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月刊ファインケミカル 2018年4月号

【特集】次世代がん検査技術への新しいアプローチ

商品コード:
F1804
発行日:
2018年4月15日
体裁:
B5判
ISBNコード:
0913-6150
価格(税込):
7,700
ポイント: 70 Pt
関連カテゴリ:
雑誌・定期刊行物 > 月刊ファインケミカル

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著者一覧

山口昌樹 信州大学
小泉知展 信州大学
杉本昌弘 東京医科大学
西尾和人 近畿大学
川上恭司郎 東京都健康長寿医療センター研究所
藤田泰典 東京都健康長寿医療センター研究所
伊藤雅史 東京都健康長寿医療センター研究所
米山敏広 東北大学
大槻純男 熊本大学
市村國宏 創案ラボ

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【特集】次世代がん検査技術への新しいアプローチ

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特集にあたって
Introduction

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個別化医療が進むがん医療―非小細胞肺がんを中心に―
Advance of Personalized Medicine in Non-Small Cell Lung Cancer

 がんは遺伝子に生じた「異常」(構造変異や過剰発現など)が原因で発生する。この20年来の分子生物学的研究により, 発がん性との因果関係が明らかになった遺伝子や分子の異常を標的とし, その機能を制御する薬剤(主に分子標的治療薬)が次々と開発されてきた。これにより今まで殺細胞性抗がん剤ががん薬物療法の中心を担ってきたが, 標的とする遺伝子変異増幅や遺伝子転座・融合の有無を事前に患者さんのがん細胞から調べ, 期待される治療効果や重い副作用が現れる可能性を事前に予測し, その予測をもとに治療法を選択する個別化治療の動きが広がってきている。本稿では, その代表的な遺伝子変異や転座を紹介し, その薬剤の効果と有効性の指標となるバイオマーカーについて, 非小細胞肺がんを中心に概説する。

【目次】
1. 非小細胞肺がんに対する治療法を考慮したサブグループ化
2. 非小細胞肺がんにおけるdriver遺伝子
3. LC-SCRUM Japan(Lung Cancer Genome Screening Project for Individualized Medicine in Japan)
4. おわりに

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唾液のメタボローム解析によるがんの検査
Salivary Metabolomics for Cancer Deteetion

 血液を採取して腫瘍マーカーを測定することでがんのリスクを発見できるスクリーニング検査ができるのに, なぜわざわざ唾液をとる必要があるのか? 食事や生活習慣の影響が大きそうな代謝物で本当に検査可能か? とよく質問を受けるが, 著者自身も研究開始前は疑問に思っていた。しかし唾液を用いることは, 尿・呼気・便などと同様に非侵襲な検査を実現させ, さらに医療機関以外での採取も可能であるため, より広く様々な被験者に対してスクリーニングを行える可能性がある。また, がん罹患時には代謝の異常が大きく, この影響が血液を通して唾液にも一定の変化を及ぼすことを確認してきた。しかし, 一方で慎重な採取条件や採取方法を守らなければ検査としては使い物にならない。本稿では, 非侵襲な検査である唾液検査の可能性と限界を紹介する。

【目次】
1. 様々な代謝物の一斉測定を可能とする技術
2. 唾液のメタボローム解析による疾患識別の可能性
3. データ解析の落とし穴
4. 検体の取り扱いと分析方法の改良
5. 結論

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唾液サイトカイン群の網羅解析による肺がんスクリーニングの可能性
Clinical Utility of Salivary Cytokines for Estimation of Lung Cancer

 体内で情報伝達を担う生化学物質のネットワークを利用し, バイオマーカーの種類, 量, および変化からがんに代表される病気の進行を可視化する技術がもたらすインパクトはきわめて大きい。筆者は, 300種以上が発見されているサイトカインと呼ばれる一群の情報伝達物質の変化を分析し, がんを可視化することを目的としている。ここでは, がん部位の推定に関する唾液サイトカインの網羅解析の臨床的意義を概観する。

【目次】
1. はじめに
2. 文献から見た血中サイトカインとがん
2.1 サイトカイン
2.2 血中サイトカインとがんの相関性
3. 唾液サイトカイン
3.1 唾液の分泌ルート
3.2 がんとの相関性
4. 唾液サイトカインと肺がんの相関性
4.1 網羅分析
4.2 肺がんに関するケースコントロールスタディ
5. おわりに

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次世代シーケンサーを用いたがんゲノム医療の実装に向けたアプローチ
Implementation of NGS-based Cancer Precision Medicine

 がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)等が選定されるなど, わが国においてもがん遺伝子パネル検査を用いたプレシジョンメディスンの実装に向けて体制が整えられつつある。実際の現場にあっては, 解決すべき課題が残っている。レポートを作成する専門家集団の人材育成もその一つである。

【目次】
1. はじめに
2. 次世代シーケンサー
3. コンパニオン診断薬
4. がんクリニカルシーケンスの実際
5. マルチ診断技術のリキッドバイオプシーへの応用
6. がんクリニカルシーケンスの実装に向けて
7. おわりに―がん遺伝子パネル検査の実用化に向けて―

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エクソソームによるがんの診断
Cancer Diagnosis by Detecting Exosomes

 細胞から分泌されるエクソソームは, 由来する細胞の特徴を反映し, 体液中に存在するとともに標的細胞に影響を与えることから, 新たなタイプのバイオマーカー・細胞間情報伝達手段として注目されている。本稿では, がんにおけるエクソソームの役割とエクソソーム診断に関する最近の研究動向について我々の知見を含め概説する。

【目次】
1. エクソソームとは
2. がんにおけるエクソソームの役割
3. がんのエクソソーム診断
4. 泌尿器がんのエクソソーム診断
4.1 PSMA
4.2 P-gp
4.3 ITGB4
4.4 GGT1
4.5 CA9
5. エクソソーム診断における問題点
5.1 単離法
5.2 検出法
5.3 抗体
6. まとめ

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早期膵がんの血中バイオマーカーへの新しいアプローチ
Novel Approach for Developing Biomarkers of Early-Stage Pancreatic Cancer

 膵がんはきわめて予後が悪いがんである。この原因は既存の膵がんマーカーが早期には異常値を示さないためであり, 新しい膵がんマーカー同定による新規診断法の確立が望まれている。近年, 我々は独自の定量的標的プロテオミクスを活用し血中の早期膵がんマーカーである水酸化修飾α-fibrinogen, IGFBP2, IGFBP3を同定しており, 定量的標的プロテオミクスの技術概要とともに本稿で紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 定量的標的プロテオミクス
3. 水酸化修飾α-fibrinogen
4. IGFBP2, 3
5. おわりに

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[連載]紫外可視高次微分スペクトル―光反応性材料への新しいアプローチ―

第6章 高次微分スペクトルによるポリシンナメート類の光反応解析
Chapter 6 Quantitative Analysis of Photochemical Behavior of Polycinnamates by Higher-Order UV-VIS Derivative Spectra

 高分岐ポリシンナメートの吸収極大波長はポリビニルシンナメートに対して顕著な長波長シフトを示す。モデルとなる低分子化合物とともに紫外線照射による4次微分スペクトル変化を解析し, 高分岐ポリシンナメートのシンナメート基は特異的にJ-会合体を形成し, 速やかに光二量化することを明らかにする。

【目次】
1. 温故知新
2. 溶液光反応の吸収スペクトル解析
3. 溶液光反応の微分スペクトル解析
4. 高分岐ポリシンナメートの特異的な吸収スペクトル特性
5. 薄膜での高分岐ポリシンナメートの光反応挙動
6. まとめ

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[マーケット情報]

バイオ医薬品の市場動向

 これまで多くのブロックバスターを生み出してきた低分子化合物を用いた新薬が頭打ちになってきたことから, 抗体医薬をはじめとしたバイオ医薬品の市場が拡大している。2015年の抗体医薬品の国内市場は7,000億円程度とみられ, がん領域を中心に現在も多くの臨床試験が進められていることから, 今後も安定した成長が期待される。大型医薬品の特許切れが相次ぐ中, メーカー各社は研究機関との共同研究やバイオベンチャーの買収によって新薬の投入を急いでいる。

【目次】
1. 概要
2. 業界動向
3. バイオシミラー

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[ケミカルプロフィル]
L-アスコルビン酸(ビタミンC)(Ascorbic acid)
コエンザイムQ10(Coenzyme Q10)
ビタミンD(Vitamin D)

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[ニュースダイジェスト]
・海外編
・国内編