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月刊ファインケミカル 2025年5月号

【特集】農薬の動向と研究開発2025

★農薬は、農産物の収穫量や品質を維持していく上で必要不可欠であるものの、数年も経つと、突然変異による耐性菌の出現が懸念される。継続的に病害防除ができるよう、また食糧生産を持続可能なものとするためにも、新規な農薬を探索・合成することは非常に重要である。本特集では,農薬の動向と研究開発について取り上げる。

商品コード:
F2505
発行日:
2025年5月15日
体裁:
B5判
ISSNコード:
0913-6150
価格(税込):
7,700
ポイント: 70 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル
刊行予定
雑誌・定期刊行物
雑誌・定期刊行物 > 月刊ファインケミカル
ファインケミカル > 農薬

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キーワード:

農薬 / フロー合成 / いもち病 / ヘテロ環 / ダニ防除剤 / 殺菌剤 / 殺バクテリア剤 / 殺線虫剤 / 除草剤 / ビフェメトストロビン / フルキノメトエート / スルホキサミル / イソキサフェナシル / トリアジン

著者一覧

石谷暖郎 東京大学
小林 修 東京大学
三谷 晃 日本曹達㈱
清田洋正 岡山大学
小山一秋 アグロカネショウ㈱
寺島健仁 東京農業大学
岡田 至 東京農業大学
冨澤元博 東京農業大学
上田祐生 (国研)日本原子力研究開発機構
ミショシリル (国研)日本原子力研究開発機構
元川竜平 (国研)日本原子力研究開発機構
板谷(牧岡)祐子 コンビ㈱
永岡謙太郎 東京農工大学
梅澤大樹 北海道大学

目次 +   クリックで目次を表示

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【特集】農薬の動向と研究開発2025

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農薬の連続合成と連続微粒子化技術の創出による高機能化
Toward High-Performance Agrochemicals: Continuous Synthesis and Continuous Micronization Technology Development 

 農薬は食料の安定かつ効率的な生産に欠くことのできない農業資材であるが,使用量の削減は,食の安全や環境保全の観点から重要である。使用リスクの50%削減は,新たな生産・製剤技術の創出による高機能化農薬の実装によって達成されると考えられる。本稿では,柔軟かつ効率的な化成品製造法である,連続フロー法の農薬製造への応用に関し,筆者らの取り組みを紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 置換ピラゾール誘導体の連続合成
3 ピラゾール系農薬の連続合成を指向したフロー水素化反応
4 メタラキシルの連結・連続フロー合成
5 (S)-メトラクロール前駆体の連続フロー不斉合成
6 農薬原体の微粒子化による高機能化
7 まとめ

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フロー合成技術による農薬開発・製造のスマート化(日本曹達における取り組み)
Smart Development and Manufacturing of Agrochemicals through Flow Synthesis Technology (Initiatives at Nippon Soda)   

 近年,フロー合成技術はその高いエネルギー効率とコンパクトな設備特性により,世界の製薬・化学産業界で革新的な製造手法として脚光を浴びています。農薬製造においてもフロー合成を応用することで,多くのメリットが望めることから,日本曹達においてもここ数年技術強化に取り組んでいます。本稿では,その一端を紹介させていただきます。

【目次】
1 日本曹達でのフロー製造(連続生産)
2 日本曹達のフロー合成技術戦略
3 創薬への応用
4 まとめ

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いもち病菌毒素の合成化学的研究
Synthetic Studies of Phytotoxins of Rice Blast Fungus

植物病害の防除には,病原菌毒素の天然物化学研究が欠かせない。イネに深刻な被害をもたらすいもち病の原因菌(Pyricularia oryzae)は,一連のサリチルアルデヒド/アルコール型化合物を毒素として生産する。これらの立体構造や生合成経路を,有機合成化学を中心に明らかにしてきた成果を紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 合成研究
2.1 杉山らのピリキュロール(Pyriculol)類の全合成
2.2 ピリキュオール(Pyriculol)
2.3 ピリキュラリオール(Pyriculariol)
2.4 生合成中間体
3 おわりに

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新規ヘテロ環農薬活性化合物に関する研究
Synthesis and Structur Activity Rerationships of Novel Heterocycilic Compounds

我々はこれまでに,農薬活性を有する新規なヘテロ環化合物の探索合成究を行ってきた。その研究過程において,強い殺ダニ活性を示すN-アリールピラゾール誘導体(特開2012-056871)およびN-アリールピぺリジン誘導体(WO 2018/186440)を見出した。いずれの誘導体もこれまでに報告がなく,化学構造的にも農薬活性的にも非常に興味深い化合物群であった。本稿では2化合物群の発見の経緯や合成法,構造活性相関について報告する。

【目次】
1 はじめに
2 N-アリールピラゾール誘導体
2.1 研究の経緯
2.2 最適化検討
2.3 合成法
3 N-アリールピぺリジン誘導体
3.1 研究の経緯
3.2 合成ルート
3.3 硫黄原子上の置換基検討
3.4 ピぺリジン環上の置換基検討
3.5 ベンゼン環上4-位の置換基検討
3.6 急性毒性試験(経口投与)
3.7 合成法
3.8 殺ダニ活性試験結果と急性毒性試験(経口投与)の結果
4 終わりに

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[シリーズ]世界の新農薬
1 殺菌剤 bifemetstrobin(ビフェメトストロビン)
2 殺バクテリア剤 fluquinometoate(フルキノメトエート)
3 殺線虫剤 sulfoxamyl(スルホキサミル)
4 除草剤 isoxafenacil(イソキサフェナシル)

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[連載]トリアジン系機能性化学品(染料,農薬,医薬品,紫外線吸収剤など)

第1回:トリアジン化学発展の歴史
History of the Development of Triazine Chemistry

 染料,農薬,医薬品,紫外線吸収剤などの中にはトリアジン環を有する化合物がある。それらの原料であるトリアジン系中間体の工業的製法および用途について述べる。天然物についてはトリアジン化学発展の歴史2.2で概説する。13 補足として窒素原子4個以上を有するテトラジン,ヘキサジン,ペンタジンについて簡潔に述べる

【目次】
1 はじめに
2 トリアジン化学発展の歴史
2.1 人名反応
2.2 天然物
2.3 塩化シアヌルの合成から機能性化学品の創製
2.4 塩化シアヌル以外の1,3,5および1,2,4-トリアジン誘導体の製法
2.5 スルホニル尿素系除草剤の発見
2.6 O-ヒドロキシフェニル-1,3,5-トリアジンの合成から紫外線吸収剤の創製

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[研究開発情報]

フルオラス溶媒による新たな金属抽出法
A New Metal Extraction Method Using Fluorous Solvents

持続可能な社会を実現するためには金属資源のリサイクルが重要である。高濃度の金属イオンを取り扱う抽出操作では,プロセスの安全な運転を阻害する油相の相分離(第三相の生成)が長年の課題であった。本稿では,フルオラス化合物の強力な疎水性を利用した,第三相を生成させない新たな抽出系開発におけるこれまでの成果をまとめた。

1 はじめに
2 ジルコニウム抽出能力の比較
3 抽出錯体の局所配位構造の比較
4 抽出相における凝集・会合挙動の比較
5 おわりに

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[研究開発情報]

学業ストレスが引き起こす消化器症状を加熱殺菌Enterococcus faecalis EC-12株が緩和する
Heat-killed Enterococcus faecalis strain EC-12 Alleviates Gastrointestinal Symptoms Caused by Academic Stress

近年,腸内環境が全身の健康に多大な影響を及ぼすことが明らかになり,「腸内細菌-腸-脳軸」に注目が集まっている。本研究は,腸内環境の改善を介して全身のストレス症状を緩和することを目的とし,学業ストレス下にある学生を対象に,パラプロバイオティクスであるEnterococcus faecalis EC-12株の効果を検証した。その結果,EC-12は学業ストレスに伴う消化器症状,とりわけ腹痛および腹鳴の改善に寄与し,その効果には腸内代謝物の一つであるトリプタミンが関わっている可能性が示唆された(図1)。

1 はじめに
2 学業ストレスに伴う心身症状に対するEC-12の効果
2.1 試験設計
2.2 EC-12摂取による消化器症状の改善効果
2.3 EC-12摂取と腸内トリプタミンの増加
2.4 腸内トリプタミンと消化器症状の関係性
3 おわりに

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[研究開発情報]

海洋生物の機能を模倣した環境にやさしい船底防汚物質の開発研究
Study on Development of Antifouling Compounds Inspired by Defense System of Marine Organims

フジツボなどの付着生物による経済的な損失は甚大である。主な例として,船底への付着が挙げられる。船底へフジツボなどが付着することで,燃費が最大で40%悪化することが報告されており,経済的な負担だけでなく二酸化炭素の排出増加の一因ともなっている。現在,付着を防止するため,バイオサイドと呼ばれる毒性の高い化合物が用いられており,環境への悪影響が各所から指摘されている。そのため,環境にやさしい付着阻害化合物の開発が求められている。本稿では,海洋生物の機能を模倣した化合物開発に対する筆者らの研究について紹介する。

1 はじめに
2 付着阻害天然有機化合物
3 10-イソシアノ-4-カジネンに着想を得た付着阻害化合物の合成
4 ドラスタチン16に着想を得た付着阻害化合物の合成
5 おわりに

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[ケミカルプロフィル]

o-アミノフェノール(o-Aminophenol)
塩化銅(Ⅰ)(Copper(Ⅰ)chloride)
p-クロロスチレン(p-Chlorostyrene)

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[ニュースダイジェスト]

・海外編
・国内編