キーワード:
シランカップリング剤/界面制御/接着・密着性/表面改質/反応メカニズム/加水分解・縮合反応/FT-IR解析/分析・評価技術/純度・定性・定量分析/界面構造解析/シミュレーション/第一原理計算/耐久性評価/有機無機ハイブリッド/複合材料/金属接着/ゴム材料/半導体応用/医療・歯科材料/撥水性表面
刊行にあたって
ケイ素化学関連の画期的な発展の時期は,比較的近年であることからはっきりしているものが多いが,本年(2025 年)で,有機ケイ素材料の原料となりうるメチルクロロシランの単体ケイ素からの簡便な合成法(直接法)をE. G. Rochow が発表してから85 年,シランカップリング剤が開発されてから70 年になる。ケイ素化学は,有機化学と比較し概ね100 年程度遅れての発展となる。有機化学は,まず基礎的な研究成果の蓄積があって理論が確立し,その後戦後の産業革命を通じて工業化が進んだため,研究を行う上での参考書も数多く存在する。一方で,ケイ素化学はアメリカとドイツの企業を中心に実用化研究から展開していき,産業として確立した後に基礎科学の研究が行われてきたため,全分野において参考となる教科書が存在しない。
シランカップリング剤も,次世代電子材料用途で特に広く研究が行われているものの,反応メカニズムや分析についての参考書がなかったために,研究者にとって不便な状態が続いていた。本書は,基礎編と応用編に分かれ,それぞれ先端研究者により多数の項目についての記述がある。今後研究を進めるうえで必携の1 冊となると考えている。
基礎編では,シランカップリング剤を構成するケイ素の元素物性から,反応メカニズム,具体的な使用方法,反応解析と分析法やシミュレーションなどがわかりやすくまとめられている。応用編では,具体的な材料への展開をふまえ,各種材料との反応と効果,物性の発現などが詳細にまとめられている。研究を進めながら,必要な項目を参照し,合わせて関連する内容についても読んでいただくことで,理解が深まっていくであろう。
群馬大学
海野雅史
著者一覧
刘 雨佳 群馬大学
山田保治 FAMテクノリサーチ
高木一憲 信越化学工業㈱
佐藤正秀 宇都宮大学
中本順子 ㈱KRI
奥村治樹 ジャパン・リサーチ・ラボ;群馬大学;大阪産業大学;滋賀県産業支援プラザ;京都産業21
竹本紀之 ㈱東レリサーチセンター
岩崎富生 ㈱日立製作所
平原英俊 岩手大学
桑 静 岩手大学
尾形修司 名古屋工業大学
河合 晃 アドヒージョン㈱
中北一誠 ザイミックス㈱
佐藤慶介 東京電機大学
細井厚志 早稲田大学
宮前孝行 千葉大学
上辻靖智 大阪工業大学
二瓶智太郎 神奈川歯科大学;神奈川歯科大学附属病院;関東学院大学
田淵 穣 DIC㈱
岡田哲周 (地独)大阪産業技術研究所
門多丈治 (地独)大阪産業技術研究所
平野 寛 (地独)大阪産業技術研究所
上利泰幸 (一社)大阪工研協会
大谷直毅 同志社大学
吉田直哉 工学院大学
目次 - クリックで目次を閉じる
1 ケイ素について
1.1 ケイ素の元素特性
1.2 シランカップリング剤の構成元素としてのケイ素
2 シランカップリング剤について
2.1 シランカップリング剤の構造
2.2 シランカップリング剤の歴史
2.3 シランカップリング剤の機能と応用
2.4 シランカップリング剤の作用原理
3 次世代シランカップリング剤について
3.1 新しいシランカップリング剤〜構造規制シラノール
第2章 基礎編
1 シランカップリング剤の基礎
1.1 はじめに
1.2 シランカップリング剤の種類と構造
1.2.1 シランカップリング剤原料の製造法
1.2.2 シランカップリング剤の製造法
1.2.3 シランカップリング剤の種類と構造
1.2.4 その他のシランカップリング剤
1.2.5 シランカップリング剤の熱安定性
1.3 シランカップリング剤の機能と反応
1.3.1 シランカップリング剤の機能
1.3.2 シランカップリング剤の反応
1.4 シランカップリング剤の反応メカニズム
1.4.1 酸触媒による加水分解・縮合反応メカニズム
1.4.2 塩基(アルカリ)触媒による加水分解・縮合反応メカニズム
1.5 おわりに
2 各種シランカップリング剤の使用例と新規開発品の紹介
2.1 はじめに
2.2 シランカップリング剤の使用方法
2.2.1 シランカップリング剤による無機フィラーの表面処理
2.3 各種シランカップリング剤の使用例
2.3.1 ビニルシランの使用例
2.3.2 エポキシシランの使用例
2.3.3 アミノシランの使用例
2.3.4 (メタ)アクリルシランの使用例
2.3.5 メルカプトシランの使用例
2.3.6 イソシアネートシランの使用例
2.4 新規開発品
2.4.1 長鎖スペーサー型シランカップリング剤
2.4.2 多官能基型シランカップリング剤
2.5 おわりに
3 シランカップリング剤の反応メカニズム
3.1 加水分解反応と重縮合反応
3.2 シランカップリング反応に影響を及ぼす因子
3.2.1 前処理(表面洗浄および親水化)
3.2.2 加水分解・重縮合反応に及ぼすpH の影響
3.2.3 溶媒,反応物濃度の影響
3.2.4 反応環境(気相・液相)の影響
3.3 反応制御によるシランカップリング均質改質表面/不均質改質表面の創成
4 FT-IRによるシランカップリング剤の反応解析
4.1 赤外分光法(FT-IR)について
4.2 シランカップリング剤処理液の分析
4.2.1 透過法での測定
4.2.2 1回反射ATR法での測定
4.2.3 シランカップリング剤反応液の分析例
4.3 シランカップリング剤処理した粉末の分析
4.3.1 拡散反射法での測定
4.3.2 1回反射ATR法での測定
4.3.3 シランカップリング剤で処理したフィラーの分析例
4.4 IR分析の利点と課題
5 シランカップリング処理の分析評価
5.1 シランカップリング反応の解析に用いる主な分析手法
5.2 シランカップリング反応の分析評価
5.3 シランカップリング反応の評価に用いる分析手法
5.3.1 X線光電子分光法(XPS)
5.3.2 飛行時間型2次イオン質量分析(TOF-SIMS)
5.3.3 フーリエ変換赤外分光法(FTIR)
5.3.4 走査型プローブ顕微鏡(SPM)
5.4 シランカップリング反応の分析評価における注意点
6 シランカップリング剤の分析(純度・定性・定量)
6.1 はじめに
6.2 GC分析について
6.3 純度分析について
6.4 定性分析について
6.5 定量分析について
6.6 まとめ
7 シランカップリング剤界面の密着性予測シミュレーション
7.1 材料選定および材料設計のための密着性解析の重要性
7.2 材料設計における高効率化の課題
7.3 カップリング剤との密着強度に優れた金属箔を設計する解析モデル
7.4 解析方法
7.4.1 分子動力学法による密着強度の解析手法
7.4.2 タグチメソッドによる直交表を用いた感度解析の方法
7.5 解析結果および考察
7.5.1 密着強度の感度についての解析結果
7.5.2 設計指針および結果の考察
7.6 機械学習による最適設計
7.7 実験との比較
7.8 おわりに
8 シランカップリング剤の反応性と接着界面の解析
8.1 分子接合技術のものづくりにおける必要性
8.2 水晶発振子マイクロバランス法によるシランカップリング剤(TES)の吸着解析
8.3 射出同時成形接着による銅と熱可塑性樹脂の複合体の接着
8.3.1 金属板表面上のTES吸着状態および金属板とPPS樹脂の複合体の接着強度
8.3.2 TES 処理銅板とPPSからなる複合体のAFM‒nanoIRによる界面分析
8.4 まとめ
9 シランカップリングのpHに依存した耐久性低下に関する第一原理シミュレーション
9.1 はじめに
9.2 SCAが結合したHO終端化SiO2のモデル化
9.3 SCAが結合したHO終端化SiO2のpKa計算法
9.4 全原子DFTを用いたSCA結合HO終端化SiO2のpKa予測
9.5 SCAとHO終端化SiO2との共有ボンドの切断に関するpH依存のバリアエネルギー
9.6 まとめ
10 シランカップリング剤の評価と半導体分野への応用
10.1 半導体産業におけるシランカップリング処理
10.2 濡れ性によるカップリング処理表面の評価
10.3 プロセス条件の最適化
10.4 処理装置の構成および最適化
10.5 HMDS処理による基板上の付着性コントロール
10.6 剥離トラブル
10.7 膜形成
10.8 おわりに
第3章 応用編
1 シランカップリング剤のゴムへの活用
1.1 シランカップリング剤の反応メカニズム
1.2 シランカップリング剤とシリカ配合
1.3 カーボンに代わってシリカの配合
1.4 シランカップリング剤の使用
1.5 混合技術
1.6 シリカ配合ゴム用シランカップリング剤
2 Si ナノワイヤ/ポリマー複合太陽電池の性能における極性有機溶媒およびシランカップリング剤の効果
2.1 はじめに
2.2 極性有機溶媒処理の効果
2.3 シランカップリング剤添加処理の効果
2.4 おわりに
3 シランカップリング処理によるアルミニウム合金とCFRTPの接合強度向上
3.1 はじめに
3.2 試験方法
3.2.1 供試材料
3.2.2 シランカップリング処理および試験片の成形
3.2.3 静的引張せん断試験
3.2.4 FT-IR によるシランカップリング剤の構造評価
3.2.5 接合界面の成分分析
3.2.6 量子化学計算による構造の最適化と振動数計算
3.3 試験結果
3.3.1 引張せん断強度及びFT-IRの評価結果
3.3.2 接合界面の成分分析の評価結果
3.3.3 量子化学計算による結果
3.4 おわりに
4 シランカップリング剤を用いた表面改質,界面接着強度の解析
4.1 はじめに
4.2 撥液性材料としてのシランカップリング剤表面の解析
4.2.1 SFG分光によるシランカップリング剤コート表面の撥液性解析
4.2.2 シランカップリング剤コート表面における分子鎖の偏析と撥液性
4.3 接着性を高める材料としてのシランカップリング剤挙動の解析
4.3.1 シランカップリング剤を混合した接着剤界面での分子の偏析と接着性
4.3.2 シランカップリング剤を金属保護膜とした時の表面での接着挙動
4.4 おわりに
5 金属の接着強度に及ぼすシランカップリング剤分子の効果
5.1 はじめに
5.2 接着強度試験
5.2.1 材料および試験方法
5.2.2 シングルラップ引張せん断試験
5.2.3 H型引張試験
5.3 第一原理計算
5.3.1 直接負荷試験
5.3.2 凝集エネルギー
5.4 まとめ
6 シランカップリング層の劣化抑制を目指した改質剤の創製とコンポジットレジンへの応用
6.1 歯科領域におけるシランカップリング剤の活用
6.2 加水分解によるシランカップリング層の劣化
6.3 疎水性シランカップリング剤の開発
6.3.1 フルオロカーボン鎖を有するシランカップリング剤を添加した混合シランカップリング剤の効果
6.3.2 メタクリロイル基とフルオロカーボン鎖を含有するブランチなシランカップリング剤の効果
6.3.3 フェニル基含有シランカップリング剤の効果
6.3.4 フルオロカーボンとフェニル基を含有するシランカップリング剤の効果
6.4 抗菌性シランカップリング剤の開発
6.5 歯科医療におけるシランカップリング剤の重要性
7 シランカップリング剤を用いた表面化学修飾
7.1 はじめに
7.2 表面修飾の必要性
7.3 シランカップリング剤
7.4 シランカップリング剤を用いた表面化学修飾
7.5 シランカップリング剤の選択
7.6 シランカップリング剤のハンドリング
7.6.1 加水分解触媒およびpH
7.6.2 撹拌速度・処理時間
7.6.3 処理温度
7.6.4 種類および添加量
7.7 湿式ジェットミル
7.8 ナノコンポジットの作製
7.8.1 ナノコンポジット塗料の作製
7.8.2 溶融混練ナノコンポジットの作製
7.9 おわりに
8 シランカップリング剤で修飾した窒化ホウ素粒子複合エポキシ樹脂の複合構造の変化と熱伝導率への影響
8.1 はじめに
8.2 シランカップリング剤によるh‒BN粒子表面の修飾
8.2.1 走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察
8.2.2 浸透速度法によるぬれ性評価
8.2.3 カップリング剤被覆量と被覆形式の評価
8.3 h‒BN粒子複合エポキシ樹脂の複合構造および熱伝導率の評価
8.3.1 複合エポキシ樹脂中のh‒BN粒子の配向度
8.3.2 複合エポキシ樹脂の空隙率
8.3.3 複合エポキシ樹脂の熱伝導率
8.4 おわりに
9 チオール‐エン反応による有機無機ハイブリッド材料の作製
9.1 序論
9.2 実験方法カップリング剤のハンドリング
9.2.1 チオール‐エン反応
9.2.2 試料作製
9.3 結果と考察
9.3.1 シランカップリング剤MPS加水分解反応の確認
9.3.2 紫外光照射によるDCMへの影響
9.3.3 チオール‐エン反応の確認
9.3.4 吸光度測定
9.3.5 PL測定
9.4 まとめ
10 シランカップリング剤を用いた撥水性表面の作製
10.1 はじめに
10.2 アルキルシランによる撥水処理
10.3 フルオロアルキルシランによる撥水処理
10.4 反応性の比較
10.5 静的・動的撥水性とその制御因子
10.6 まとめおよび今後の展望
シランカップリング剤の最新技術動向
価格(税込): 58,300 円
エポキシ樹脂の機能と活用動向
価格(税込): 66,000 円
フッ素系材料とケイ素系材料の技術と市場
価格(税込): 88,000 円
最新フォトレジスト材料開発とプロセス最適化技術《普及版》
価格(税込): 5,280 円
自動車への展開を見据えたガラス代替樹脂開発《普及版》
価格(税込): 4,620 円
高分子材料の表面改質技術
価格(税込): 61,600 円










