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サフラン/ショウガ/ウコン/タマネギ/ニンニク/ネギ/コショウ/ヘナ/ナツメグ/オールスパイス/クローブ/サンショウ/リンデン/ワサビ/オレガノ/シソ/クミン/ゴマ/トウガラシ/ウメ/モモ/カモミール/ローズヒップ/ミックスハーブ/ミックススパイス/香気生成メカニズム/アンチエイジング/辛味決定遺伝子/放射線殺菌
刊行にあたって
面白みや魅力がなくてつまらない様、味わいがなく風情に乏しいことを“味気ない”と表現しますが、スパイスやハーブのない(食)生活はまさしくその表現に相応しいものです。スパイスやハーブがもつ二次機能によって食生活が豊かになるとともに、食材や食品の貯蔵や防腐効果のみならず、さまざまな三次機能(生体調節機能)を発揮し、もって人類の生活の質(QOL)を向上に大いに寄与していることは言うまでもありません。超高齢社会を迎え国民全体の高齢化がすすむ我が国の社会構造に加え、健康長寿を望む国民の健康志向の高まりと相まって、さまざまな機能性のある食品へのニーズは高まる一方であることから、その開発や製品化をはじめとした食の健康に関わる産業は、今後、最も期待できる成長産業のひとつとして認識されています。
本書はスパイス・ハーブを取り扱う研究者や技術者、販売に従事する企業関係者のみならず、スパース・ハーブに関心のある消費者の方々のご参考になるようにと編纂しています。総論編では、スパイス・ハーブの歴史と分類、『くすり(生薬)』としての利用や『食べ物』としての機能(食品機能)などについて概説しています。素材編では各論として、繁用されている重要なスパイス・ハーブ素材について、科名別に分類して解説しています。さらに、スパイス・ハーブの応用研究編として、種々の領域にわたる応用研究や最新動向などの情報を中心に紹介しています。本書を手に取っていただきました皆様方のスパイス・ハーブに関する研究や開発に寄与できますことを切に願います。
森川敏生(「刊行にあたって」より抜粋)
著者一覧
吉川雅之 京都薬科大学
松田久司 京都薬科大学
角谷晃司 近畿大学
大澤俊彦 愛知学院大学
下田博司 オリザ油化㈱
加藤雅博 ハウス食品グループ本社㈱
正村典也 ハウス食品グループ本社㈱
細野 崇 日本大学
関 泰一郎 日本大学
中村誠宏 京都薬科大学
中嶋聡一 京都薬科大学
恩田浩幸 エスビー食品㈱
菊﨑泰枝 奈良女子大学
栢野新市 畿央大学
山本奈美 和歌山大学
二宮清文 就実大学
井出悠葵 金印㈱
藤井康之 芝浦工業大学
伏見大希 芝浦工業大学
越阪部奈緒美 芝浦工業大学
西 甲介 愛媛大学
西澤けいと (国研)農業・食品産業技術総合研究機構
加藤晶子 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構
松島憲一 信州大学
奥野祥治 和歌山工業高等専門学校
野口有里紗 東京農業大学
高橋和良 学校法人食糧学院
松原啓子 ハウス食品㈱
春田 亮 高田香料㈱
吉松嘉代 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
河野徳昭 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
乾 貴幸 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
飯島陽子 神奈川工科大学
羽田三奈子 アナリティクセンス㈱
澤邊昭義 近畿大学
長友暁史 森下仁丹㈱
小林麻己人 筑波大学
笹沼恒男 山形大学
白川久志 京都大学
古田雅一 大阪府立大学
目次 + クリックで目次を表示
第1章 スパイス・ハーブの歴史と分類
1 はじめに
2 香辛料とスパイス・ハーブの定義
3 スパイス・ハーブの歴史
3.1 スパイス・ハーブの賦香効果
3.2 スパイス・ハーブの呈味効果
3.3 スパイス・ハーブの着色効果
3.4 スパイス・ハーブの矯臭・脱臭効果
4 スパイス・ハーブの分類
第2章 スパイス・ハーブと生薬
1 はじめに
2 薬食同源
3 薬用食品
3.1 ウイキョウ(茴香,フェンネル)
3.2 ショウキョウ,カンキョウ(生姜,乾姜,ジンジャー)
3.3 ケイヒ(桂皮,カシア,シナモン)
3.4 サンショウ(山椒)
3.5 チョウジ(丁字,丁香,グローブ)
4 おわりに
【素材編】
第3章 単子葉植物
1 アヤメ科(サフラン)
1.1 はじめに
1.2 Crocinの生合成
1.3 サフランの薬理効果
1.4 おわりに
2 ショウガ科(ターメリック(ウコン))
2.1 ウコンとターメリック
2.2 クルクミンの用途と安全性
2.3 「クルクミン」の持つ健康効果
2.4 U1の吸収・代謝
2.5 THU1の疾病予防効果
2.6 腸内細菌によるクルクミンの代謝
2.7 ビサクロンの登場
3 赤ショウガおよび黒ショウガのロコモ対応食品への利用
3.1 はじめに
3.2 機能性表示食品と赤ショウガ
3.3 赤ショウガエキスの抗炎症作用
3.4 赤ショウガエキスのヒトの炎症パラメーターに及ぼす作用
3.5 機能性表示食品と黒ショウガ
3.6 加齢による筋肉の変化と黒ショウガエキス
3.7 黒ショウガエキスのヒトの運動機能に及ぼす作用
3.8 おわりに
4 タマネギの催涙成分
4.1 LFの構造とその生成機構
4.2 LFの生理的な役割
4.3 催涙性の少ないタマネギ、無いタマネギの開発
5 ニンニク(Allium sativum L.)由来含硫化合物の生成機構と機能性
5.1 はじめに
5.2 ニンニクの匂い成分生成メカニズム
5.3 抗血小板作用
5.4 血圧低下作用・心筋保護作用
5.5 脂質異常改善作用・抗動脈硬化作用
5.6 抗肥満・抗糖尿病作用
5.7 抗酸化作用
5.8 抗アルツハイマー病作用
5.9 まとめ
6 ヒガンバナ科(ネギ)
6.1 はじめに
6.2 ネギ属植物から得られる含硫黄化合物とその生成過程
6.3 京都府産九条ネギ(Allium fistulosum‘Kujou’)含有成分の単離
6.4 ネギ属植物アサツキ(A. schoenoprasum var. foliosum)葉部およびニンニク(A. sativum)葉部からの含硫黄化合物の単離
6.5 まとめ
第4章 双子葉植物
1 コショウ科植物由来スパイス・ハーブと生体機能
1.1 はじめに
1.2 コショウ
1.3 インドナガコショウ
1.4 ジャワナガコショウ
1.5 カバ(カヴァ、カバカバ)
1.6 キンマ葉
2 ミソハギ科植物ヘンナ
2.1 はじめに
2.2 ヘンナ葉部、花部および枝部のlawsone含量の比較
2.3 ヘンナ花部の含有成分および有用性
2.4 ヘンナ枝部の含有成分および有用性
2.5 おわりに
3 ニクズク科ナツメグ
3.1 はじめに
3.2 成分と食品機能
3.3 生理機能
3.4 最後に
4 フトモモ科(オールスパイス,クローブ)
4.1 はじめに
4.2 含有成分
4.3 食品機能・生理機能
4.4 おわりに
5 ミカン科(サンショウ)
5.1 サンショウの特徴と利用
5.2 サンショウの含有成分と機能性
5.3 ブドウサンショウの新たな利用方法
5.4 考察
6 シナノキ科植物リンデンの機能性成分
6.1 はじめに
6.2 リンデンについて
6.3 肝がん・肝障害について
6.4 リンデンの含有成分
6.5 リンデン含有成分の肝保護活性と作用点
6.6 おわりに
7 ワサビ
7.1 はじめに
7.2 ワサビの主要な機能性成分
7.3 ワサビの機能性
7.4 おわりに
8 シソ科(Lamiaceae)
8.1 汎用されるシソ科植物と特徴的な含有成分
8.2 シソ科植物成分の生理作用
8.3 おわりに
9 セリ科(クミン,コリアンダー)
9.1 はじめに
9.2 クミン
9.3 コリアンダー
9.4 おわりに
10 ゴマ科(ゴマ)
10.1 概要
10.2 ゴマリグナンについて
10.3 リグナン高含有ゴマ品種
10.4 さいごに
11 トウガラシとその辛味成分等の機能性
11.1 トウガラシとは
11.2 辛味成分カプサイシノイド
11.3 カプサイシノイドの機能性
11.4 カプシノイドの機能性
11.5 その他のトウガラシの機能性
12 バラ科ウメの機能性
12.1 はじめに
12.2 ヘリコバクターピロリ菌運動能抑制効果
12.3 骨粗鬆症予防効果(骨芽細胞分化促進作用)
12.4 動脈硬化抑制効果
12.5 抗アレルギー効果
12.6 おわりに
13 キク科(ジョチュウギク,ステビア,ヒマワリ)
13.1 はじめに
13.2 LED補光栽培がジョチュウギクのピレトリン含有量の増加
13.3 窒素施肥量と塩ストレス処理によるステビアのステビオール配糖体含有量の増加
13.4 緑肥ヒマワリの土壌混和が後作物の生育へ与える影響
【スパイス・ハーブの応用研究編】
第5章 スパイス・ハーブの安全性
1 品質劣化
1.1 一般食品
1.2 スパイス・ハーブ
2 危害要因
2.1 残留農薬
2.2 微生物(気流式殺菌・放射線殺菌)
2.3 カビ毒(マイコトキシン)
2.4 異物
2.5 薬効と安全性
第6章 世界各地のブレンドスパイス
1 ブレンドスパイスとは
2 ブレンドスパイスを使うメリット
3 世界各地のブレンドスパイス
3.1 カレーパウダー
3.2 ガラムマサラ
3.3 七味唐辛子
3.4 五香粉(ウーシャンフェン)
3.5 チリパウダー
3.6 ピクリングスパイス
3.7 カトルエピス
3.8 ハリッサ
3.9 ケイジャンスパイス
3.10 ブーケガルニ
3.11 エルブ・ド・プロバンス
3.12 チャイ用ミックススパイス
4 自分流のブレンドスパイスを楽しむには
第7章 ドライコートスパイス(香辛料抽出物製剤)の製造技術およびその特性と応用例
1 はじめに
2 香辛料抽出物の抽出方法
3 粉末化の方法
4 ドライコートスパイスの製造方法
4.1 乳化工程
4.2 噴霧乾燥工程
5 製造時の注意点
6 ドライコートスパイスの特性
7 畜肉製品の風味に対するドライコートスパイスの効果
8 ドライコートスパイスの応用例
8.1 ハム・ソーセージ
8.2 粉末スープ
8.3 スナック菓子
8.4 その他
第8章 植物工場での薬用植物の生産
1 はじめに
2 甘草の生産
3 ウラルカンゾウにおけるグリチルリチン酸生合成酵素遺伝子群のストレス応答解析
4 黄連の生産
5 セリバオウレン優良株の遺伝子識別
6 人参の生産
7 芍薬の生産
8 シャクヤク優良品種及び優良株の遺伝子識別
9 おわりに
第9章 スパイス・ハーブの香気成分の生成メカニズム
1 はじめに
2 主なスパイス・ハーブの香気成分
3 香気成分の生成,蓄積と放出
4 香気成分生合成
4.1 テルペン系香気成分の生合成
4.2 フェノール系香気成分の生合成
5 おわりに
第10章 スパイス・ハーブのにおい成分の分析手法
1 はじめに
2 におい化合物を含む揮発性成分の捕集とガスクロマトグラフへの導入方法
2.1 スタティックヘッドスペース法
2.2 ダイナミックヘッドスペース法
2.3 固相マイクロ抽出(SPME)法
2.4 サーマルデソープション法
2.5 濃縮素子を用いた分析法
3 揮発性成分の分離分析方法
3.1 GC後部に接続する機器の種類
3.2 直接嗅いだにおいと、喉から鼻に抜けるにおいの分析法
4 ガスクロマトグラフ-質量分析計を用いた化合物分離の考え方について
4.1 ガスクロマトグラフ―シングル四重極質量分析計
4.2 ガスクロマトグラフ―トリプル四重極質量分析計
4.3 ガスクロマトグラフ―飛行時間型質量分析計①
4.4 ガスクロマトグラフ―飛行時間型質量分析計②
5 おわりに
第11章 3種のスパイス種子に含まれる成分のアンチエイジング効果
1 はじめに
2 スパイスに含まれる成分
2.1 コリアンダー(Coriandrum sativum L.:CSL)
2.2 カルダモン(Elettaria cardamomum:CDM)
2.3 フェンネル(Foeniculum vulgare:FNF)
3 AGEs生成阻害活性試験(抗糖化活性試験)
4 糖化(グリオキサール添加)条件下におけるAGEs生成抑制実験
5 まとめ
第12章 ハーブの機能性食品への応用~ローズヒップ,カシス~
1 はじめに
2 ローズヒップ
2.1 ローズヒップについて
2.2 ローズヒップの機能性
2.3 ローズヒップ由来ティリロサイドの体脂肪低減機能および安全性
3 カシス
3.1 カシスについて
3.2 カシスの含有成分
3.3 カシス由来アントシアニンの機能性
3.4 カシス由来アントシアニンによるアイケア機能
4 おわりに
第13章 酸化ストレス障害モデル動物を駆使した香辛料成分の研究
1 はじめに
2 動物体内における酸化ストレス低減の効果を直接見る
3 酸化ストレス負荷を行ったモデル動物を用いた抗酸化作用の解析
4 疾患モデル動物を用いた抗酸化作用の解析
5 Nrf2経路依存的な抗酸化作用
6 ゼブラフィッシュを用いた抗酸化作用の解析
7 おわりに
第14章 新規の変異型トウガラシ辛味遺伝子の解明
1 トウガラシとは
2 トウガラシの辛味成分
3 トウガラシの辛味遺伝子
4 通常とは異なる辛味欠失要因をもつパプリカの発見
5 新規の変異型辛味遺伝子の同定
6 新規の変異型遺伝子pamt10の発見が意味するもの
7 まとめに
第15章 シナモン主成分(cinnamaldehyde)による認知機能障害改善作用とその脳内特異的作用点の解明
1 はじめに
2 シナモンと臨床効果
3 シナモン主成分であるシンナムアルデヒドにより開口するイオンチャネルtransient receptor potential ankyrin1(TRPA1)
4 認知機能障害を呈するマウス慢性脳低灌流症モデル
5 マウス慢性脳低灌流症モデルに対するシンナムアルデヒドの作用
6 慢性脳低灌流症に対するシンナムアルデヒドの保護作用と脳内特異的作用点としてのTRPA1
7 今後の課題について
8 おわりに
第16章 放射線照射による香辛料の殺菌
1 はじめに
2 放射線とは何か?なぜ殺菌できるのか?
3 香辛料の放射線殺菌は安全か?
3.1 はじめに
3.2 照射香辛料に生じる分解生成物
3.3 照射香辛料の毒性学的評価
3.4 微生物学的安全性
4 香辛料の放射線殺菌の実際
5 放射線照射食品の流通についての国際規格
6 香辛料の放射線殺菌の世界の実用化の現状
7 我が国の現状と今後の課題
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