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次世代自動車のための熱設計・評価手法と放熱・実装技術 

Thermal Management and Electronics Packaging Technology for the Next-generation Vehicles

★電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、自動運転車など次世代自動車開発に求められる電子制御技術を俯瞰した一冊!
★世界各国の燃費規制および自動運転社会の構築に向けて次世代自動車市場の普及期が到来!
★次世代自動車普及の鍵を握る「エネルギー効率向上」、「センシング技術」に必要な、電子部品の小型・高性能化に伴う高放熱実現のための設計・実装技術!

商品コード:
T0953
監修:
神谷有弘
発行日:
2014年10月31日
体裁:
B5判・220頁
ISBNコード:
978-4-7813-1004-6
価格(税込):
68,200
ポイント: 620 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
エレクトロニクス > 半導体・電子材料
エレクトロニクス > 自動車

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キーワード:

電気自動車/ハイブリッド自動車/プラグインハイブリッド自動車/自動運転車/熱挙動/熱設計/放熱/実装/熱特性評価/信頼性解析/ガソリンエンジン制御/アイドルストップ制御/空調制御/車載機器/ECU/回路基板/二次電池/パワー半導体

刊行にあたって

 日本のものづくりのあり方の見直しが必要と言われはじめて久しい。日本は超高齢化社会に進んでいるという認識は現実のものとなり、より日常生活に密着した分野での確実な成長をさせるべきとの方向性が見えてきた。すなわち、「メディカル」、「モビリティ」そして「エネルギー」の各分野である。
 「メディカル」はもちろん今後の高齢者の増加に対応するため、治療型医療から予防型医療、また見方を変えると高度医療と地域密着型医療のベストミックスと救急医療の確立が求められている。そのために、定常的な各個人のモニタリングシステムの構築(見守り医療のひとつ)が、キーになるといわれる。この体調のモニタリングは、最後に述べる「モビリティ」分野にも少なからず関連する。次に「エネルギー」は、当然日常生活に欠かすことのできないエネルギーをどのように確保するかである。原子力発電に対する多角的な見解がなされるようになり、資源の乏しい日本ではこれまで以上にエネルギーの効率的利用と、エネルギーを政治手段に使われないための、たとえば再生可能エネルギーを中心とした自給手段技術の開発も早急に開発すべきとの認識が高まっている。エネルギーの効率的利用は、いろいろなレベルでの議論が必要だが、自動車分野でも国内での車両販売の傾向を見れば、いっそうはっきりしている。すなわち、乗用車と軽自動車をふくめて販売台数上位10車種には、HEV 2車種、HEVモデルを含む車両1車種、軽自動車6車種、ガソリン車1車種である。車両ユーザが以下に燃費(エネルギー効率)を気にしているかがはっきりしている。最後に「モビリティ」であるが、高齢化社会に向かっては、公共交通機関の重要性が強調されるが、本当に個人生活を自由に楽しむという意味では、個人が自由に移動できる手段としての自動車も重要である。
 本書では、次世代自動車をテーマとして取り上げる。ここでは、環境対応面で注目された電動車両とともに、2020年にも実用化されると期待されている自動運転につながる技術分野も含めて整理している。安全分野の技術革新は、ここに来て日進月歩の感がある。ステレオカメラを使った自動ブレーキシステム搭載車両が注目されてから、2013年には軽自動車にも自動ブレーキシステムが搭載されるようになった。最近では、自動車も医療分野の視点も取り込む必要にも迫られている。それは、運転者の突然の体調不良による事故の発生である。運転者の体調のモニタリングも重要な課題になりつつある。そういう面からも、「メディカル」分野と連携し、ウェアラブル機器とつながるクルマの協働システムも望まれるところである。また、国の推進事業としては、第5期ASV(Advanced Safety Vehicle)推進計画が2011年からスタートしており、先進安全の取り組みも飛躍的高度化はかり、次世代の通信利用型運転支援システムの開発促進を図ることを目的に掲げている。自動運転の実現は、安全性向上だけでなく、効率的な交通流制御の面から捉えれば、渋滞の解消にもつながりひいてはエネルギーの無駄づかいを減らすことで、エネルギー問題、環境対応(CO2排出量削減)などにも効果がある。また、今後効率的な快適空間の実現のための空調制御もますます重要になってくる。その面からも、今後の次世代自動車は、エネルギー効率向上と自動運転をキーワードとした技術で捉える必要がある。
 そのため、次世代自動車に求められる制御技術を俯瞰し、その制御技術のために必要な電子装備のハードウェアの構成の概略を解説をしている。その上で、次世代自動車に求められる燃費向上、センシング技術を支える電子製品の小型化、高放熱実現のための設計技術についても解説したつもりである。それら、電子製品を支える材料の設計手法、評価技術についても解説し、まだ研究段階の内容についても触れている。本書が将来の理想的なモビリティ社会実現に向けた技術開発の一助となれば幸いである。

2014年 10月吉日
(株)デンソー
神谷有弘

著者一覧

神谷有弘   (株)デンソー
冨田栄二   岡山大学
田中淳弥   工学院大学
菅沼直樹   金沢大学
原潤一郎   カルソニックカンセイ(株)
門田健次   電気化学工業(株)
堀江英明   東京大学
田中秀憲   京セラ(株)
上之園竜一   京セラ(株)
橋本信行   古河電気工業(株)
菅沼克昭   大阪大学
上利泰幸   (地独)大阪市立工業研究所
吉原秀輔   (株)カネカ
山田邦弘   信越化学工業(株)
山本真義   島根大学
畠山友行   富山県立大学
徐一斌   (独)物質・材料研究機構
中村隆治   沖エンジニアリング(株)

目次 +   クリックで目次を表示

第1章 次世代自動車の電子制御技術と動向
1 環境保全を目指した高精度化するパワトレイン系制御技術

1.1 ガソリンエンジンンの燃焼と制御  (冨田栄二)
1.1.1 はじめに
1.1.2 ガス流動制御
1.1.3 空燃比および酸素量の制御
1.1.4 混合比分布の制御
1.1.5 点火の制御
1.1.6 燃焼の制御
1.1.7 排気ガスの制御
1.1.8 おわりに

1.2 アイドルストップ制御(ISSとエネルギーマネジメント)  (田中淳弥)
1.2.1 緒論
1.2.2 アイドリングストップによる燃料消費量抑制のメカニズム
1.2.3 実車両による実験的な検討例

2 自律走行自動車のための周辺環境センシング  (菅沼直樹)
2.1 諸言
2.2 実験装置概要
2.3 Occupancy Grid Mapsを用いた周辺環境認識
2.3.1 OGMに基づく静止障害物検出
2.3.2 OGMに対する移動物体の影響の低減化
2.3.3 Binary Bayes Filterを用いた移動物体の検出と追跡
2.4 結言

3 快適性向上のための空調制御技術  (原潤一郎)
3.1 はじめに
3.2 空調快適性とは
3.2.1 衣服内気候
3.2.2 皮膚温と温冷感申告
3.2.3 体温調節系
3.3 自動車の車室内に特有の課題とは
3.3.1 人体部位ごとの快適気温
3.3.2 異なる上下気温
3.3.3 快適な上下気温
3.4 カーエアコン(自動車用空調装置)による空調快適性
3.4.1 空調装置
3.4.2 空調制御
3.4.3 高度な快適性制御
3.4.4 新しいセンサ
3.4.5 より燃費改善につながる制御
3.5 今後への展望

第2章 各種電子製品の構成と放熱・実装技術

1 HEV/PHEVとモータ設計,インバータ実装技術とそれぞれの放熱設計技術  (門田健次)
1.1 はじめに
1.2 HEV/PHEVに用いられるモータとインバータ
1.3 モータの放熱設計
1.4 インバータの放熱設計
1.5 おわりに

2 二次電池の構成と熱挙動解析/熱システム設計手法  (堀江英明)
2.1 先進型環境車両を支える高性能二次電池
2.2 二次電池の発熱挙動
2.2.1 反応熱
2.2.2 ジュール熱
2.3 環境車両用電池における熱解析手法/熱デザイン

3 車載電子制御システムの構成  (神谷有弘)
3.1 はじめに
3.2 フィードバック制御とフィードフォワード制御
3.3 エンジン制御システム事例
3.4 一般的なECUの構成
3.5 電源回路
3.6 入力処理回路
3.7 ECUの構成部品

4 車載電子製品に求められる要件  (神谷有弘)
4.1 はじめに
4.2 信頼性
4.3 小型・軽量化

5 ECU系電子製品  (神谷有弘)
5.1 はじめに
5.2 放熱技術
5.2.1 基板の放熱性向上
5.2.2 高耐熱・高放熱デバイスパッケージ
5.2.3 デバイスパッケージの放熱実装構造
5.3 小型実装技術
5.3.1 樹脂回路基板の実装技術
5.3.2 セラミック回路基板の実装技術
5.4 樹脂封止技術
5.5 この節のまとめ

第3章 車載電子製品を支える部品, 材料, 実装・放熱技術

1 高温焼成基板  (田中秀憲、上之園竜一)
1.1 はじめに
1.2 セラミック多層基板の構造
1.3 セラミックス多層基板の材料物性
1.4 新高温焼成セラミック多層基板材料AO630
1.5 まとめ

2 ヒートパイプとその活用  (橋本信行)
2.1 はじめに
2.2 ヒートパイプの構造・作動原理・特徴
2.2.1 ヒートパイプの構造・作動原理・特徴
2.3 ヒートパイプの発展経過と活用事例
2.4 自動車への活用事例および応用事例
2.4.1 ジャンクションボックスの冷却
2.4.2 バックライトの冷却
2.4.3 ヘッドライト(前照灯)の冷却
2.4.4 バッテリー温度マネジメントシステム
2.4.5 インバータ素子冷却
2.5 ヒートパイプ使用にあたっての注意点
2.5.1 寒冷地での使用
2.5.2 廃棄時

3 車載機器実装の接続信頼性向上  (菅沼克昭)
3.1 はじめに
3.2 鉛フリーはんだ付けと信頼性
3.2.1 ウィスカ
3.2.2 エレクトロマイグレーション
3.3 高温鉛フリーはんだの開発
3.3.1 はんだ付け
3.3.2 焼結接合
3.3.3 望まれる実装の低温化と導電性接着剤
3.4 まとめ

4 放熱を支える材料  (上利泰幸)
4.1 はじめに
4.2 高分子材料の複合化による熱伝導率の向上
4.3 放熱性コーティング材の高機能化
4.4 応用分野と将来展望

5 高熱伝導性樹脂の開発と応用展開  (吉原秀輔)
5.1 はじめに
5.2 樹脂材料の高熱伝導化へのアプローチ
5.3 HPシリーズ
5.4 ベース樹脂の高熱伝導化の研究背景
5.4.1 Bruggemanの理論
5.4.2 樹脂の熱伝導率
5.4.3 樹脂自体の高熱伝導化の研究例
5.5 ベース樹脂の高熱伝導化とその熱伝導率発現機構
5.5.1 開発した液晶ポリエステルの特徴
5.5.2 樹脂/MgO複合材料の熱伝導率
5.5.3 樹脂/MgO複合材料の高熱伝導率発現機構
5.6 想定される応用展開
5.7 おわりに

6 シリコーン系放熱材料  (山田邦弘)
6.1 はじめに
6.2 シリコーンの性質
6.3 シリコーン放熱材料の組成
6.4 シリコーン放熱材料の種類・用途
6.5 車載用各種放熱材料の特徴
6.6 おわりに

第4章 半導体デバイスの実装技術と熱評価技術

1 新材料パワー半導体における車載用パワーモジュール実装技術  (山本真義)
1.1 はじめに
1.2 インバータにおける誤オンの問題点
1.2.1 ハイブリッドカーの電気系システム
1.2.2 インバータにおける誤オンのメカニズム
1.2.3 Si IGBTとSiC MOS-FETによる三相インバータの効率比較
1.3 汎用シミュレータによる誤オンのモデル化
1.3.1 ゲート・ソース間電圧観測モデルの構築方法
1.3.2 ゲート・ソース間電圧観測モデル
1.3.3 ゲート・ソース間電圧観測モデルと実機整合性の確認
1.3.4 真のゲート・ソース間電圧の観測
1.4 誤オン抑制可能なパワー半導体モジュール設計
1.4.1 ドレイン側インダクタンスの調整による誤オン抑制手法
1.4.2 ソース側インダクタンスの調整による誤オン抑制手法
1.5 まとめ

2 半導体デバイスの発熱予測とその対策  (畠山友行)
2.1 はじめに
2.2 解析手法
2.2.1 ドリフト・ディフュージョン(DD)モデル
2.2.2 流体力学(HD)モデル
2.2.3 モンテカルロ(MC)シミュレーション
2.3 解析結果の一例
2.4 まとめ

第5章 放熱を中心とした材料の熱設計  (徐一斌)
1 はじめに
2 複合材料熱伝導率のシミュレーション
2.1 複合材料熱伝導率の理論的考察
2.2 解析解による熱伝導率の計算
2.3 有限要素法シミュレーション
2.4 複合材料熱物性予測システム
3 界面熱抵抗の予測と測定
3.1 複合材料における界面熱抵抗の影響
3.2 界面熱抵抗に関するフォノン理論
3.3 界面熱抵抗の測定
3.4 界面熱抵抗の組織依存性
4 まとめ

第6章 電子部品の熱特性評価およびその信頼性解析への応用  (中村隆治)
1 はじめに
2 熱抵抗測定方法
2.1 熱電対を使用する方法
2.2 ダイオードのVFを利用する方法
2.3 熱過渡解析による測定法
2.4 熱抵抗測定と解析
3 サーモグラフィによる温度特性評価
3.1 サーモグラフィについて
3.2 赤外線温度測定を用いた実装基板の劣化診断
3.3 ロックイン赤外線発熱解析法(LIT)
3.3.1 原理
3.3.2 特徴
3.4 LITを用いた故障解析事例
4 おわりに