著者一覧
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特集にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
半田 宏*1 阿部正紀 *2
*1 Hiroshi Handa 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 教授
*1 Masanori Abe 東京工業大学 大学院理工学研究科 電子物理工学専攻 教授
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<基礎編>
医用磁性ナノビーズの新規作製技術・・・・・・・・・・・・7
Novel Techniques for Fabricating Magnetic Nanobeads
阿部正紀 *1 半田 宏 *2
*1 Masanori Abe 東京工業大学 大学院理工学研究科 電子物理工学専攻 教授
*2 Hiroshi Handa 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 教授
4℃もの低温かつ中性近傍(pH=7~9)の反応液中でフェライト(Fe3O4とδFe2O3の固溶体)
ナノ微粒子を合成する方法を開発した。タンパク質や各種の生理活性物質を反応溶液中に含有
させておくことによって,これらをフェライト粒子の合成中にその表面に化学結合によって強
固に固定することができる。この技術を応用してフェライトナノ微粒子をポリマー分子で強固
に被覆したり,抗体や薬剤などの生理活性物質をその活性を損なわずに強く固定する方法論を
確立し,高速バイオスクリーニングやその他の新しい応用をめざしている。
~目次~
1.はじめに
2.新しいフェライト微粒子合成反応
3.新しい医用磁性ナノビーズ作製法
3.1 フェライトと有機分子の結合
3.2 コネクター固定磁性ナノビーズ
4.新しい磁性ビーズの応用展開
5.おわりに
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磁性体含有高分子粒子の作製・・・・・・・・・・・・・・・・・14
Preparation of Magnetite- containing Polymer Particles
川口春馬
Haruma Kawaguchi 慶應義塾大学 理工学部 教授
数十ナノメートルからマイクロメートルオーダーまでの磁性体含有高分子微粒子の作製法を6つ
のパターンに分類して解説する。良好な目的物を得るためには,磁性体と高分子の間に適度の親和
力が必要である。いくつかの磁性体含有高分子粒子作製法のうち, 磁性体をモノマーナノドロッ
プレットに閉じ込めて重合するミニエマルション重合は,機構が合理的でシンプルであり極めて有
用な方法である。
~目次~
1.はじめに
2.磁性体微粒子と高分子粒子とのハイブリッド化(ルート6)
3.鉄イオン/高分子溶液,あるいは磁性体微粒子/高分子溶液中からの複合粒子の合成
(ルート2とルート5)
4.鉄イオン/高分子微粒子から出発する複合粒子合成(ルート3)
5.磁性体微粒子分散系で重合しての複合粒子生成(ルート4)
5.1 磁性体微粒子存在下での乳化重合
5.2 磁性体微粒子とモノマーを接近させてからの重合
5.3 磁性体粒子をコアとするグラフト重合
5.4 磁性体周辺にモノマーを集積させての重合
5.5 ミニエマルション重合
6.おわりに
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機能性磁性ナノビーズの構築とバイオテクノロジーへの応用・・・・・21
Construction of a High Functional Magnetic Nanobeads and its Application to Biotechnology
郷右近展之 *1 西尾広介 *2 半田 宏*3
*1 Nobuyuki Gokon 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 助手
*2 Kosuke Nishio 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 大学院生
*3 Hiroshi Handa 東京工業大学 大学院生命理工学 研究科 教授
これまで薬剤・化学物質のレセプターを単離・同定するアフィニティビーズの開発を行い,その
応用展開について報告してきた。このビーズは薬剤開発に貢献するのみではなく,磁気応答性を付
与することによりさらなる発展の可能性を秘めている。そこで従来手作業で行っていたスクリーニ
ング行程を高効率で自動化ロボットによるスクリーニングを実現するのに必要な機能性磁性ビーズ
の開発を行った。本稿では,まず,筆者らが取り組んできた基盤技術であるアフィニティビーズの
開発について述べた後,現在進めている機能性を付与した磁性ナノビーズの構築について解説し,
その後のバイオテクノロジーへの応用展開について概説する。
~目次~
1.はじめに
2.アフィニティ精製システムの特徴と磁性付与技術の開発
3.磁気力によるアフィニティ精製の自動化を指向した磁性ナノビーズの開発
4.おわりに
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<応用編>
熱応答性磁性ナノ粒子の開発とポストゲノムシーケンスへの応用・・・31
Development of Thermo-responsive Magnetic Nano Particles
大西徳幸 *1 近藤昭彦 *2
*1 Noriyuki Ohnishi チッソ石油化学(株) 研究第二センター22G 主任研究員
*2 Akihiko Kondo 神戸大学 工学部 教授
現在,免疫測定,A精製,細胞分離のような各種診断,アッセイの分野では,粒径が数μm の磁性
微粒子が頻繁に利用されている。診断薬等の感度を上げたのは粒径を小さくすれば良いが,磁性微
粒子の粒径が数百nm以下になると磁性微粒子自体の磁性が弱まり,磁石による分離が極めて困難と
なる。このジレンマを解決するために,粒径が数十nmの磁性ナノ微粒子の表層に熱応答性高分子を
固定化した熱応答性磁性ナノ粒子(Ther-ma Max) の開発を行った。開発された熱応答性磁性ナノ
微粒子は水溶液中で自然に沈降することなく,磁性による収集ができないほど完全に分散するが,
水溶液の温度を変化することにより,性ナノ微粒子は急速に凝集し,磁石による分離を可能にした。
今回開発した「Therma Max」は,ポストゲノムシーケンスとして必要となる遺伝子解析・タンパク
質解析に,また抗原抗体診断や環境ホルモン検査を高感度かつ短時間で可能とする分離機能材料と
して幅広く応用が期待される。
~目次~
1.はじめに
2.磁性微粒子
2.1 従来の磁性微粒子
2.2 熱応答性磁性ナノ粒子
3.熱応答性高分子
4.Therma-Max
5.Therma-maxのバイオ領域への応用
5.1 遺伝子工学への応用
5.2 細胞分離・アッセイへの応用
5.3 医療分野への応用
6.おわりに
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磁性微粒子を用いた診断技術開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
-PCR 法による献血血液のスクリーニング検査-
Molecular Diagnosis with Magnetic Micro Particles
玉造 滋
Shigeru Tamatsukuri ロシュ・ダイアグノスティックス(株)
MD 事業部( 遺伝子診断製品) 遺伝子診断開発部 部長
1999年10月,日本赤十字社における献血血液のスクリーニング検査にNAT(核酸増幅検査)が導
入された。抗原・抗体検査に加え,ウイルスのゲノム核酸を検出することでウインドウ期を最小限
に縮めうるようになった。筆者らは,世界で初めて3種類のウイルスの自動NAT 検査を実現したが,
検体からのウイルス核酸抽出には磁性粒子を使った方法が実用化された。
~目次~
1.はじめに
2.NATのルチン化のために
3.磁性ビーズによる核酸抽出・精製
4.リアルタイムタックマンPCR
5.内部基準,IC
6.Multiplex検出
7.実際のNAT検査の成績
8.磁性ビーズを選択するに当たって
9.おわりに
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磁性微粒子を用いた治療技術開発・・・・・・・・・・・・・・・・・48
Development of medical Technology Using Magnetic Particles.
井藤 彰 *1 本多裕之 *2 小林 猛 *3
*1 Akira Ito 名古屋大学 大学院 工学研究科 生物機能工学専攻 助手
*2 Hiroyuki Honda 名古屋大学 大学院 工学研究科 生物機能工学専攻 助教授
*3 Takeshi Kobayashi 名古屋大学 大学院 工学研究科 生物機能工学専攻 教授
酸化鉄の磁性微粒子であるマグネタイトは,磁気共鳴イメージングの造影剤として利用でき,高
周波磁場中で発熱することからがんの温熱療法にも応用できる。本温熱療法は腫瘍免疫を誘導する
ことから,転移がんまでも治療可能な強力ながん治療であることが分かってきた。本稿では,筆者
らが行っているマグネタイトを用いたがんの温熱療法 "Heat Im-motherapy" の開発について紹介
する。
~目次~
1.はじめに
2.マグネタイトのがん組織へのターゲティング
3.マグネタイトを用いたがんの診断
4.マグネタイトを用いたがんの温熱療法
5.Heat Immunotherapyの開発
6.おわりに
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磁性微粒子を用いたMRI 診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
Magnetonanoparticles-enhanced MR imaging
谷本伸弘
Akihiro Tanimoto 慶應義塾大学 医学部 放射線診断科 専任講師
磁性微粒子は,磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)での肝特異性造影剤として臨床
使用されている。微粒子は肝網内系に貪食されて肝の信号強度を低下させることで肝腫瘍との信号
コントラストを増強し,診断に寄与する。この他,リンパ節造影剤としての応用や,分子映像法や
再生医療のモニタリングにも応用が期待されている。
~目次~
1.はじめに
2.超磁性酸化鉄SPIO(super-paramagnetic iron oxide)の現状
2.1 肝特異性造影剤としての応用
2.2 リンパ節造影剤としての応用
2.3 血液プール造影剤としての応用
2.4 動脈壁Plaque imaging への応用
2.5 Molecular imaging
2.6 再生医療への応用
3.今後の展望
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BIO R&D
淡水プランクトンの多糖を用いるフィルムの成形技術・・・・・64
Development of a Biodegradable Film Using Paramylon Prepared from Euglena Gracilis
河原 豊
Yutaka Kawahara 京都工芸繊維大学 工芸科学研究科 先端ファイブロ科学専攻 助教授
ユーグレナ(ミドリムシ)の体内で合成される糖(パラミロン)から生分解性のフィルムを湿式法
で成形し物性を調べた。ギ酸はパラミロン溶液の調製に最適であった。平滑なフィルムを得るために
は風乾脱溶媒法で固化させることが望ましい。キャストフィルムの力学特性は水蒸気処理(135℃,
2時間)によって高められ,引張強度49.9MPa,弾性率1.99GPaを示した。
~目次~
1.はじめに
2.実験
(1)材料
(2)パラミロンの分離
(3)パラミロン溶液の調製
(4)フィルムの作製
(5)熱処理
(6)形態観察
(7)引張試験
(8)広角X線回析測定
(9)粘度測定
3.パラミロンの分離
4.パラミロンフィルム
5.パラミロン/PVAブレンドフィルム
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カフェイン代謝工学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
-生合成経路の再構成と抑制-
Caffeine Metabolic Engineering : Reconstitution and Suppression of
Biosynthetic Pathway
上藤洋敬 *1 佐野 浩 *2
*1 Hirotaka Uefuji バイオテクノロジー開発技術研究組合 技術部 研究員
*2 Hiroshi Sano 奈良先端科学技術大学院大学 遺伝子教育研究センター
植物細胞工学部門 教 授
工業原料としての植物の利便性を高めるためには,遺伝子組換え技術を用いた形質改変が有効で
ある。本稿では,私たちが取り組んできたカフェイン代謝工学の実施例を挙げて,多重遺伝子導入
による有用代謝経路の再構成,およびRNAiによる不用代謝経路の抑制について,その有用性,問題
点,展望を述べる。
~目次~
1.はじめに
2.カフェイン生合成関連遺伝子群の単離
3.カフェイン生合成経路の再編成
4.カフェイン生合成経路の抑制
5.おわりに
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連載:宇宙環境を利用したバイオ技術(第3回)
-身近にできる宇宙実験-
航空機による微小重力実験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
Handy “Space Experiment”:Micro-gravity Experiment Aboard Aircraft
景山大郎
Dairo Kageyama ダイヤモンドエアサービス(株) 運航部 次長
宇宙に行かなくても地上で身近にできる無重力実験の方法として航空機による微小重力実験という
手段がある。航空機で放物線を描くように飛行することによって機内が微小重力環境になり,これを
利用して各種実験を行うものである。我が国の航空機による微小重力実験は平成2年から現在までに
1万1,0回の放物線飛行が行われており,実験内容も幅広い分野で438テーマと豊富な実績がある。
航空機実験では実験者が搭乗し,実験をその場で観察,操作できること,0Gの他にも任意のG環境を
作れること等多くの特長を有している。
~目次~
1.はじめに
2.航空機
3.パラボリックフライト
4.飛行の概要
4.1 飛行場所
4.2 飛行スケジュール
5.実験環境
5.1 実験スペース
5.2 実験装置の搭載
5.3 供給電力
5.4 実験支援システム
5.5 機内環境
5.6 フリースペース仕様
6.搭乗者
7.日本の航空機微少重力実験の実績
8.実験例
9.実験の申し込み方法
10.おわりに
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