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月刊ファインケミカル 2021年4月号

【特集】ポストゲノム時代の天然物化学―ゲノム情報に基づいた天然物の探索と合成―

商品コード:
F2104
発行日:
2021年4月15日
体裁:
B5判
ISSNコード:
0913-6150
価格(税込):
7,700
ポイント: 70 Pt
関連カテゴリ:
雑誌・定期刊行物 > 月刊ファインケミカル
ファインケミカル > 医薬
ファインケミカル > 触媒・酵素・天然物

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著者一覧

浅井禎吾 東北大学
上岡麗子 (国研)産業技術総合研究所
松田研一 北海道大学
脇本敏幸 北海道大学
南 篤志 北海道大学
尾﨑太郎 北海道大学
及川英秋 北海道大学
掛谷秀昭 京都大学
佐藤道大 静岡県立大学
渡辺賢二 静岡県立大学

目次 +   クリックで目次を表示

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【特集】ポストゲノム時代の天然物化学―ゲノム情報に基づいた天然物の探索と合成―

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糸状菌の遺伝子情報を活用する天然物ケミカルスペースの開拓
Use of Fungal Gene Resources for Expanding Natural Product Chemical Space

 遺伝子情報が容易に利用可能となったポストゲノム時代において,ゲノムマイニングと異種発現を基盤とする合成生物学的手法を用いる天然物の探索や創製研究が注目されている。本稿では,糸状菌遺伝子資源を材料とした生合成経路の再構築と再設計による天然物ケミカルスペースの開拓に関する成果をまとめた。

【目次】
1.はじめに
2.糸状菌のデカリン骨格を有するジテルペノイドピロン類(DDP類)
3.ジテルペノイドピロン類生合成遺伝子クラスターのゲノムマイニング
4.天然型DDP類生合成経路の再構築と天然型DDP類の創生
5.生合成経路拡張による天然にはないDDP類の創製
6.DDP類の生物活性評価
7.おわりに

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ゲノムマイニング法によるtrans-AT型ポリケチド生合成遺伝子由来の化合物の探索
Discovery of trans-AT Polyketide Synthases derived Compounds by Genome Mining

 Trans-AT型ポリケチド生合成遺伝子(PKS)は,近年発見された新たなⅠ型PKSであり,これらの遺伝子によって生産される天然化合物には,ユニークな構造を持つ有用化合物も多い。本稿では,ゲノムマイニング法によるtrans-AT型PKS由来の新規化合物探索に関するこれまでの研究についてまとめる。

【目次】
1.はじめに
2.新たなⅠ型ポリケチド生合成遺伝子trans-AT型PKS
3.macrobrevin
4.lacunalides
5.cuniculenes
6.ゲノムマイニング法の適応外なtrans-AT型PKS
7.おわりに

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新規ペプチド環化酵素PBP-type TEの発見と機能解析
Discovery and Functional Analysis of a New Peptide Cyclase, PBP-Type TE
 
 天然物に特徴的な骨格であるマクロラクタム構造に着目し,その生合成を担う新たなペプチド環化酵素SurEを見出した。SurEはペニシリン結合タンパク質PBPに相同性を示すことからPBP-type TEと命名した。SurEは寛容な基質特異性を有するとともに,そのホモログ酵素は多様な基質特異性を示すことが予想されるため,ペプチド環化を担う生体触媒として有望な酵素群である。

【目次】
1.はじめに
2.大環状天然物の生合成
3.新規ペプチド環化酵素の発見
4.非リボソームペプチドの環化反応機構
5.非天然型環状ペプチドの生物合成
6.PBP-type TEホモログの多様性
7.おわりに

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担子菌未利用生合成遺伝子を活用した有用物質生産法の開発       
Development of Versatile Heterologous Expression System for Genome Mining of Basidiomycete Natural Products
 
 古来より生薬などとして利用されてきたキノコは,特徴的な生物活性を示す天然物の宝庫である。近年,キノコからは天然物の生合成に関わる遺伝子群が次々と発見されているものの,酵素機能を解析するための汎用的手法が確立されていないため,その多くが未解明である。本稿では,麹菌を宿主としたgDNA配列の直接導入によるキノコ由来天然物生合成酵素の解析法とその応用展開について紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.キノコ由来の天然物生合成遺伝子の解析における課題
3.麹菌におけるキノコ由来gDNAのスプライシング
4.キノコがもつテルペン環化酵素の網羅的解析
4.1 環化体の化学構造に関して
4.2 スプライシングについて
5.天然物の異種生産への展開
5.1 修飾酵素遺伝子のスプライシング
5.2 糖転移反応における原料供給
5.3 生合成におけるその他の特徴
6.今後の展望

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希少放線菌と異属微生物間化学コミュニケーションを活用したケミカルスペース拡充戦略        
Chemical Space Expansion by Utilizing Rare Actinomycetes and Chemical Communications of Different Microbial Genera
 
 天然由来の限られた資源の有効利用として,近年,微生物のゲノムマイニングや異属微生物間化学コミュニケーションの活用が注目されている。本稿では,創薬リード化合物探索・開拓に供する化合物ライブラリーのケミカルスペース拡充戦略として,希少放線菌の活用やミコール酸含有細菌Tsukamurella pulmonis TP-B0596との複合培養法による新規創薬シーズsaccharothriolide類およびamycolapeptin類の発見を中心に紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.希少放線菌Saccharothrix sp. A1506株が生産する新規がん細胞増殖阻害物質saccharothriolide類
3.希少放線菌Saccharothrix sp. A1506株と細菌Tsukamurella pulmonisTP-B0596株の複合培養法によるsaccharothriolides類の生産性向上とsaccharothriolide C2の生産
4.希少放線菌Amycolatopsis sp. 26-4株と細菌Tsukamurella pulmonis TP-B0596の複合培養法による創薬シーズamycolapeptins A&Bの生産
5.おわりに

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ゲノム情報に基づく新規生合成システムのリデザイン              
Target Mining Approach in the Discovery of Bioactive Natural Products

 微生物や植物は,成長・発生・生殖・環境応答などに関与するケミカルツールとして二次代謝産物を産生すると考えられているが,なぜ産生するのか,その生理学的意味が分かっているものは少ない。われわれ人類にとっては,二次代謝産物の本来の機能よりも,その化合物が持つ生物活性の方が重要であり,薬理作用のある化合物は学術的にも実用的にも研究され広く応用されている。ところで,この二次代謝産物における抗生物質をはじめとする他者を排斥する活性を持つ化合物は,生産宿主にも作用するため,宿主はそれに対する耐性機構をもっているはずである。生産者は化合物の自身に対する影響をどのように回避しているのだろうか。最近この耐性機構を利用した物質探索が報告されたが,これはポストゲノム時代の物質探索におけるひとつの潮流になるであろう。今回,その概要をまとめたので紹介したい。

【目次】
1.はじめに
2.ゲノムマイニング
3.自己耐性遺伝子
4.バクテリアにおける標的分子指向型マイニング
5.真菌類における標的分子指向型マイニング
6.おわりに

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[マーケット情報]

接着剤工業の市場動向

 2019年の接着剤の生産量は前年比97.1%の93万4,988トンとなり,出荷金額は前年比98%の2,760億円となった。2011年の東日本大震災後,2012年以降は生産量,出荷金額はともに微増している。2015年以降は合板など建築用途で需要が増加していることから,全体的な生産量は増加の傾向にある。2019年は生産量,出荷金額は微減した。

【目次】
1.需給概要
2.品目別概要
3.需要動向
4.輸出入の概要
5.業界動向
6.環境問題への対応

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[マーケット情報]

レアアース工業の市場動向

 世界のレアアース資源の70%は中国で生産されている。2010年の尖閣諸島沖での中国漁船衝突を契機に中国政府が輸出量を絞ったことから,レアアースの国際価格は翌年にかけて暴騰し,ハイブリッド車やエアコンなどレアアースを使用している製品価格が軒並み上昇して世界経済に大混乱をきたした。2012年6月に日米欧の各国が中国の不当性をWTOに提訴,翌2013年にWTOの上級審が日米欧の主張を認めたため決着し,2015年1月には中国がレアアースの輸出枠の撤廃,また,5月には輸出税も廃止したため,ほとんどのレアアースの価格は暴騰前の水準に戻った。一方,国際価格の暴騰以後,代替材料の開発やインド,ベトナムなどの開発による脱中国の動きが本格化しており,経営悪化に苦しむ中国企業が増加している。

【目次】
1.概要
2.需給動向
2.1 酸化セリウム(CeO2)・セリウム化合物
2.2 酸化イットリウム(Y2O3)・酸化ユーロピウム(Eu2O3)
2.3 酸化ランタン(La2O3)
2.4 ミッシュメタル
2.5 その他製品
3.業界動向
3.1 供給先確保
3.2 リサイクル関連
3.3 使用量低減・代替材料関連

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[ケミカルプロフィル]

テルピネオール(Terpineol)
トリス(グリシジル)イソシアヌレート(Tris(glycidyl)isocyanurate)
p-ニトロベンゾイルクロライド(p-Nitrobenzoyl chloride)

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[ニュースダイジェスト]

・海外編
・国内編

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