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生薬・薬用植物研究の最新動向《普及版》

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The Latest Progress of Crude Drugs and Medicinal Plants(Popular Edition)

2017年刊「生薬・薬用植物研究の最新動向」の普及版。国産化と安定供給が課題となっている生薬・薬用植物について、その有用成分の探索から臨床応用への展望までを収録した1冊。

※こちらの商品は弊社電子書籍専用販売サイト「CMCeBook」にて電子版(DL版)を販売しております。電子版(DL版)のご注文はコチラ(別サイトに移動します)

商品コード:
B1435
監修:
高松智
発行日:
2024年6月6日
体裁:
B5判・229頁
ISBNコード:
978-4-7813-1771-7
価格(税込):
3,850
ポイント: 35 Pt
関連カテゴリ:
新刊・近刊
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
ファインケミカル > 医薬
ファインケミカル > 触媒・酵素・天然物
食品 > 保健機能食品
食品 > 美容食品

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キーワード:

栽培技術/品質管理/国産化研究/成分分析/薬理/耐糖能改善作用/経口美肌素材/抗肥満作用/代謝調節作用/創薬シード/生物活性成分の探索/生合成/臨床応用/生活習慣病/食物アレルギー/うつ様行動/化粧品

刊行にあたって

 現代の医薬品は、主に薬用植物中の有効成分を、単一成分としてそのままのかたちで、あるいは有機化学手法を用いてブラッシュアップされながら、開発されてきた。一方、漢方は中国の中薬に源を発した体系医学を基に、民間療法と交わりながら独自に日本で発展をとげたもので、「人をみる」ことにより症をたて、あくまでも多成分からなる生薬としての特性を重視し、それらの組み合わせから、体全体の調子を整え、病気を治していくのが特徴である。日本の医療体系は、一見して相反する西洋薬と漢方薬が融合した、世界では例を見ない独特のものである。これは治療の選択肢が広がるなど、患者や医師にとっても多くのメリットがある。

 これまでに長い年月を経て、経験に基づいた薬効が先行して発展してきた漢方ではあるが、近年になって科学的根拠に基づいた医療であることが実証されるようになると(evidenced-based medicine, EBM)、漢方は分子標的薬にも引けを取らない付加価値が見出され、益々重要視されるようになった。今では、医師の9割が漢方を処方するに至り、需要は増える一方である。

 近年では、難病に対処するためには、最先端の技術を駆使した抗体医薬が主流となりつつあるが、漢方は風邪、頭痛、肩こりや冷えなどの比較的軽度な症状、薬の副作用の軽減、現在でも未解明である病気の対処や緩和ケアに至り、幅広く貢献している。

 しかし、皮肉にも漢方の原料である生薬は、そのほとんどが輸入に頼っており、国内供給による資源の確保が最大の問題となっている。それゆえ、国内産生薬の供給は、安全・安心といった品質を保証する上でも長年の悲願であり、産学官連携のプロジェクトが進められている。それと並行して、薬効を示す有用化合物の生合成遺伝子の同定と解明、そしてこれらの生合成遺伝子のライブラリー化も重要な課題となっている。三年前に発刊された当出版社の「薬用植物・生薬の最前線」では、原料生薬の安定的確保の必要性から、国産生薬の栽培、品質評価、製品化の特集が組まれ、業界関係者のみならず、幅広く医療関係者にもそれらの危機感が伝わったのではなかろうか。

 本書の第一章は、その続編として、生薬・薬用植物の「栽培技術・品質管理」を採り挙げた。次いで、生薬・漢方のEBMに関して、「薬理」、「創薬シード」、今回新たに「臨床応用」の分野を加え、第一線で活躍されている研究者より、最新の動向を提供いただいた。

高松 智
(「はじめに」より抜粋)

本書は2017年に『生薬・薬用植物研究の最新動向』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


高松 智   昭和大学
渡辺 均   千葉大学
新藤 聡   千葉大学
池上文雄   千葉大学
秋葉秀一郎  福島県立医科大学
佐橋佳郎   福島県立医科大学
三潴忠道   福島県立医科大学
安藤広和   金沢大学
佐々木陽平  金沢大学
御影雅幸   東京農業大学
永津明人   金城学院大学
森川敏生   近畿大学
大野高政   松浦薬業㈱
今井昇治   松浦薬業㈱
和田篤敬   小林製薬㈱
荒井哲也   小林製薬㈱
落合 和   星薬科大学
嶋田 努   金沢大学附属病院
条 美智子  富山大学
柴原直利   富山大学
小池佑果   昭和大学
北島満里子  千葉大学

三巻祥浩   東京薬科大学
黒田明平   東京薬科大学
松尾侑希子  東京薬科大学
小野政輝   東海大学
倉永健史   北海道大学
山崎真巳   千葉大学
伊藤卓也   富山大学
白畑辰弥   北里大学
小西成樹   北里大学
小林義典   北里大学
飯島 洋   日本大学
五十嵐信智  星薬科大学
今理紗子  星薬科大学
杉山 清   星薬科大学
多田明弘   ポーラ化成工業㈱
榎本有希子  ㈱ファンケル
山下弘高   岐阜薬科大学
田中宏幸   岐阜薬科大学
稲垣直樹   岐阜薬科大学
伊藤直樹   北里大学
永田 豊   諏訪中央病院

執筆者の所属表記は、2017年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【第1編 栽培技術・品質管理】

第1章 薬用植物の新たな苗生産技術
1 はじめに
2 薬用植物栽培における問題点
3 トウキにおける系統選抜と苗生産技術
 3.1 トウキ栽培の現状と問題点
 3.2 採種法の確立
 3.3 トウキ栽培におけるセル成型苗生産の導入

第2章 漢方生薬「黄連」の加工調製方法の変化に伴うアルカロイド含量への影響
1 はじめに
2 中国における黄連の加工調製方法
3 方法
 3.1 実験材料
 3.2 生薬の分別
 3.3 加熱によるアルカロイドへの影響
 3.4 試料の調製
 3.5 UPLCの測定条件
4 結果
 4.1 色調による分別
 4.2 分別した検体の定量
 4.3 加熱によるアルカロイドへの影響
5 考察

第3章 漢方生薬「麻黄」の国産化研究
1 はじめに
2 栽培圃場について
3 繁殖方法について
 3.1 種子繁殖
 3.2 挿し木法
 3.3 株分け法
4 栽培マオウの経年変化について
 4.1 実験材料及び方法
 4.2 結果
 4.3 考察
5 追肥効果について
 5.1 実験材料及び方法
 5.2 結果
 5.3 考察
6 まとめ

第4章 定量NMR(1H-qNMR)法による生薬成分の分析〜生薬キョウニン,トウニン,ウバイに含まれるamygdalinの定量を例に〜
1 はじめに
2 トウニン,キョウニン,ウバイとamygdalin
3 1H-qNMR法の条件検討〜溶媒の検討〜
4 1H-qNMRの測定手順
 4.1 仲介物質HMD溶液の濃度決定
 4.2 Amygdalin標準品の純度決定と定量可能範囲の確認
 4.3 生薬中のamygdalin含有率の確認
5 測定の結果
6 HPLC測定値との比較
7 おわりに


【第2編 薬理】

第5章 カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)の耐糖能改善作用成分
1 はじめに
2 カンカニクジュヨウの含有成分
3 Echinacosideおよびacteosideの抗糖尿病作用
4 カンカニクジュヨウ含有フェニルエタノイド配糖体のα-グルコシダーゼおよびアルドース還元酵素阻害活性
5 おわりに

第6章 パフィアエキスパウダーの経口美肌素材としての有用性
1 はじめに
 1.1 皮膚の構造
 1.2 皮膚老化とコラーゲン
2 パフィアの加齢による皮膚老化に対する有用性
3 パフィアの紫外線による皮膚老化に対する有用性
4 パフィアエキスパウダーの皮膚線維芽細胞活性化作用
5 モニターアンケート調査
6 パフィアエキスパウダーの安全性
7 おわりに

第7章 大柴胡湯の抗肥満作用の検討
1 はじめに
2 漢方処方「大柴胡湯」
3 大柴胡湯の肥満に対する臨床効果
4 大柴胡湯の抗肥満効果に対する構成生薬の関与
5 大柴胡湯の抗肥満効果の作用機序
6 おわりに

第8章 黒ショウガ酢酸エチル可溶部の褐色脂肪細胞に対する効果
1 はじめに
2 間葉系幹細胞から各脂肪細胞への細胞系譜
3 白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の分布と特徴
4 褐色脂肪細胞のエネルギー代謝
5 自然発症2型糖尿病モデルマウスに対するKPの酢酸エチル画分の効果
6 褐色脂肪細胞に対するKPEの効果
7 初代褐色脂肪細胞に対するKPEポリメトキシフラボノイドの分化誘導効果
8 まとめ

第9章 五苓散の糖尿病モデルラットにおける水代謝調節作用の検討
1 はじめに
2 浮腫と糖尿病
3 水分代謝調節と水チャネル
4 水分代謝と漢方薬
5 実験概要
6 実験結果
7 まとめ
8 おわりに


【第3編 創薬シード】

第10章 古典から考える天然資源の利用と新たな創薬シーズの探索
1 はじめに
2 古典より生み出された新薬〜artemisinin〜
3 天然物活用法としての漢方
4 漢方特有の病状「瘀(お)血(けつ)」に作用する活性成分を求めて

第11章 薬用資源植物からの生物活性アルカロイドの探索
1 はじめに
2 Kopsia属植物含有アルカロイド
3 Voacanga africana含有アルカロイド
4 おわりに

第12章 薬用植物の生物活性成分の検討
1 はじめに
2 ビャクダン心材の成分と腫瘍細胞毒性
 2.1 ビャクダンについて
 2.2 ビャクダンの心材の成分と化学構造
 2.3 化合物1-24の腫瘍細胞毒性と構造活性相関
 2.4 アポトーシス誘導活性
 2.5 PPAR-γリガンドとの併用による腫瘍細胞毒性増強作用
3 レモンガヤの葉から単離されたトリテルペンの膵リパーゼ阻害活性と血中トリグリセリド低下作用
 3.1 レモンガヤについて
 3.2 レモンガヤの葉の主成分とその化学構造
 3.3 シンボポゴノールの膵リパーゼ阻害活性と血中TG低下作用
4 フキタンポポの葉より単離・同定されたアルドース還元酵素阻害物質
 4.1 植物抽出エキスのアルドース還元酵素阻害活性のスクリーニング
 4.2 フキタンポポの葉のAR阻害活性の探索とその化学構造
 4.3 化合物26-36のAR阻害活性
5 ビロードモウズイカの葉より単離・同定されたキサンチンオキシダーゼ阻害物質
 5.1 植物抽出エキスのキサンチンオキシダーゼ酵素阻害物質のスクリーニング
 5.2 ビロードモウズイカの葉のXO阻害活性の探索とその化学構造
 5.3 化合物37と38のXO阻害活性
6 結語

第13章 樹脂配糖体の化学構造に関する研究
1 はじめに
2 ヤラピンの構造研究
 2.1 樹脂配糖体画分の構成有機酸の研究
 2.2 樹脂配糖体画分の構成オキシ脂肪酸および構成単糖の研究
 2.3 樹脂配糖体画分の構成配糖酸の研究
 2.4 真性樹脂配糖体の研究
3 コンボルブリンの構造研究
 3.1 PharbitinのIndium(Ⅲ)Chloride処理生成物の研究
 3.2 Negative-ion FAB-MSによるPharbitinの構成樹脂配糖体の考察
4 おわりに

第14章 化学合成を駆使した稀少天然物化学研究

第15章 薬用成分の生合成制御に関するゲノム機能学的研究
1 はじめに
2 薬用植物を対象としたゲノム科学の世界的な動向
3 薬用植物のトランスクリプトーム解析
4 トランスクリプトームとメタボロームの統合解析
5 ゲノム情報に基づくトランスクリプトーム解析
6 合成生物学による植物由来アルカロイド生産への応用
7 ゲノム編集による代謝エンジニアリングの可能性
8 まとめ

第16章 ミャンマー伝統医学の最新動向と薬用植物の科学的根拠の解明
1 はじめに
2 ミャンマー伝統医学の伝承
 2.1 ミャンマー伝統医学の現状
 2.2 ミャンマー伝統薬と薬用植物園
 2.3 ミャンマー伝統薬と配置薬
3 ミャンマー産薬用植物由来の活性物質の探索
 3.1 Jatropha multifidaの抗インフルエンザ活性
 3.2 ミャンマー産薬用植物由来の抗ウイルス活性物質
 3.3 ミャンマー産薬用植物由来の抗リーシュマニア活性物質
4 おわりに

第17章 フローリアクターを利用したサポニンの合成研究
1 序
2 結果
 2.1 C-28位配糖化
 2.2 連続的フロー式C-28位配糖化-バッチ式脱保護法の検討
 2.3 フロー式C-3位配糖化の検討
 2.4 フロー式C-3位配糖化の検討
3 おわりに


【第4編 臨床応用】

第18章 柴胡加竜骨牡蛎湯の血管内皮前駆細胞保護作用
1 序論
2 柴胡加竜骨牡蛎湯のEPC保護作用評価実験
 2.1 概要
 2.2 実験方法
 2.3 酸化ストレス抑制測定
 2.4 炎症性サイトカイン量
3 結論

第19章 腸管のアクアポリンに対する生薬大黄の作用
1 はじめに
2 大黄およびセンナの瀉下作用
3 生体内での水輸送タンパク質;アクアポリン
4 腸管におけるAQPの役割;大腸での水輸送機構
5 大黄およびセンノシドAの瀉下作用における大腸AQP3の役割
 5.1 大黄およびセンノシドAの瀉下作用と大腸AQP3との関係
 5.2 センノシドA投与による大腸AQP3の発現低下メカニズム
6 おわりに

第20章 有用植物の化粧品への応用と現状
1 はじめに
2 方法
 2.1 アサガオカラクサ抽出物の調製
 2.2 アサガオカラクサ抽出物のエストロゲン受容体タンパク発現作用
 2.3 アサガオカラクサ抽出物の成長ホルモン受容体タンパク発現作用
 2.4 アサガオカラクサ抽出物のエストロゲン受容体増加によるコラーゲン産生作用
 2.5 アサガオカラクサ抽出物の成長ホルモン受容体増加によるコラーゲン産生作用
 2.6 UVA照射によるエストロゲン受容体のmRNA発現量
3 結果
 3.1 アサガオカラクサ抽出物のエストロゲン受容体タンパク発現作用
 3.2 アサガオカラクサ抽出物の成長ホルモン受容体タンパク発現作用
 3.3 アサガオカラクサ抽出物のエストロゲン受容体増加によるコラーゲン産生作用
 3.4 アサガオカラクサ抽出物の成長ホルモン受容体増加によるコラーゲン産生作用
 3.5 UVA照射によるエストロゲン受容体のmRNA発現量
4 化粧品への応用
5 おわりに

第21章 生薬・有用植物由来成分の新規美白機能研究“Macrophage migration inhibitoryfactor(MIF)分泌”への検討・応用
1 はじめに
2 メラノサイトにおけるメラニン合成に着目した抑制成分
3 紫外線によるメラノサイトの活性化パラクラインネットワーク機構
4 MIFによるケラチノサイトを介したシミ形成促進メカニズム
5 MIF分泌抑制剤と美白効果
6 Centaurea cyanus抽出物のMIF分泌抑制機能と美白効果
7 おわりに

第22章 食物アレルギーに対する和漢薬の有用性の検討
1 食物アレルギー
 1.1 アレルギーの現状
 1.2 食物アレルギーの現状
 1.3 食物アレルギーが誘導される機序
 1.4 消化管免疫
 1.5 アレルギーと腸内細菌
 1.6 食物アレルギーの治療
2 アレルギーと漢方薬
 2.1 慢性アレルギー疾患と漢方薬
 2.2 食物アレルギー治療における漢方薬など
 2.3 食物アレルギー治療における漢方薬の課題
 2.4 食物アレルギー治療における漢方薬の可能性

第23章 社会的ストレス誘発うつ様行動並びに脳内炎症に対する香蘇散の効果
1 はじめに
2 社会的ストレス誘発うつ様行動に対する香蘇散の効果
3 社会的ストレス誘発脳内炎症に対する香蘇散の効果
4 まとめ

第24章 〈トピック〉腸間膜静脈硬化症と漢方方剤の関連性
1 要旨
2 はじめに
3 疾患概念形成と呼称
4 漢方薬との関連性
 4.1 症例報告・症例集積報告
 4.2 山梔子服用者
 4.3 漢方専門外来における検討
5 山梔子含有医療用漢方製剤
 5.1 山梔子含有一般医薬品
 5.2 山梔子使用の注意点
6 本疾患を早期発見するための注意点
 6.1 リスク
 6.2 病態
 6.3 症状
 6.4 診断・画像診断の注意点
 6.5 腹部単純X線・腹部単純CT・注腸X線
 6.6 腹部超音波検査
 6.7 大腸内視鏡
 6.8 鑑別診断・組織学的検査
 6.9 腸間膜静脈硬化症の治療
 6.10 腸間膜静脈硬化症の管理
7 まとめ

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