複合材料 
1 はじめに
2 ナノカーボン材料
3 ナノカーボン充填系複合材料の作製法
4 ナノカーボン充填系複合材料のトライボロジー特性
5 まとめ

第25章 RBセラミックス粒子を配合した樹脂系複合材料 
1 はじめに
2 硬質多孔性炭素材料RBセラミックス
3 RBセラミックス粒子を充填した各種熱可塑性樹脂複合材料のトライボロジー特性
4 PA66樹脂複合材料のトライボロジー特性に及ぼすRBセラミックス粒子の粒径及び充填率の影響
5 RBセラミックス粒子を充填したPEEK樹脂材料の水中におけるトライボロジー特性
6 RBセラミックス粒子を充填した樹脂複合材料の応用
7 おわりに


【第4編 応用】

第26章 歯車 
1 プラスチック歯車の特徴
2 プラスチック歯車の材料
3 プラスチック歯車の損傷
4 プラスチック歯車の騒音
5 プラスチック歯車の強度

第27章 軸受 
1 はじめに
2 代表的な樹脂すべり軸受材料
3 樹脂すべり軸受の種類と使用上の注意点
4 金属との複合化による樹脂すべり軸受の機能向上
4.1 特殊UHMWPEと焼結金属との複合化
4.2 PEEKと焼結金属との複合化
5 用途展開
5.1 自動車変速機用シールリング
5.2 樹脂すべりねじ
5.3 樹脂転がり軸受

第28章 タイヤ 
1 はじめに
2 タイヤの摩耗
3 タイヤ摩耗力学の解析的モデル
4 タイヤ摩耗の評価法
4.1 タイヤ摩耗の評価法の種類と手順
4.2 摩耗エネルギ試験機
4.3 ドラム摩耗試験機
4.4 有限要素法(FEM:Finite Element Method)による摩耗予測法
4.5 ゴムの摩耗特性の評価
5 おわりに

第29章 高分子材料のシールへの応用 
1 シールの機能
2 シール面の考え方
2.1 シール面の形状特性
2.2 作動シール面と非作動シール面
3 シール用材料に求められる材料特性
4 シールに用いられる材料
4.1 シールの種類とシール用材料
4.2 合成ゴム材料
4.3 熱可塑性エラストマーTEP
4.4 シール材としてのプラスチックス

第30章 自動車用しゅう動部品 
1 自動車用しゅう動部品における材料技術
2 表面処理
2.1 固体潤滑被膜
2.2 炭素系被膜
3 しゅう動材料
3.1 樹脂・ゴム
3.2 植物由来材料及びリサイクル材料
3.3 高強度・高耐熱材料
4 潤滑剤
4.1 潤滑油
4.2 グリース

第31章 OA機器用高分子系しゅう動部材およびしゅう動部品 
1 はじめに
2 OA機器用高分子系しゅう動部品
2.1 軸受用途
2.1.1 常温軸受(使用温度域:80℃未満)
2.1.2 耐熱軸受(使用温度域:80℃~250℃)
2.2 歯車用途
2.2.1 常温歯車(使用温度域:80℃未満)
2.2.2 耐熱歯車(使用温度域:80℃~250℃)
3 おわりに

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