キーワード:
化粧品素材開発/医薬部外品/非侵襲評価法/網羅的解析技術/動物実験代替法/in vitro/ex vivo/ヒト摘出皮膚/皮膚老化/安全性評価/有用性評価/再生皮膚モデル/色素斑形成/角層研究/抗炎症/抗老化/抗酸化/アンチエイジング/心理的ストレス
刊行にあたって
本書は,2015年に発刊した『化粧品技術者のための素材開発実験プロトコール集』の改訂版として企画されたものです。
前書の発刊以降,顕在化している現象を非侵襲的に可視化する手法や,網羅的に解析する技術が一般化するなど,著しい技術的進歩が見られました。
また,化粧品・医薬部外品を取り巻く環境においては,2009年のEU化粧品指令第7次改正を契機とした動物実験禁止への対応が進み,多くの動物実験代替法が開発され,OECDガイドラインとして整備されてきました。さらに日本においても,これらの代替法に基づくデータを,新規素材の承認申請における安全性評価データとして活用する動きが進みつつあります。
一方で,有用性評価の分野においては,動物実験禁止の影響は依然として大きく,素材評価は主としてin vitro評価系―すなわち単層培養細胞や再生皮膚モデルを用いた評価―に依存しているのが現状です。これらのin vitro評価系は,素材の有用性を見極める上では有効であるものの,ヒト皮膚に適用した際の効果(in vivo効果)を保証する適用濃度を検証することは困難です。近年では,このin vitro評価とin vivo効果の乖離を補完する手法として,ヒト摘出皮膚を用いたex vivo評価の重要性が認識されつつあります。
さらに,医薬部外品領域においては,「シワを改善する」という抗シワ効能・効果が承認されました。国際的にも,化粧品の有用性評価の概念はアンチエイジングからlongevity(長寿)へと広がりを見せています。
そこで本改訂版では,総論として,これらの科学技術の進展に伴う非侵襲的評価法,網羅的解析技術,安全性評価における動物実験代替法の現状に加え,角層,色素斑形成,皮膚老化に関する最新知見を整理しました。さらに各論では,新たに注目されているin vitro評価およびex vivo評価に関する各種実験手法について,その原理を含め,操作方法をわかりやすく解説しています。
本書が前版とともに,化粧品開発に携わる研究者の皆様にとって,有用性および安全性評価に関する方向性の立案,実験の実施の一助となれば幸いです。
正木 仁
(本書「はじめに」より)
著者一覧
平尾哲二 武庫川女子大学
仁木洋子 武庫川女子大学
吉田雅紀 東京工科大学
平修 福島大学
小島肇夫 山陽小野田市立山口東京理科大学
水谷多恵子 ㈱CIEL
井筒ゆき子 ㈱CIEL
鈴木咲紀 ㈱成和化成
天野聡 SA皮ふラボ
徳留嘉寛 佐賀大学
太田広毅 ㈱インテグラル
田邊瑞穂 丸善製薬㈱
鶴田純将 DRC㈱
安藤秀哉 岡山理科大学
中西智洋 香栄興業㈱
金澤奈奈江 香栄興業㈱
岩橋弘恭 丸善製薬㈱
山脇裕美子 ㈱CIEL
閆智群 丸善製薬㈱
遠藤香凜 東京科学大学
多田明弘 ㈱ポーラ
林祥太 丸善製薬㈱
笠原利彦 富士フイルム㈱
藤田正晴 富士フイルム㈱
山本裕介 富士フイルム㈱
目次 - クリックで目次を閉じる
第1章 最近の角層研究の動向
1 はじめに 角層の恒常性
2 プロテアーゼとpH
3 Corneocyte lipid envelope形成メカニズム
4 おわりに
第2章 最近の色素斑形成研究の動向
1 序論:色素斑研究の変遷
2 表皮-真皮クロストーク
2.1 線維芽細胞によるパラクリン制御の破綻:Wntシグナルの変調
2.2 基底膜の脆弱化
2.3 血管新生
3 細胞老化と炎症:SASPと「炎症性老化」の影響
3.1 シミ部位における老化細胞の蓄積とNF-κB経路
3.2 SASPによる影響
4 細胞内ロジスティクス:輸送と分解のメカニズム
4.1 メラノソーム輸送システム
4.2 オートファジーとメラノファジーの機能低下
5 新たな外的・内的因子:ブルーライト,大気汚染物質,神経
5.1 ブルーライトとOpsin 3シグナル
5.2 大気汚染物質とAhR受容体
5.3 神経系と「ストレス誘発性色素沈着」
6 結論:今後の展望
第3章 最近の皮膚老化研究における動向
1 はじめに
2 個体老化のホールマーク
3 皮膚の老化,見た目の変化
4 細胞老化
5 細胞老化と皮膚老化,見た目の変化との関連性
5.1 老化細胞の皮膚での存在
5.2 老化細胞の見た目の変化への作用
6 最近の抗老化の方向性 老化細胞の制御
6.1 老化細胞の除去senolysis
6.2 老化細胞の正常細胞への復帰
7 まとめ
第4章 初心者に役立つRNA-seq解析-得られたデータから何ができるのか?-
1 はじめに
1.1 NGSで何がわかるのか
1.2 スプライシング位置や定量
1.3 変異頻度や位置の測定
2 RNA-seq
2.1 RNA-seqとは?
2.2 解析の方法
3 Rを用いた各種統計解析
3.1 R環境のセットアップ
3.2 Rに各種のアプリをダウンロードする
3.3 統計解析
3.4 heatmapを作る
3.5 PCA分析(Principal Component Analysis:主成分分析)とプロット像の作成
3.6 Volcano plotの作成 遺伝子のピックアップ
第5章 イメージング質量分析技術の皮膚への展開
1 はじめに
2 イメージング質量分析(Imaging Mass Spectrometry,IMS)
3 IMSの基本原理と測定フロー
4 ナノ微粒子支援型質量分析(Nano-PALDI)
5 IMSの応用事例
5.1 食品の機能性成分のIMS(キャベツのスルフォラファン)
5.2 角質・テープストリッピングのナノ微粒子支援型IMS
5.3 毛髪のナノ微粒子支援型IMSと皮膚IMS
6 まとめ
第6章 化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンスの留意点
1 はじめに
2 OECDで採用されている置き換え試験
3 置き換え試験とその利用上の留意点
3.1 皮膚感作性評価
3.2 眼刺激性評価
4 まとめ
<各論>
第1章 角層・表皮分化関連実験法
1 角層タンパク質定量法
2 SH基とSS結合の多重蛍光ラベル
3 角層細胞のデスモグレイン1(DSG1)の可視化 免疫染色
4 角層細胞タンパク質の官能基の蛍光ラベル 官能基の可視化
5 角層細胞の疎水性評価法
6 角層細胞コーニファイドエンベロープの成熟度の評価
7 2D培養表皮細胞,再生表皮モデルの分化マーカータンパク細胞免疫染色法
8 正常ヒト表皮角化細胞を用いた17型コラーゲンの検出法:ウエスタンブロット法と免疫蛍光染色法
9 表皮角化細胞が産生する基底膜構成成分Ⅳ型,Ⅶ型コラーゲン,ラミニン332の定量法
10 三次元培養表皮モデル中のセラミド分析法(LC/MS/MS法)
11 培養表皮細胞のタイトジャンクション関連タンパクの細胞免疫染色と機能測定法
12 培養表皮モデルを用いたTEWL計測方法(Tewitro)
第2章 抗炎症関連実験法
1 皮膚微弱炎症を反映する角層IL-1ra/IL-1α比の測定
2 過酸化スクワレンにより誘導される薄毛原因物質PGD2産生抑制作用の評価法
第3章 色素関連実験法
1 メラノソーム移送阻害評価法
2 色素細胞からのメラノソーム単離法
3 表皮細胞内におけるメラノソーム分解実験法
4 ヒト摘出皮膚と皮膚モデルの紫外線による黒化誘導
第4章 抗老化研究実験法
1 老化線維芽細胞の調製法(H2O2およびUVA)
2 老化細胞除去作用の評価(Senolysis)
3 コラーゲン取込受容体:Endo180産生促進作用の評価法
4 弾性線維形成と可視化法
5 Ⅰ型コラーゲン線維形成と可視化法
6 糖化処理した線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲン産生低下を抑制する素材の評価法
7 摘出皮膚のⅠ型コラーゲン新生評価法
第5章 抗酸化関連実験法
1 細胞内活性酸素の測定法
2 細胞内抗酸化システムの増強作用の評価法Nrf2活性化から細胞内グルタチオンの定量
3 マロンジアルデヒド(MDA)を用いたタンパク質のカルボニル化とその定量法
4 角層細胞のAdvanced glycation end products(AGEs)染色法
5 タンパク質のニトロ化とその定量
第6章 心理的ストレス関連実験法
慢性ストレスモデルにおけるコルチゾール存在下のタイトジャンクション形成能評価
第7章 安全性関連新規代替法
Amino acid Derivative Reactivity Assay(ADRA)
ピッカリングエマルション技術における課題と応用
価格(税込): 59,400 円
中空粒子の研究開発動向と応用展開
価格(税込): 57,200 円
分散コロイドのレオロジー 基礎と実用
価格(税込): 33,000 円
化粧品における感性価値創造《普及版》
価格(税込): 5,830 円








