キーワード:
関節/軟骨/代謝/タンパク質/iPS細胞/再生医療/自家細胞/コラーゲン/幹細胞/足場材料/バイオ3Dプリンタ/軟骨細胞シート
刊行にあたって
「第Ⅰ編 関節・軟骨破壊と再生の基礎研究」では、基礎も実臨床も熟知されている先生方に敢えてご指名しご執筆頂いた。その後にメインの「第Ⅱ編 関節・軟骨の再生医療技術」に移行するような形とした。本編には、様々な原料で、そして多様なアプローチで再生医療に取り組む第一線で活躍する先生方からご執筆頂いた。一方、開発担当者の立場から、あるいは規制側の立場から再生医療等製品の開発に必要不可欠な留意事項を網羅するために、「第Ⅲ編 関節・軟骨再生医療等製品の管理・評価」を取り上げたが、全うできたと自負している。これも極めて多忙の中、本企画にご賛同いただき玉稿をご寄稿賜わることのできた諸先生方のお陰である。
身近になってきた再生医療だが、最近では細胞を使用しない、培養上清や凍結乾燥させたもの、生体親和性のあるスキャフォールド等のセルフリーのものも登場し、カテゴリーが難しくなってきたのだ。セルフリーのものは再生医療等安全性確保法の規制外なのである。医療材料扱いであれば医薬品医療機器等法の規制となるが、両法の規制外となる製品もあるのだ。本企画の中にもこれらの法律の規制外のものも含まれている。再生医療を取り巻く環境で起こっている現状を正しく把握することが、今後の発展につながると信じている。患者さんに寄り添う「関節・軟骨の再生医療」の実現を目指す関係者にとって、本書が少しでも役に立つこと祈念している。
(本書「はじめに」より抜粋)
著者一覧
波多賢二 大阪大学大学院
渡辺秀人 愛知医科大学
目良 恒 新潟大学地域医療教育センター
脇谷滋之 高遼会病院
妻木範行 京都大学
高橋 匠 東海大学
堀江尚弘 東北大学大学院
近藤 威 東北大学大学院
江草 宏 東北大学病院;東北大学大学院
石黒博之 国立病院機構大阪医療センター
小玉 城 大阪大学大学院
釜谷崇志 大阪大学大学院;京都大学
海渡貴司 大阪大学大学院
関矢一郎 東京医科歯科大学
下村和範 大阪大学大学院
安藤 渉 大阪大学大学院
中村憲正 大阪保健医療大学;大阪大学
東藤 貢 九州大学
中牟田侑昌 崇城大学
荒平高章 九州情報大学
亀井直輔 広島大学病院
越智光夫 広島大学
安達伸生 広島大学大学院
齋田良知 順天堂大学
小林洋平 順天堂大学
若山貴則 順天堂大学
西尾啓史 順天堂大学
明田浩司 三重大学医学部附属病院
竹上徳彦 三重大学大学院
山田淳一 三重大学大学院
大石晃嗣 三重大学医学部附属病院
舛田浩一 University of California
湏藤啓広 三重大学大学院
林 克洋 金沢大学大学院
小野寺智洋 北海道大学病院
安田和則 八木整形外科病院
田邉芳恵 北海道文教大学大学院
龔剣萍 北海道大学大学院
川添直輝 物質・材料研究機構
陳国平 物質・材料研究機構
河合宏美 ロート製薬㈱
黒木 輝 ロート製薬㈱
湯本真代 ロート製薬㈱
須田一真 ロート製薬㈱
石井 強 ロート製薬㈱
早川宗一郎 セルソース㈱
普天間寛子 セルソース㈱
片川統博 セルソース㈱
秋枝静香 ㈱サイフューズ
國富芳博 ㈱サイフューズ
渡辺淳也 千葉大学大学院
橋本せつ子 ㈱セルシード
佐藤千香子 ㈱セルシード
菅原 桂 ㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
畠賢一郎 ㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
澤田留美 国立医薬品食品衛生研究所
嶽北和宏 大阪大学大学院
目次 + クリックで目次を表示
第1章 軟骨発生・代謝の分子メカニズムに関する研究
1 はじめに
2 軟骨組織の構造と発生
2.1 成長板軟骨の構造と発生
2.2 関節軟骨の構造と発生
3 軟骨細胞の分化・増殖メカニズム
3.1 PTHrP(副甲状腺関連ペプチド)
3.2 Ihh(インディアンヘッジホッグ)
3.3 FGF(線維芽細胞増殖因子:Fibroblast growth factor)
3.4 BMP(Bone Morphogenetic Protein)
3.5 GDF5
3.6 Wnt
4 軟骨細胞分化を制御する転写因子
4.1 Sox9
4.2 Runx2
5 肥大化軟骨細胞から骨芽細胞への細胞転換
6 おわりに
第2章 軟骨の細胞外マトリックス分子群の構造と機能
1 はじめに
2 機能的軟骨のECM
3 軟骨のコラーゲン
4 プロテオグリカン会合体
4.1 軟骨機能の中心的役割を担うAcan
4.2 ヒアルロン酸
4.3 リンクタンパク質
4.4 その他の細胞外マトリックス分子
5 おわりに
第3章 関節軟骨損傷および修復の評価方法
1 はじめに
2 臨床評価法
3 関節軟骨損傷の画像評価
4 関節鏡評価
5 組織学的評価法
5.1 変形性関節症の組織評価
5.2 関節軟骨欠損の組織評価
5.3 組織学的評価の実際
6 おわりに
【第II編 関節・軟骨の再生医療技術】
第4章 iPS細胞利用
1 同種iPS細胞由来軟骨を用いた関節軟骨損傷の再生治療法の開発
1.1 関節軟骨の構造:軟骨細胞と軟骨細胞外マトリックス
1.2 関節軟骨損傷の再生治療における2つの修復機序
1.3 ヒトiPS細胞から軟骨組織を誘導する方法の開発
1.4 ヒトiPS細胞由来軟骨を用いた関節軟骨損傷の再生治療法開発
1.5 iPS細胞由来軟骨の同種移植に関する検討
2 iPS細胞由来軟骨細胞シートの開発
2.1 はじめに
2.2 PDシートにおける研究開発課題
2.3 iPSCシート作製条件の最適化に向けた取り組み
2.4 今後の展望
3 軟骨内骨化を利用した顎骨再生のアプローチ
3.1 はじめに
3.2 顎骨再生治療に用いる骨補填材料
3.3 間葉系幹細胞(Mesenchymal StemCells;MSC)を用いた顎骨再生治療
3.4 骨化様式
3.5 顎骨の骨化様式
3.6 軟骨内骨化を利用した顎骨再生のアプローチ
3.7 おわりに
4 iPS細胞による椎間板再生治療の開発
4.1 背景
4.2 従来の椎間板細胞治療
4.3 hiPSCsより作成した硝子軟骨パーティクルによる椎間板再生
4.4 考察
4.5 おわりに
第5章 自家細胞利用
1 滑膜由来間葉系幹細胞による半月板治癒促進
1.1 半月板の解剖
1.2 半月板手術の現状
1.3 滑膜幹細胞
1.4 半月板自然修復と滑膜の作用
1.5 ピッグモデルでの滑膜幹細胞による半月板縫合後の治癒促進
1.6 滑膜幹細胞の内側半月板変性断裂への応用
2 スキャフォールドフリー滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織を用いた半月板再生
2.1 はじめに
2.2 スキャフォールドフリー滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織
2.3 スキャフォールドフリー滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織を用いた半月板再生治療
2.4 組織工学的手法を用いた半月板修復治療
2.5 スキャフォールドフリー間葉系幹細胞由来三次元人工組織を用いた組織再生と今後の展望
3 複合型コラーゲン足場内での軟骨様人工組織の構築
3.1 はじめに
3.2 実験方法の概要
3.3 各培養条件における細胞の増殖・分化挙動
3.4 ゲルラッピング法による軟骨細胞分化の安定化
3.5 まとめ
4 自家培養軟骨移植による軟骨再生と磁気ターゲティングによる治療
4.1 はじめに
4.2 関節軟骨障害に対する治療の現状
4.3 自家培養軟骨移植による軟骨再生
4.4 骨髄間葉系幹細胞を用いた再生医療
4.5 骨髄間葉系幹細胞の磁気ターゲティング
5 変形性膝関節症に対する多血小板血漿治療とその基礎研究
5.1 はじめに
5.2 PRP療法に関する動物実験
5.3 PRPの質による効果の違い
5.4 PRP治療前後の関節軟骨のMRI評価
5.5 OAに対するPRP療法のエビデンス
5.6 OAに対するPRP療法の実際
5.7 PRP療法の今後の展望
6 多血小板血漿を用いた椎間板治療
6.1 はじめに
6.2 多血小板血漿(platelet-richplasma:PRP)とは
6.3 多血小板血漿(platelet-richplasma:PRP)の分類
6.4 多白血球含有(Leukocyte-rich)PRPと乏白血球含有(Leukocytepoor)PRPの比較
6.5 PRPの活性化の有無
6.6 整形外科領域におけるPRP治療の臨床研究
6.7 PRPを用いた椎間板治療
6.8 考察
7 高い骨分化能をもつ脂肪由来幹細胞シートの開発
7.1 骨欠損の治療
7.2 脂肪由来幹細胞について
7.3 脂肪由来幹細胞シート
7.4 脂肪由来幹細胞シートの動物実験
第6章 細胞未使用技術
1 高純度アルギン酸ゲルを使用した軟骨修復治療法の開発
1.1 はじめに
1.2 細胞を含まないバイオマテリアルによる軟骨修復とは
1.3 アルギン酸を用いた新規治療法
1.4 アルギン酸ゲルを応用したインテリジェントマテリアルの開発
1.5 今後の展望
1.6 おわりに
2 ダブルネットワークゲルを用いた硝子軟骨自然再生への挑戦
2.1 はじめに
2.2 PAMPS/PDMAAm DNゲルの生体材料学的特性
2.3 In vivoでDNゲルが誘導する硝子軟骨自然再生現象の発見
2.4 DNゲルの軟骨再生誘導機序に関する基礎研究
2.5 臨床応用の可能性に関する基礎的検討
2.6 おわりに
第7章 関節・軟骨再生用細胞培養技術
1 軟骨再生を促進する複合多孔質足場材料の開発
1.1 はじめに
1.2 生体組織工学に用いる足場材料の必要要件
1.3 多孔質足場材料における複合化の意義
1.4 再生組織の形状を保持する―高い力学強度と細胞親和性を兼ね備えた複合多孔質足場材料―
1.5 細胞ソースとして幹細胞を利用する―間葉系幹細胞の分化誘導による軟骨組織再生―
1.6 PLGAメッシュ/コラーゲン複合足場材料の形態制御
1.7 細胞播種効率を高める―播種した細胞の漏出を低減する複合多孔質足場材料―
1.8 細胞を均一に分布させる―空孔の構造を制御した複合多孔質足場材料―
1.9 おわりに
2 臍帯由来間葉系間質細胞の大量培養技術
2.1 はじめに
2.2 臍帯由来MSCについて
2.3 臍帯由来MSCの単離方法
2.4 臍帯由来MSCの大量培養方法と培養容器
2.5 平面・3D大量培養方法の特徴
2.6 おわりに
3 脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養技術とその受託加工概要
3.1 はじめに
3.2 セルソース再生医療センターの運用
3.3 脂肪組織由来間葉系幹細胞の受託加工サービスにおける培養技術
3.4 まとめ
4 細胞のみで作製した三次元組織による骨軟骨再生医療への挑戦
4.1 はじめに
4.2 細胞の凝集現象とその活用
4.3 スフェロイドを用いた三次元組織構築技術
4.4 鋳型方式で作製した三次元組織による骨軟骨再生研究
4.5 自動積層方式で作製した三次元組織による骨軟骨再生研究
4.6 骨軟骨以外の領域における三次元組織を用いた再生医療研究
4.7 次世代型バイオ3Dプリンタの開発
4.8 今後の展望
【第III編 関節・軟骨再生医療等製品の管理・評価】
第8章 修復軟骨のMRI評価法
1 はじめに
2 修復軟骨のMRI評価法
3 修復軟骨の包括的評価法と質的評価
4 再生軟骨の質的評価
5 各軟骨修復法のMRI評価のポイント
5.1 MF術後のMRI
5.2 OATS術後のMRI
5.3 ACI術後のMRI
6 おわりに
第9章 軟骨細胞シートのための有効性評価手法
1 再生医療等製品の有効性評価とは
2 細胞シート工学
3 細胞シートを用いた軟骨再生
3.1 自己軟骨細胞シートによる治療
3.2 同種軟骨細胞シートによる治療
4 自己軟骨細胞シートの有効性評価
5 同種軟骨細胞シートの有効性評価法の開発
5.1 同種軟骨細胞シートの作製と特性解析
5.2 同種軟骨細胞シートの異種同所性移植と臨床評価
5.3 有効性マーカーの開発およびデータベースの構築
6 おわりに
第10章 自家培養軟骨ジャックの開発と普及への道のり
1 はじめに(超高齢社会と運動器疾患)
2 再生医療の黎明と自家培養軟骨の研究開発
3 ジャックの製造販売承認取得から保険収載まで
4 ジャックの使用成績調査
5 上市後の課題と解決への取り組み
5.1 再生医療製品の特異性を踏まえた保険償還の仕組み
5.2 製造方法の合理化とコスト削減の取り組み
5.3 コラーゲン膜の導入による手術侵襲の低減と移植手技の簡便化
5.4 変形性膝関節症への適応拡大
6 今後の展望
第11章 関節・軟骨再生医療等製品の品質及び安全性評価の指標
1 はじめに
2 関節軟骨再生医療等製品の原料等となる細胞について
3 関節軟骨再生医療等製品の品質,有効性及び安全性に関する評価指標について
3.1 ヒト軟骨細胞又は体性幹細胞加工製品を用いた関節軟骨再生に関する評価指標
3.2 ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品を用いた関節軟骨再生に関する評価指標
4 おわりに
第12章 再生医療等製品の規制と開発の留意点
1 はじめに
2 ヒト細胞加工製品の品質確保
2.1 一般的な品質確保の考え方について
2.2 ヒト細胞加工製品の特徴
2.3 ヒト細胞加工製品の品質確保を適正かつ合理的に行うための留意事項
2.4 品質確保のまとめ
3 再生医療の対象となる膝関節軟骨損傷にむけた製品開発
4 おわりに
関連商品
バイオ3Dプリント関連技術の開発と応用
価格(税込): 74,800 円
無機/有機材料の表面処理・改質による生体適合性付与
価格(税込): 88,000 円
再生医療・創薬のための3次元細胞培養技術
価格(税込): 77,000 円
医療・診断をささえるペプチド科学《普及版》
価格(税込): 5,280 円
コラーゲンの機能と応用
価格(税込): 70,400 円
この商品を買った人はこちらの商品も購入しています。
生薬・薬用植物の技術と市場
価格(税込): 88,000 円
月刊BIOINDUSTRY 2020年9月号
価格(税込): 4,950 円
TPD創薬:PROTACs、SNIPER等の現状と世界市場ポテンシャル
価格(税込): 198,000 円
金属ナノ・マイクロ粒子の最新技術と応用《普及版》
価格(税込): 4,730 円
藻類応用の技術と市場
価格(税込): 88,000 円
月刊ファインケミカル 年間購読(12冊)
価格(税込): 82,500 円
月刊機能材料 2020年8月号
価格(税込): 4,400 円
界面活性剤の開発と市場
価格(税込): 88,000 円