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AIとバイオの融合最前線

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Prospective AI-fused Biotechnology

★2024年ノーベル物理学賞と化学賞で脚光を浴びたAI(人工知能)!
★AIとバイオテクノロジーの融合がもたらす未来を探る一冊!
★医薬,医療,微生物,酵素・タンパク質、フードテックなどでのAI技術の最前線の研究成果を集約!

商品コード:
T1284
監修:
植田充美
発行日:
2025年5月末予定
体裁:
B5判・約220頁
ISBNコード:
978-4-7813-1867-7
価格(税込):
74,800
会員価格(税込):
67,320
ポイント: 612 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
バイオテクノロジー
新刊・近刊
刊行予定
バイオテクノロジー > 診断技術・バイオセンサ
バイオテクノロジー > 微生物・酵素
エレクトロニクス > AI(人工知能)・ビッグデータ解析

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キーワード:

AI/創薬/構造生成器/抗体医薬/機械学習/データ駆動型/ドラッグリポジショニング/トランスクリプトーム/医療支援/画像AI/がん診断/スマートセル/シングルセル解析/進化分子工学/バイオプロセス/培地/発酵微生物/酵素/タンパク質/AlphaFold/ペプチド/フードテック/3Dプリンター/味覚センサ

刊行にあたって

 2018 年に『AI 導入によるバイオテクノロジーの発展』を出版した。その際,お世話になったこの出版社の井口氏から,2024 年の夏に,その続編をつくりたいとのお申し出を受けた。最初は,懐疑的であった。なぜなら,まだ,バイオテクノロジー業界では,尚早感があったからである。すこし,考慮しているときに,ノーベル賞の物理学賞と化学賞にこの関係の方の受賞の一報が入ってきた。
 これには,少し正直びっくりした。なぜなら,こんなに早くビッグな賞が出るとは,である。確かに,半導体の進化による高度化と量産化によるコンピュータの記憶容量の高度化やクラウドシステムの進化,さらには,量子コンピュータの発展と稼働を目の当たりにすると,昨今の生成AI によるオープンAI やディープシーク社の起業や巷にチャットAI やアルファー碁やチャットAI 搭載スマートフォンの手軽さは,擬人的には,AI からするとその発展は「思うつぼ」である。
 バイオ研究の中心である生命や生物現象の解析は,次世代シークエンサーによる研究対象生物のゲノム配列は既読状態からスタートしつつあり,ゲノム解析技術の進歩に加えて,高性能ナノ分離や高度なイメージング質量分析など,多くの高度機器分析の進化もあり,生命を構成する分子を網羅的に解析する,いわゆるゲノミクス,トランスクリプトミクス,プロテオミクス,メタボロミクス,セロミクスを統合したセルオミックス時代は,シングルセル解析時代を迎えている。ゲノム集積データは膨大になり,「ビッグデータ」もその資質が問われる時代である。いかに,その集積したデータを何をもって整備するか。何をもって実践配置するか。社会では,多くの現況解析を数値データ化し,「空間」とともに,「時間」という要素の取り込みにより,「動態のデジタル」解析へのシフトが進みつつある。まさに,どのデータとどのデータを結びつければ,種々の社会現象や生命現象などが結びついて解析できるか,など,まさに,ディープラーニングとそのアウトプットを検証できるデータサイエンスの世の中が出現しつつある。これまで漠然としてとらえどころのなかった人間の精神的な領域として分類されていた領域までもが,ニューラルネットワーク研究の対象として発展し,ヒト脳機能の分子レベルでの詳細研究が現実化してきている。また,ヘルスケア領域は,AI を導入して個人個人の「ありのまま」の状態を総合解析していく研究領域へと展開しつつある。
 バイオデータベースをもとに,生命のビッグデータの情報を,積極的に,かつ,論理的にも整理し,それから導き出す新しい成果や概念を,産学官の医療・創薬・モノづくり・環境などの新しい展開研究や実用的な製品にしていく時代が来ている。
 監修者が主宰する京都バイオ計測センター(http://www.astem.or.jp/kist‒bic/)でも,データサイエンスの最新動向を整理して,AI 技術を含む人材育成も含めて産学官の研究者に提供していかねばならないと痛感している。
 本著では,これらの経緯をふまえてAI 導入が浸透しつつあるバイオテクノロジーの発展に携わっておられる方々に,ご執筆の依頼をさせていただきました。ご執筆頂いた先生方には,この場をお借りして深謝いたします。読者の方々には,是非,この機会に本著を利用して,AI に飲み込まれないAI を超えた研究領域の創成に役立つことを願います。

京都大学
植田充美

著者一覧

植田充美   京都大学 
増田咲希   東京科学大学 
佐久間智也  東京科学大学
大谷悠喜   東京科学大学
清水秀幸   東京科学大学 
海東和麻   (国研)産業技術総合研究所 
滝沢秀季   中外製薬㈱ 
寺本礼仁   中外製薬㈱
山口秀輝   中外製薬㈱
竹内孝輔   第一三共㈱ 
国本 亮   第一三共㈱ 
芹沢貴之   第一三共㈱ 
齊藤隆太   田辺三菱製薬㈱ 
矢野直子   田辺三菱製薬㈱ 
團野宏樹   ㈱ナレッジパレット 
福田雅和   ㈱ナレッジパレット 
牛山文仁   SyntheticGestalt㈱ 
桜田一洋   慶應義塾大学;(国研)理化学研究所;大阪大学 
森 健策   名古屋大学 
小田昌宏   名古屋大学
阿尻大雅   東京科学大学 
安井隆雄   東京科学大学 
有馬彰秀   名古屋大学 
筒井真楠   大阪大学 
川合知二   大阪大学 
馬場嘉信   (国研)量子科学技術研究開発機構;名古屋大学 
厨 祐喜   (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所 
渡邉直暉   (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
荒木通啓   (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所 
細川正人   早稲田大学;bitBiome㈱
河合哲志   ㈱ちとせ研究所 
伊藤智之   東北大学   
梅津光央   東北大学 
長森英二   大阪工業大学 
小西正朗   北見工業大学 
鈴木 崇   ㈱島津製作所 
二井手哲平  大阪大学 
戸谷吉博   大阪大学 
清水 浩   大阪大学 
緒方法親   ㈱日本バイオデータ;大阪大学;次世代バイオ医薬品製造技術研究組合
渡辺賢二   静岡県立大学;㈱アデノプリベント 
青木聡樹   静岡県立大学
松下拓磨   北里大学 
齋藤 裕   北里大学;(国研)産業技術総合研究所;東京大学
桑原直之   SyntheticGestalt㈱ 
福田宏幸   ㈱ちゃんフク
畑 宏明   三井情報㈱  
鵜澤尊規   (国研)理化学研究所 
プンポンサノン パリンヤ  埼玉大学 
鈴木隆一   OISSY㈱

目次 +   クリックで目次を表示

第1章 バイオテクノロジーにおける一里塚
1 はじめに
2 データサイエンスの現況と問題点
3 次世代に向けた生命現象解析
4 今後の展開

第2章 医薬との融合
1 創薬におけるAI技術の躍進:低分子からゲノム創薬・核酸医薬,そして量子創薬まで
 1.1 はじめに
 1.2 AIによる創薬プロセスの革新
 1.3 AI創薬の課題と克服に向けた取り組み:ADMET予測の重要性
 1.4 AIによるタンパク質医薬品設計の革新
 1.5 AIが加速するゲノム創薬
 1.6 AIが拓く核酸医薬の新時代
 1.7 量子コンピューティング創薬の夜明け
2 構造生成器の基本的な考え方と具体例~セレンディピティ創出に向けて~
 2.1 背景
 2.2 構造生成器の基本
 2.3 ルールベース型構造生成器の具体例:LigBuilder
 2.4 ニューラルネットワーク型構造生成器の具体例:ChemicalVAE
 2.5 ニューラルネットワーク型構造生成器の具体例:REINVENT
 2.6 融合型構造生成器の具体例:EMPIRE
 2.7 まとめと今後の展望
3 抗体医薬品設計のための機械学習技術
 3.1 抗体医薬品設計のプロセスと機械学習
 3.2 リード抗体最適化プロセスへの機械学習技術の適用
 3.3 リード抗体最適化プロセスへのTPEを用いたオフラインMBOの適用
4 データ駆動型の創薬化学研究の現状
 4.1 はじめに
 4.2 創薬研究におけるデータおよびAIの活用
 4.3 創薬化学からデータ駆動型創薬化学へ
 4.4 製薬企業の目指すべき次世代の創薬化学研究
 4.5 データ駆動型創薬化学推進のための組織結成とミッション
 4.6 継続したデータ活用を実践するために
 4.7 データ駆動型創薬化学への転換の効果
 4.8 おわりに:まとめと今後の展望
5 データ駆動型ドラッグリポジショニング
 5.1 はじめに
 5.2 データ駆動型DRの概要
 5.3 代表的なDR手法とその現状
  5.3.1 標的分子予測
  5.3.2 遺伝子発現変動プロファイル・トランスクリプトーム解析
  5.3.3 自然言語処理・分散表現
 5.4 ネトグリタゾンのDR研究事例
 5.5 おわりに
6 大規模トランスクリプトーム情報を活用した細胞制御技術で新たな創薬へ挑む
 6.1 背景
 6.2 細胞のビッグデータを取得する技術
 6.3 細胞のビッグデータを活用して細胞を制御する技術
 6.4  結び
7 AI を活用した化合物設計
 7.1 はじめに
 7.2 AI創薬の現状
 7.3 従来の創薬プロセスにおけるAI活用
 7.4 AIを活用した化合物設計手法
  7.4.1 バーチャルスクリーニング
  7.4.2 物性・ADMETプロパティ予測
  7.4.3 マルチパラメータ最適化
  7.4.4 タンパク質-リガンド相互作用の予測
  7.4.5 分子生成(de novo分子設計)
  7.4.6 合成可能性予測
 7.5 AI化合物設計の実践的応用
  7.5.1 ヒット化合物同定におけるAI/MLモデル活用の最新動向
  7.5.2 最新のAIツールと統合プラットフォーム
  7.5.3 基盤モデルの台頭
 7.6 今後の展望と課題
 7.7 おわりに

第3章 医療との融合
1 疾患経過のモデリングと患者のデジタルツイン
 1.1 要旨
 1.2 はじめに
 1.3 ライフコースデータの計算可能な形式での表現
 1.4 機械学習を用いた状態識別による疾患診断の再定義
  1.4.1 状態の分布と多様体仮説
  1.4.2 機械学習による診断
  1.4.3 自己教師あり学習による診断と予後予測
 1.5 おわりに
2 機械学習と医療支援
 2.1 はじめに
 2.2 AI・機械学習と医療支援
  2.2.1 AI/機械学習を用いた医療支援
  2.2.2 AI/機械学習を用いた医療支援の例
 2.3 むすび
3 画像AIによる診断支援
 3.1 はじめに
 3.2 CADで活用される画像処理
 3.3 画像モダリティとAI適用の難易度
 3.4 COVID-19診断支援
 3.5 前眼部診断支援
 3.6 むすび
4 ナノワイヤとAIによる尿中マイクロRNA解析と早期がん診断
 4.1 はじめに
 4.2 リキッドバイオプシーによる診断
 4.3 細胞外小胞の分離方法
 4.4 ナノワイヤデバイスによる細胞外小胞の分離回収
 4.5 ナノワイヤデバイスを用いた尿中マイクロRNAの抽出
 4.6 がん検出のためのマイクロRNAの特定
 4.7 機械学習を用いたがん診断性能の検証
 4.8 有機ナノワイヤシートによるマイクロRNA解析
 4.9 おわりに
5 AIを利用したナノポアによるインテリジェントセンシング
 5.1 はじめに
 5.2 ナノポア計測
 5.3 機械学習を利用した有害微粒子の識別
 5.4 ディープインテリジェントセンシングによる1粒子解析
 5.5 おわりに

第4章 微生物との融合
1 スマートセルの効率的創製に向けた情報解析技術とAI活用
 1.1 はじめに
 1.2 代謝モデルとその構築
 1.3 代謝シミュレーション
 1.4 深層学習を用いた酵素機能予測
 1.5 酵素機能予測モデルを活用した酵素探索
 1.6 おわりに
2 微生物シングルセル解析技術bit‒MAPⓇと大規模ゲノムデータが拓くバイオものづくりへの道
 2.1 はじめに
 2.2 未培養微生物ゲノム解析の二つのアプローチ
 2.3 シングルセル解析からbit‒MAPへの発展
 2.4 大規模遺伝子データの蓄積と活用
 2.5 酵素探索のための統合的アプローチ
 2.6 バイオものづくりの未来に向けて
3 AIを活用したデータ駆動型のバイオ生産管理システムの開発
 3.1 データ駆動型の生産管理システム
 3.2 バイオ生産管理システムの現状
 3.3 データ駆動のバイオ生産管理に求められるデータ
 3.4 AIを活用したバイオ生産の改善事例
 3.5 データ駆動型管理システムの将来像
4 機械学習を取り入れた実験的操作によるタンパク質の機能改変・創出
 4.1 はじめに
 4.2 配列空間内の探索課題
 4.3 配列空間の探索への機械学習の利用
 4.4 少ない実験データを用いた機械学習による配列空間の探索
 4.5 大規模配列空間からの間接的紐づけ教師データによる機械学習
 4.6 さいごに
5 AI 駆動のバイオプロセスに資するDXアプリの開発と展望
 5.1 バイオものづくりに新規参入するむずかしさ
 5.2 産業のバイオ化を加速するための仕組み・拠点
 5.3 培養データ解析支援アプリの開発と実装
 5.4 培養の再現性を高め,質の良いデータを蓄積
 5.5 産業バイオ人材の育成(NEDO特別講座)
6 AIを活用した培地の解析と設計
 6.1 はじめに
 6.2 天然系成分を含む培地の解析技術
 6.3 培地組成の最適化
 6.4 おわりに
7 LCMS培地分析×AIによる細胞培養の条件最適化
 7.1 はじめに
 7.2 培養上清代謝物の多成分一斉分析手段とその課題
 7.3 エピストラ社AI自動実験最適化システム Epistra Accelerate
 7.4 培養最適化支援ソフトウェア CellTune
  7.4.1 特徴量抽出モジュール
  7.4.2 AI自動最適化モジュール
 7.5 CellTuneの効果検証
  7.5.1 添加培地成分の抽出
  7.5.2 AI自動最適化モジュールを用いたFeed培地組成の濃度最適化
 7.6 おわりに
8 代謝改変のための計算手法を援用した酵素基質特異性の調節と新機能開拓
 8.1 はじめに
 8.2 遷移状態の安定化による酵素活性創出
 8.3 基質特異性決定残基の推定と機能変換
 8.4 おわりに
9 AIによる発酵微生物食品の歩留まり改善と品質予測
 9.1 はじめに
 9.2 情報理論の応用の探索
 9.3 トランスクリプトームの熵と生命現象の接続
 9.4 部分トランスクリプトームの熵
 9.5 再解析研究の問題とトランスクリプトームの熵の普及
 9.6 脱分化研究のオリジン
 9.7 トランスクリプトームの熵と細胞状態の逆転
 9.8 Liberalityがクリティカルであるかどうか
 9.9 食品科学におけるLiberalityの利用

第5章 酵素・タンパク質との融合
1 AIによる高機能化酵素の創出
 1.1 はじめに
 1.2 酵素改変
 1.3 おわりに
2 AIを活用した酵素探索と酵素機能改変
 2.1 はじめに
 2.2 産業応用と成功事例
 2.3 機械学習による酵素工学の革新
  2.3.1 機械学習による酵素探索
  2.3.2 機械学習による酵素機能改変
 2.4 DBTLサイクルの機械学習との融合
 2.5 今後の展望と課題
3 タンパク質工学における深層学習の進展
 3.1 はじめに
 3.2 深層学習モデルの基本構造
 3.3 特徴抽出レイヤーと事前学習
 3.4 事前学習モデルによるゼロショット予測
 3.5 機能予測から設計へ:配列空間の探索
 3.6 ハルシネーション:立体構造予測の設計への応用
 3.7 立体構造ベースの生成モデル
 3.8 今後の展望
4 AlphaFold等のタンパク質立体構造予測モデルの応用
 4.1 タンパク質立体構造予測の歴史とAlphaFold
 4.2 AlphaFoldの応用
  4.2.1 創薬への応用:予測構造に基づくドラッグデザイン
  4.2.2 タンパク質複合体予測とタンパク質間相互作用(PPI)
  4.2.3 天然変性タンパク質(IDP)への応用
  4.2.4 タンパク質デザインとバイオテクノロジーへの応用
  4.2.5 遺伝子変異解析への応用
 4.3 AlphaFold3の誕生と今後の課題
  4.3.1 AlphaFold3と関連モデル
  4.3.2 タンパク質の立体構造予測の課題
 4.4 結論
5 AlphaFoldによるタンパク質立体構造予測の創薬応用
 5.1 はじめに
 5.2 タンパク質の構造データ
 5.3 AlphaFoldの利用方法
 5.4 AlphaFoldの創薬研究での活用事例
 5.5 今後の課題
6 機械学習とMDシミュレーションを融合した細胞膜透過ペプチドの創出:Pep‒MDの設計,評価,そして特性解析
 6.1 はじめに
 6.2 細胞膜透過ペプチドの探索
 6.3 機械学習を用いた細胞膜透過ペプチドの創出
 6.4 ニューラルネットワークおよびMDシミュレーションを用いたペプチドの絞り込み
 6.5 MDシミュレーションを機械学習の評価に組み込む意義
 6.6 Pep‒MDの細胞毒性および細胞膜透過性の評価
 6.7 MDシミュレーションを組み込んだ細胞膜透過ペプチド創出パイプラインの意義

第6章 フードテックとの融合
1 フード3DプリンターとAIによる計算フードテクスチャ
 1.1 はじめに
 1.2 フード3Dプリンターと人工知能
  1.2.1 フード3Dプリンター
  1.2.2 人工知能(AI)
 1.3 フード3DプリンターとAIの最近の進歩新しいディング体験に向けて
 1.4 クロージングノート
2 AI味覚センサーレオの原理と活用
 2.1 はじめに
 2.2 電気化学とアンペロメトリック
 2.3 ニューラルネットワークを用いたAI解析
 2.4 香り数値化へのアプローチ
 2.5 分析事例
 2.6 あとがき